前回分
仕事場の庭のベンチに座っていると、ひとりの老人が根手見出生(ネテ ミテオ)に話しかけてきた。
「あれ? どこかで……」
見出生は老人のことを前から知っているような気がしてならず……
すると、
「ずーと見ておったわい」
「え!?」
見出生は驚く。
「それどころかつい手助けまでしてしもうたわ」
え、手助けって……
「なかなかな背負い投げだったぞ」
「あっ!」
あの不審人物の~~~~!!!!
「な、え、ど、どうして!? もしかして父さんが小銭あげたっていう……あ、まさかあの枕もっ!?」
見出生が気づいて動揺しながら言ってみると、
「よお判ったな、当たりじゃあ」
老人はフォッフォッフォッ……と笑う。
「そ、そんな軽く……て、どこまでが? 父さんに枕をあげたっていうのから……もしかして全部っ!?」
見出生は驚きながら言った。
「そうじゃ、小銭を未流蔵(ミルゾウ)さんから貰ってわしの開発した枕を譲ったのも、
わざと受付に絡んで皆の心証を良く仕向けたのもそれから取引先にも実は潜入しておって、お主の動向をいつも見ておったぞ」
そういえば……取引先にもどこかで見たような顔を何度も見たことがあったのは、気のせいではなかったらしい!
「な、な、何でそんなこと出来るんですか!? あり得ないでしょう?
受付だって警備やセキュリティがあるので、どうやって入ったのかよく考えたら不思議で……」
てことは……
「人間ではない? とか……」
と半信半疑で言ってみると。
「そうじゃ、わしは人間ではない」
や、やっぱりとなりながら、
「まさか妖怪……?」
見出生は言ってみた。
すると老人は、
「わしは妖怪ではない……わしは枕の神じゃ、または安眠の神様とも呼ばれておる」
と答えた。
「は、は、はあ~~~~!?」
見出生は驚き過ぎてベンチから落ちそうになる。
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