家を建てるとき、どのようなデザインをするかは迷うところ
年配の棟梁に「和風な家を」と頼むと、ふた間(2部屋)は多目的広間に・・・・そして板縁(いたえん:外部と部屋の間に設ける廊下兼干渉空間)を設けてくれるでしょうね。
今日お邪魔したお宅も、そのような棟梁が手がけた典型的和風住宅。
玄関の桁に大きな丸太を使ったり、銅板を多用したりの凝った住宅。
当時はあこがれの造りでしたね、今でもこのような造りを良く見ます。だから、古い訳じゃないんですね、そのようなスタイルとしてあるんですね。
ごらんのようなめちゃくちゃ広い廊下はその象徴
(両脇の低い家具はオーナーが新しくデザインされたテレビ台で、これから売りに出されるものです)
多目的広間は住人が使うことはまれで、宴会、来客用、冠婚葬祭用に準備されていました。二つの部屋の間は襖(ふすま:紙と木で出来た移動式仕切り版)で仕切られ、その襖を取り外すと広~い大宴会場になります
時代は変わり、宴会は宴会場で、宿泊は近くのホテルで、冠婚葬祭は専用斎場で行われるようになり、そのような大広間を設ける必要もなくなりました。
「今の生活に合っていないわ、思い切ってリフォームしよう!」とやっちゃったのが写真の住宅です。
奥さんが考えたリフォーム案は、ガンコ棟梁にすれば『とんでもない』アイデアでした。
北側の台所を暖かい南側に、多目的広間を広いリビングに、意味のない板縁も部屋の一つに、何より採光のために窓を多く増やす、というものでした。
困っちゃったのは大工さん。あちこちの壁を取っ払って次々に窓をつけなきゃならない。
筋交い(すじかい:地震対策の補強材)の入っている壁も中身を見せちゃって、筋交いの両脇は三角の窓になった。
大広間の真ん中に掘りごたつが出現。テーブルはコストを抑えるために台所で使っていたテーブルを活用しています。脚を短くすればそのまんま使えますね。
そして一番暖かい南側の部屋はオープンキッチンとなり、天井付近にまで窓がつけられ、多目的大広間との間にあった壁も取っ払われてごらんのような巨大なスペースが生まれました。
ひろいスペースに掘りごたつ。和紙でできたふちなし畳がほのかに和のテイスト。
壁紙は竹で編んだようなデザイン。これはまさに東南アジアの間仕切り壁をイメージしています。
タペストリーも多用し、あちこちにグリーンが飾られて目にも優しい。
濃い目の色で塗られた無垢材家具は、控えめに部屋に溶け込んでいます。
「一番長く家にいる人が家をデザインすべきなのよ」とのこと。
たしかにそうですね。女性にやさしい間取りや色合いが女性を幸せにし、家族が幸せになれるのかもしれません。
家造りは幸せづくり、家族の幸せづくりなんだなぁ