『劇場版 呪術廻戦 0』応援ありがとうございました!
第二期も制作決定。2023年放送開始です。詳細は後日!
岡田麿里監督作品『アリスとテレスのまぼろし工場』
副監督で参加しています。
お楽しみに!
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「平常」「正常」「解放」…いろいろな言い方がされますが、感染症の取り扱いを5類に引き下げれば、コロナのない社会が戻ってくるというお話。
要するにコロナ対策やマスクのない社会が正常なのだから、早く戻してくれということです。
わかります。ボクもそうなれば良いと思う。
しかし結論から言えば、
正常化とは、政府が財政支出を増やさず国民を守らないサボり状態に戻る、ということだろう。
コロナ前とは不況状態のことですから、政府が財政方針を拡大に改めない限り、以前より良い状態には戻りっこないのです。
コロナ対策は「まん防」という謎対策が登場したあたりから有名無実化がはじまり、去年は緊急事態宣言なしだった。感染状況や死亡者数など状況は悪くなっているにも関わらず、です。もう1年以上前から「対策を緩和して正常化を」目指していたわけですが、結果は逆で、死亡者数は過去最多を連続更新する有様です。
経済的観点で見ても2年前のように感染拡大期に街がすっからかんになることはなくなりましたが、それでも買い物や外食、旅行などがコロナ前に戻らない状態がつづいている。
NHKが発表している「街の人出」データを見ると、感染拡大前は平年以上の人出に戻っているが、拡大がはじまると平年を下回る。人流が減る幅が少ないので感染拡大の規模も大きくなっているのだけど、そうすると外出を控える人もなくならない(*)。
経済を回そうとすれば感染拡大を引き起こして結局は経済が回らなくなる。
この感染症と経済のパラドックスはコロナ禍初年には観察できた事実だった。
「5類に格下げして感染対策を緩めればコロナ禍は終わる」などという話は非現実な願望に過ぎないのです。
5類格下げに関しては、「世界が緩和しているのだから日本も」という人が積極財政派にも多数存在します。
まず「世界」とやらの感染対策をご存知なのだろうか。
厳格なロックダウンは中国やオーストラリアなど太平洋州だけの対策じゃありません。欧州でも長期に渡るロックダウンで感染拡大を抑えようとした。アメリカも州によって実行した。
PCRや抗原の検査を徹底し、マスクは罰則付きの義務を課した。医療体制も強化した。
これらの実行に、巨額の財政支出をおこなったのです。EUでも日本の3倍程、アメリカは6倍程になった。家計や企業への財政支援も日本より手厚かった。
このように、厳しい対策とセットで財政支援を徹底したのが「世界」です。
厳しい対策とセットで政府が財政支援した結果、世にいう「リスキリング」が進んだようです。検査や医療へのアクセスが向上していると、海外在住日本人は言います。
日本はどうなのか。
もう散々書いてきたので繰り返すのも面倒ですが、まず最初の一歩、財政支出が少なすぎる。
財政支出が足らなければ、検査医療の拡充は不十分になる。一律給付は一度だけ。企業支援は「融資補助」止まりで粗利益補償はしなかった。このため返済時期が来て倒産がどんどん増えてます。
検査体制は強化されず、感染拡大が起こると決まって飽和してしまい実際の状況がわからなくなった。医師看護師を増やす予算が不十分なせいで、病床はあるのに患者が診られない。
結果、自宅療養が増えてそこからの二次感染や死亡が増えた。
政府支出を増やして仕事を作らないので、リスキリングもさっぱり進んでいないようです。
去年のオミクロン株流行で、欧米は感染者数は増えたが死亡者数を減らすことに成功した。
これが、対策緩和の科学的かつ医学的根拠だったのです。
日本はどうでした?
死亡者数過去最多更新でしたよね。
やってることと結果に雲泥の差があるのに、「世界は〜〜」って…笑えませんがな。
*そもそも、政府支出を増やさない方針からは所得が増える政策はでてこない。したがって、コロナ状況がどうであろうが、緊縮方針を変えない限り不況から脱することはできない(できなかった)のです。
↑…だれ?
特に、積極財政を主張する人々が「対策緩和で平常に」「世界を見習って」とか言うのが信じられない。財政拡大の規模が違いすぎるのに何を言っているのか。
コロナ前から、政治家が使う「経済」とは不況に順応し緊縮財政を前提にした「政府に好都合な経済」に堕している。
「経済を回せ」は緊縮財政に好都合な政策を実行させることになると、コロナ初期から書いてきましたが実際そうなってますよね。「Go to」なんちゃらとかも「選択と集中」で一部にしか恩恵を与えられない。消費減税は頑なに拒否です。とてもじゃないが全体の景気回復、所得増につながっていません。
それでいて、いかにも仕事をしたという顔で、なんとなく支持率を稼ぐ手法はうまくいっている。岸田総理の不人気で内閣支持率は最低だが、自民党の支持率はほとんど下がらないのがその証拠です。
5類格下げは、「政府に好都合な経済」を回す口実になるでしょう。
「平常に戻る」とは、緊縮財政が普通だったコロナ前に戻ることになるでしょう。
感染状況だけでなく、経済状況も悪くなる予想しかできません。
なぜなら、これまでが悪化の一途だったからです。
積極財政派の少なくない言論人が財政拡大要求を二の次にしてしまったのはなぜか。
思えば、「コロナの受け止め方」とやらに執着したのが間違いの元でしたね。
コロナの受け止め方に執着し、厳しい対策を嫌がった積極財政派の人々は楽観論に逃げ込み「コロナは風邪と変わらないのだから、短期的に財政拡大を諦めて経済を回すことを優先しよう」と考えたのではないか。パンデミックが願望の通り1年以内に収まらなかった時点で考えを改めるべきだったが、感染症の取り扱いを優先して主張した間違いを認めることができなかった。
こういう主張を一度公言してしまうと、特に言論で地位を築いた人は間違いを認められない。専門家が風邪とは違う危険な感染症だと繰り返しても間違いを認めなかったのです。
藤井聡氏が典型でした。コロナ禍の早い段階で「政府は財政出動すると思えない」と公言し、経済を回すことで被害を抑えるべきだと主張。経済を回すにはコロナが危険な感染症であってはならないと論理が転倒。「コロナは風邪」で同調できれば怪しげなイデオロギー集団とも組むに至った。こうなるともう後戻り不可能です。内閣官房参与を務めたのだから与党政治家への影響力もあったでしょう。緊縮財政を変えないまま、コロナをなかったことにする、政府に好都合な方針へと導いた可能性すらあります。
彼に同調して同じような主張をした人は、現在「5類格下げ」を歓迎しています。結果、緊縮財政を後押しするに至るでしょう。なんと言っても、彼の「経済を回せ」に同調した一般人から「財源には限りがありますからね」と財務省が大喜びするコメントを引き出したのですから。
まー、高市氏や萩生田氏のような「政府に好都合な積極財政派」ってとこですね。
中野剛志氏や佐藤健志氏が藤井氏を批判したのは「コロナの受け止め方」一点じゃないことくらい彼らの対談を読めばわかるはずですが、そこも誤解されている。いや、誤解というより、積極財政を手前勝手な理屈で引っ込めたことを認めるわけにいかないから、「コロナの受け止め方」に逃げ込むしかないのしょう。
「コロナなんて」と軽視したがる人達ほどコロナに翻弄され道を誤ったと言わざるを得ません。
「感染状況や感染対策の規模に関わらず、財政拡大路線への転換が大前提である。」
ボクは2020年からずっとこう言ってきました。なぜなら感染症のことはわからないからです。
自然災害への考え方と同じですよ。いつどこにどんな規模で来るかわからないのだから、常に予算を出して最大級の備えをやれ、てことです。津波の警報が出たら即逃げろ、です。
「コロナは風邪」に類する主張をした言論人らに国土強靭化を言う資格はあるのだろうか。
なお、オミクロン株は(もう覚えてられないくらい変異をしながら)アメリカではクラーケンという変種が主流になっているそうだ。「5類格下げ」派が称賛すべき中国は対策停止で感染爆発が起き膨大な死者が出ているようですが、その中でどんな変異が起きているかもわからない。
最新の研究報告でも、どうなるか「わからない」のが現状です。
わからないことをわかった風に言い、「はい、おしまい。コロナ、おしまい」という態度はあまりにも無責任だ。
しかし、役割と責任を放棄している政府や政治家共とは気が合うに違いない。
本記事は「コロナ対策をどうすべきか」という趣旨で書いていないことをご確認ください。
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