前回分
「か、み……様ですか~~~~はあ~~~~」
かみさま、上様…それはうえさま、紙様、神様!?
頭の中で懐かしのトイレの神様の歌が替え歌で流れていた。
寝どこにはそれはそれは~~安眠な神様がいるんやで~~♪
丁度いい具合に合ってるし!
なんてやってる場合じゃないし!
ひとりで頭の中で自分にツッコんでいた。
「まーその神じゃ」
「ええ~~枕に神様いるんですか!」
根手見出生(ネテ ミテオ)は半信半疑だった。
「ここにおる」
そんな自信満々にされても……
見出生は困惑する。
「ちょっと待って……下さい、じゃあ、あの枕ご利益があるわけではなく、
老……じゃなくて、神様? がお膳立てしてくれたから凄いラッキーだったってこと?」
「そういうことじゃ、今しがたデモンストレーション中だからな……」
はあ? デモストって……
わけ判らん。
「あのーなんで安眠は確かに確実なんですけど、変な寝癖になるんですか?」
見出生は質問した。
「あれはどうしても安眠と開運の為の副作用じゃな」
はあ? 副作用!?
「寝癖、毎朝本当に困りますけど~~何とかなりませんか?
あ、それから普通の枕で寝たら運気が急激に下がるのはマジ困るので何とかして下さいよ!」
見出生は神様に懇願する。
「今、また寝癖もつかない安眠と開運が完璧な枕を開発中なんじゃが、それをつこうてみるか?」
神様は言った。
……寝癖もつかない安眠と開運……!
「凄い! 使ってみたいです!」
「有料じゃが良いか?」
「え、い、いくらですか?」
「5万円じゃ」
はあ~~~~~~~!? ご、5万円……
一気にがっかりする見出生。
「そして他にも条件がある」と自称神様。
「もういいです~~、たかが枕で5万円も出しません」
見出生はとうとう断った。
「条件だけ聞くのじゃ……」
神様は言うと、
「もういいです、いいです、買いません、変な押し売りはお断りです」
5万円と聞いてこの神様はインチキだと見出生は不信におちいった。
が自称神様は尚呼び止めようと必死になる。
「あの枕を~~~~あーあ、言ってしもうたわ。
今のつこうてる枕が不要だと思ったのならば1週間以内に誰かに譲るかしないと、
それも副作用で坊主頭になるぞと忠告しようと思うたんじゃがな……
ま、あの枕は寝癖はつくが効果てきめんだからな、あ、逆に坊主頭になれば寝癖がつかないから良いかもしれんの。
う~~ん、それも気の毒だからまくらがえしに回収に行って貰うことにするかのう」
そうして神様? は笑いながらどこかへ去っていってしまった。
そしてその夜、見出生は、
「枕どうしよう……どっちで寝よう?」
普通の枕か? もう運悪くも激しい寝癖もならない……よな?
また酷い寝癖になったら?
いやいやいや……かぶりを振る。
やっぱりあの変な老人のデモストの枕か……?
どんな寝癖の人格になるのか判らないんだ、やめた方がいい……!
でも、安眠と開運は約束してくれる、あ~~困った!
悩んだ末、
「よお~~し、枕なしで寝ればいいんだ!」(ええええ~~~~!!💦)
見出生はそう決心した。
そして何とか寝ていると、黒い影が夜中にやってきて……
見出生はこいつか、あ、枕してない!
まくらがえしは一瞬焦るが、
あ、ついいつもの癖が……
えーと、枕の神に頼まれたこのブラックの枕を置いてきて、他の枕を回収してこい、と。
そうしてどんな効果があるか判らないブラック枕を見出生の頭の下に入れた。
回収する枕は……
まくらかえしは2個もある枕のどちらを回収したらいいのか戸惑う。
悩んだ末、
両方持っていこう!
なんと2個とも回収されてしまった。
見出生は起きない。
朝まで……? それとも……
〈終わり〉
はじめから