招き猫はじめました⑨葛藤、そして…… | いろいろしぃーのブログ

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前回分



「じゃあ、本当はオレ希音子に殺されていても仕方なかったんだ……」


希音子の背後の大きな猫又の影を見ながら、実太緒は喉をゴクリと飲み込んだ。


希音子は無言になる。


「何で……だよ? 正体バラす方を選択したんだよ? そうしたらもう……ここには……」


「いられない……」


希音子は1言だけ答える。


「オレがいてくれって言っても?」


「ダメなの……」


「謝っても? なかったことには」

 

 「出来ない」

 

「どうしたら君はいてくれる?」


実太緒からそんな言葉が出てきた。


「もう私、人間でいられなくなる…時間がないの…人間でいられる内に出ていくわ」


すると希音子は出ていこうとしたので、


「そんな! 行かないでくれ!」


実太緒は背後の影が怖いはずのに、なぜかどこかで体は自然と希音子を抱き締めていた。


「それはどういう意味? 招き猫としての私が居なくなったりしたら困るから?」


希音子は思いきって聞いてきた。


すると、


「……判らない、けど……招き猫なんてどうでもいいんだ、希音子が好きなんだ。


何気にラーメン屋にやってきて自然とサラッとオレを手助けしてくれる。


そして今はいるだけでもオレの力になるんだ、大事な存在なんだ。


だから……行かないでくれ!


実太緒は思ったままに思いの丈を言った。


「ダメ! 離して! 離してくれないと……」


「嫌だ、嫌だ!」


実太緒は希音子を離さないまま子供のように駄々をこねた。


「ダメ……行かせてじゃないと……」


「猫又に戻る?」


「そうよ」


「そうなるとオレを殺すのか?」


「……そうなるかもしれない、だから離して!」


「嫌だ!」


「早くしないと……」


早くしないと?


「両親が来てしまうわ、そうなったらもう手遅れよ」


希音子がそう言い終わった途端、


バターン!


先程まで全く開かなかったドアが外側から勢い良く開いてしまい全開になると、そこには……


これまた大きな2体の猫が黄色の目を光らせてこちらを見ていた。



続き