前回分
「ごめん、黄いちゃんの角にしたかったんだけど……羅門さんの圧が強くて……」
名二茂 鴨生(ナニモ カモオ)は黄邪鬼にこっそり詫びる。
「いいって~~、まーここで首領を差し置くのも首領のプライドがあるだろうしね」
黄邪鬼は寛大に笑ってくれた。
てことで、鴨生とカケルは同じ方向を定めるとそちらに側に向かって黒邪鬼と羅門を座らせる。
そしてみんなから、
「鴨生様~~ありがとうございます、拷問よりも働く場所をお与えくださりこのご恩は一生忘れませ~~ん」
死人達がメチャクチャ泣いて鴨生に感謝の言葉を伝える。
「カモオ殿、死んでしまった後はぜひ地獄へお越しください、優遇しますぞ~~」
地獄長が笑顔で言った。
「は、はあ~~、皆さん、お元気でっていうのも何だけど変か~~。
また現世に生まれ変われることをお祈りします」
鴨生がそう声をかけると、なぜかみんな涙を流して泣いた。
わ~~昔の……北の人が亡くなった時みた~~い。
鴨生は苦笑する。
そう思いながら、
「よし、カケルかじるぞ、せーの」
鴨生が掛け声をかけて、目の前に座っている羅門の角をかじろうとした時!
「あ~~~~首領~~ごめ~~ん」
まさかのそこへ黄邪鬼が突進してきて、羅門を突飛ばし鴨生の口に丁度黄邪鬼の角がおさまり……!
「ジャストミ~~ト!」
黄邪鬼が○澤さんのように叫ぶと、鴨生は勢い余りなんと黄邪鬼の角を折ってしまった!
鴨生は慌てて口を手でふさぐと、目の前の空間がうねうねとし出す!
『それだあ~~! ゲートだあ!』
エンマ大王様、まだ繋がっていたらしくデカイ声が響く。
ビクッとしながら鴨生とカケルが礼をすると、そのうねうねしている空間を一気に抜けた。
そして……
気づくと、元の自分の部屋に戻っていた。
うねうねした空間は徐々に消失して……
「戻れた、良かった、今度ばかりはどうなるかと思った」
鴨生は額の汗をぬぐう。
次の瞬間、
「うわ~~!」
ゲートが閉じる寸前何かがこちらに勢いよく飛び込んできた!
見ると、
「黄邪鬼~~!? 何でこっちに来たんだよ!」
鴨生は黄邪鬼がこちら側に来ているのに驚く!
「いや~~ちょっと飛び込んだらどうなるかと思ってさ~~」
黄邪鬼はガハハと笑う。
「笑ってる場合かよ? どうすんだよ~~」
鴨生は困惑する。
「しかもキージャ(黄邪鬼)、角折れてるよ~~」
カケルが指をさして言った。
黄邪鬼は角のあった辺りを触ると、
「うわ~~~~な~~~~い‼️」
メチャクチャショックを受けていた。
「も~~ほら~~、いきなり突進してくるから~~どうするんだよ、ゲートは閉じるし角は折れるし」
鴨生はあきれ返った。
「カモちゃん、1年間、居候させて~~」
黄邪鬼は手を合わせてお願いしてきた。
「困るよ~~、学生なんだから」
鴨生は断ろうとする。
「じゃあ、キージャ、うちくる? 一応両親とも顔見知りだし大丈夫だと思うよ」
「いいのか~~? カケルありがてえ~」
話はまともりそうになり、
「あ、でもさ、大した時間経ってないみたいだから、もう1回ふ菓子で鬼門に向かって食べれば帰れるよ」
鴨生はふ菓子を袋から出すと……
「へ~~そうなんだ~~、ねえ、これさ、天井に向かって食べたらどうなんの?」
黄邪鬼は大人しく鬼門に向かって食べず、いきなり天井に向かって有無も聞かずに試してみた!
「わ、バカやめろ!」
鴨生が止めるより早く、黄邪鬼は天井に向かってふ菓子を食べてしまう!
すると天井が金色に輝くと上から雲に乗った何かが降りてきて……!?
え、え、え、え~~~~!?
『そなたが名二茂鴨生と申すものか?』
「え、あ、は、はい……」と鴨生。
『そなたを天国へ招待致そう、ぜひとも天国も大改革して欲しいのです』
「て、てててて……天国! ですか! いや~~遠慮しておきます、さっき地獄から帰ってきたばかりなので……」
鴨生は断ります。
「おい、お前、お釈迦様自らの言葉を断るとは不届きなヤロウだな~~、よし、オレが天国へ連れてってやる!」
え、え、お釈迦様!?
それだけでも驚くのに、今度は猿のような金色の髪の者が同じく雲に乗って、ほぼ無理矢理鴨生を天国へ連れて行こうとして……!
「ダメ~~!」とカケルが、
「鴨生だけずるいぞ~~オレも行くぞ~~」
と黄邪鬼が何とか鴨生を引き留めようと鴨生の体にしがみつく。
「しゃらくせえ! ならば全員まとめて天国へ連れてってやらあ!」
ととんでもないことを言いだし……!?
『これ、悟空、無理強いは止めなさい』
とお釈迦様が声をかけて……
何だって? 悟空ってまさか、
「ええ~~あの孫悟空!?」
鴨生はメチャクチャ驚いた!
《終わり》
はじめから