前回分
1日ひとりかふたり来たらまだましだった玉井実太緒(タマイ ミタオ)のラーメン屋は、今では考えられないぐらい繁盛していた!
それもかれもあの招き猫はじめましたへサイト登録したおかげだ。
条件さえ守れば今や実太緒のラーメン屋は行列が出来る程にまでなる。
大して人が入れないものの、とうとうひとりではまわすのが大変なので人を雇うことになった。
相変わらず最初のお客は無料にしていたが、どういうわけか毎回毎回全く違う客がやって来る。
女性だったり男性だったり、若かったり年配だったり……
それでも条件の通りにしていた実太緒。
そんな万事順調なある日のこと、1人目の客を無料にした時……
「おい、何でそいつは無料なんだよ!」
2人目の客が不信に思い抗議し出す!
「いや…あの…」
いきなり無料を指摘されて戸惑う実太緒。
「1人目は…その…」
これは言っていいのか?
実太緒は迷う。
「1人目は何なんだよ! 昨日も見ていたけど必ず無料だよな?」
まさかの常連!?
更にはまわりのお客もこちらを注目する。
「……もうお金は頂いているんです」
苦肉の策で言うと、
「あ、いえいえ払ってません」
まさかの否定されてしまった!
ウソだろ~~~~!? そこは黙って合わせてくれないのかよ~~! 招き猫の癖に!
実太緒は頭を抱える。
「何なんだよ、だったらオレも無料しろ」
2番目の客はとんでもない要求をしてきた!
「それはダメです!」と実太緒は慌てる。
「何だよ、この客は店のもんか!? サクラか!」
指をさして言い出す。
サクラ……確かに招き猫と近いものを感じるけど、
「いえ、違います」
またもや1番目の客は否定してきて……
そこは空気でそうですとか言って丸くおさめてよ~~と実太緒は思っていた。
それよりも……いつも1番目の客は毎回違う人なんだろう?
今更だけど謎だった。
そして今はじめて1番目の客と話をして思ったけれど、なんだろう? この協力的でもない他人事みたいな感じは……
「じゃあ、どうしたら無料になるか教えろよ!」
まわりも更に注目している事のなりゆきがどうなるのか静観していて……
「あの……騒がないで下さい」
無駄だろうけど実太緒は注意した。
「だったら……オレも無料にするか、そいつが何で無料になるかどちらか教えろ」
もっととんでもない請求をしてきた。
実太緒は……喉をゴクンとしてから、
「最初の入った1番目のお客は無料にしてます」
あ~~とうとう言ってしまった!
「なるほど判った、じゃあ1番目で入ればいいってことなんだな!」
その客は理由を聞いた途端、あっさり納得してその日はお金を払ってくれた。
もちろん、1番目の客はギリギリ無料にすることが出来た……
けれど……
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