ご訪問ありがとうございます。
心理カウンセラーの井上太一です。
みなさんは、ささいなことを気にしすぎることはありませんか?
誰しも、こうした面は多少あるかもしれません。
ぼくも、あります。
ただ、「気にしすぎ」があまりにもひんぱんに出てくると、きついと思います。
たとえば、
●菌によって汚染されるような感じがして、電車の吊り革に触れないとか、
●車を運転中に歩行者と接触してしまったような気がして、現場に戻って何度も何度も確認してしまうとか、
●ガスコンロの火をちゃんと消したかの確認を過度におこなってしまい、外出の時間が遅れがちとか…
こういう状態がひどくなると、「強迫性障害(強迫症)」と診断される場合もあります。
【強迫性障害(強迫症)】
「ドアに鍵をかけたかな?」「鍋を火にかけたままかも」と、不安になって家に戻ったという経験は、一般の人にも認めます。
これらのような不安やこだわりが過度になり、例えば戸締まりや火の元を何度も何度もしつこく確認しても安心できなかったり、特定の数字にこだわるあまり生活が不便になったりする場合は、「強迫性障害」かもしれません。世界保健機関(WHO)の報告において、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つとされています。
(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターが運営する「こころの情報サイト」より抜粋)
☆
実はぼく、強迫性障害(強迫症)と診断された方のカウンセリングを数多くおこなってきました。
今現在も、何人かのカウンセリングをおこなっています。
強迫性障害(強迫症)は、「強迫観念」と「強迫行為」がセットになっています。
理解を深めていただくために、これも「こころの情報サイト」から抜粋してみます。
強迫観念とは、頭から離れない考えのことで、その内容が「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができません。
強迫行為とは、強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のことです。自分で「やりすぎ」「無意味」とわかっていてもやめられません。
<代表的な強迫観念と強迫行為>
●不潔恐怖と洗浄
汚れや細菌汚染の恐怖から過剰に手洗い、入浴、洗濯をくりかえす、ドアノブや手すりなど不潔だと感じるものを恐れて、さわれない。
●加害恐怖
誰かに危害を加えたかもしれないという不安がこころを離れず、新聞やテレビに事件・事故として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に確認したりする。
●確認行為
戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認する(何度も確認する、じっと見張る、指差し確認する、手でさわって確認するなど)。
●儀式行為
自分の決めた手順でものごとを行わないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をしなくてはならない。
●数字へのこだわり
不吉な数字・幸運な数字に、縁起をかつぐというレベルを超えてこだわる。
●物の配置、対称性などへのこだわり
物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になる。
とくに「不潔恐怖と洗浄」は、新型コロナウイルスが世界的に大流行したことをきっかけに、日本社会で増えてしまったように、個人的には思います。
☆
あるいは、前述の「強迫観念」「強迫行為」とはやや異なりますが、
たとえば、友人と一緒に食事をしていて、相手が少し黙ったような場面で気にしすぎてしまう…。
●自分がなにか気にさわることを言ってしまったのか?
●もしかしたら昨日のあの件も含めて怒っているに違いない
●どういう対応をすれば許してもらえるだろう…?
…などと、ぐるぐると良くない方向に考えてしまい、ネガティブな感情をとても長く引きずってしまったりするなんていう方にも、よくお会いします。
相手に対してまったく配慮のできない人は、大人としてどうかと思いますが、
これがいきすぎて、気にしすぎてしまうと、とても大変ですね。
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気にしすぎの度合いが強く日常生活に支障をきたしている場合は、一度、医療機関やカウンセラーらに相談してみることをおすすめしますが、
なにもそこまでじゃないしなあ…という、
いわば軽度なんだけれども、気になるは気になる…というケースも多いのではないかと思います。
そうした時に試していただきたいやり方を、ご紹介しますね。
思考停止法というやり方なのですが、
いま自分が不安やネガティブな思考にとらわれ出している自覚が出たら、そこから抜け出るための「何か」をおこなうという、シンプルなものです。
その「何か」は、ご自身のライフスタイルに応じて、試行錯誤したうえで決めていってもらえればいいと思います。
「何か」の例として、いろいろなやり方が、ネット上でも紹介されていると思います。
たとえば、手首に巻いた輪ゴムをパチンとはじき、軽い痛み・刺激を自分自身に与えるというやり方。
輪ゴムでなくても、体のどこかを軽く叩いたりつねったりする…なんていう方にお会いしたことがあります。
輪ゴムを用いたやり方は、スポーツ選手の間で広まってきたと聞いたことがありますが、ちょっと定かではありません。
あるいは、タイマーを3分後にセットし、タイマーが鳴ったら「ストップ!」と自分に声をかけてネガティブなことを考えるのを強制終了させる——なんていうやり方もポピュラーなようです。
要は、根拠のない不安やネガティブな思考から抜け出せればいいわけで、
何が自分に合うのか・合わないのかは、いろいろと試したうえで決めるしかありません。
ご自分なりにアレンジを加えるのも、ありだと思います。
なぜなら、一般的なやり方を忠実に実践することが重要なのではなく、効果を得ることが重要だからです。
☆
あくまでご参考までというレベルで、ぼくが個人的にときどき使うやり方を2つ、挙げてみます。
① 短時間の呼吸法をおこなう
1分間あたりの呼吸数を6回程度にコントロールし、それを2~3分間続けるという、極めてシンプルなものです。職場でもできますね(^^)
呼吸数が1分に6回ということは、10秒に1回ペースという計算になりますね。
10秒間、息を吸い続けられる人はほぼいないので、どうしても息を吐く動作に意識を向けることになります。
実はこの呼吸法は、脳の前頭全皮質が活性化し、心拍変動も上昇し、気持ちのコントロールしやすくなる効果があります。
(ただし、日常的・習慣的におこなっていただいたほうが、より効果的です。)
② リラクセーション動作をおこなう
ぼくがよくおこなうのは、漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)といわれるもので、
意識的に筋肉に力を入れる
↓
そのあと力をゆるめる
…という動作を繰り返すことで、筋緊張を弛緩(リラックス)させる方法です。
まずは、ゆるめたい体の部位に力を入れて緊張させ、10秒間その状態を保ち、そして一気に脱力します。
脱力してから30秒ほどの時間をかけて、力を抜いた時の、血液やリンパが流れる感覚に意識を集中するのですね。
漸進的筋弛緩法は、アメリカの医師エドモンド・ジェイコブソンによって開発されたリラクゼーションの技法なのですが、
米軍が採用したところ、厳しいストレス状況下にある兵士の96%が120秒以内に眠りに落ちたんだとか😳
それくらい効果が期待できる方法です。
これは体の部位ごとにおこなっていきます。
たとえば肩の筋肉をゆるめたいのでしたら、
① ぎゅーっと力をこめて首をすくめ、
② そのあと一気に力を抜き、血液やリンパがジワーッと流れるような感覚に意識を集中させるわけです。
筋緊張もほぐれますし、不安な気持ちもリセットしやすく、一石二鳥ですね😊
☆
ぼくが時々おこなっているやり方を、ご参考までに2つご紹介しましたが、
繰り返しますが、根拠のない不安やネガティブな思考から抜け出せればなんでもいいわけで、
人によって、何が合うのか・合わないのかは、いろいろと試したうえで決めるしかありません。
たとえば、「その場で腕立て伏せを10回やる」ということを実践している人にお会いしたこともあります。
「気にしすぎ」で疲れちゃう感覚、ぼく個人的にもすごく分かります。
嫌なものですよね。
ぼくの場合、心身の疲労がたまってくると、
「家の鍵をかけたかどうか」がやたらと気になり出すのですね。
前述の強迫性障害(強迫症)のくだりで紹介した、「確認行為」というやつです。
何度も戸締りを確認する…そして、その動作をしている自分を嫌だなあ…、いったいオレ、何やってんのかなあ…と感じることがありましたが、
今ではそうした状態をコントロールできています。
こうしたことが1日の中で何度も出現すると、ほんと気が滅入りますからね。
気になる方は、ご一緒にカウンセリングで対処法を見つけていきましょう。
お役に立てると思いますよ。
では、今日はこのへんで。
お読みいただいて ありがとうございました。
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この記事を書いているのは…
井上 太一(いのうえ たいち)/心理カウンセラー
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