アイーダ【2023.4.19】/新国立劇場/グランド・オペラ/ロベルト・アロニカ
4月19日(水)、新国立劇場にて「アイーダ』を鑑賞した。大変な人気演目で、劇場は、文字通りの満席だった!こんなの初めて!7回公演がある中で、今回は、最終回。私は、大体3階のB席を買うのだが、今回は、チケットをとるのが若干遅くなってしまったら、もうほとんどB席のチケットが残っていなかった。仕方がないので、3階席の4列目(一番後ろ)の席を確保した。でも、一番後ろって案外いいかも。背後に誰もいないので、前に乗り出しても文句は言われないし、結構段差があるので、前の人が頭が邪魔にならないし。さてさて、ゼッフィレッリ演出の今回の『アイーダ』良くも悪くも、グランド・オペラだわ〜グランド・オペラとは:5幕からなっていて、2幕か3幕にバレエが入って、絢爛豪華で、あっと驚くような仕掛けがあって、スペクタクルで。何せ、7月王政の時代(1830−45年)に、パリで大流行した、成金相手の一大娯楽だからね。(実際には、『アイーダ』は4幕で、イタリア風グランド・オペラだけど)当時の観客の目的は、純粋に音楽を鑑賞するというんじゃなく、娯楽&社交。当時の桟敷席には、パトロンをつれた高級娼婦が陣取っていたり、椿姫みたいに、ツバキの花を置いてパトロンを物色したりしていたはず。だから、幕間には、ワインを飲んだり、知り合いとおしゃべりしたりしなくちゃいけないのに、私のように誰とも話さず、アルコールなんて飲んだら眠くなっちゃうじゃない!、とばかりに飴を舐めて空腹を紛らわすなんていうのは、グランドオペラを楽しむ態度としては、もっての外なの(笑)ヴェルディだって、心得たもので、音楽に造詣が深いかつての貴族階級を満足させるような音楽じゃなくて、金儲けには長けているけど、”教養”は欠けている人々が満足するような音楽を提供している。今回の『アイーダ』の演奏も、煽り立てるところは、しっかりと煽り、アイーダ・トランペットも華々しく、バレエダンサーも一流を揃え、お馬ちゃんも2頭登場したし、登場人物もわらわらと舞台を埋め尽くし、豪華絢爛と言おうか、成金趣味と言おうか(笑)、グランド・オペラの真髄を見せつけていた。歌手陣では、特に、ロベルト・アロニカが良かった! 力強いテノールで、ガンガンに煽るオケに全く力負けしていない。美声というのではないが、豪速球のようなスカッとした声質と歌い方で、軍人ラダメスの役どころにも、とても合っていたと思う。アイーダ役のファルノッキアもよかった。ただ、この絢爛豪華な演出では、アイーダの”苦しみ”がうまく表現しきれないのではないかと思う。かつて、同じ演出で、ネトレプコとラチヴィリシュヴィリの「アイーダ対アムネリス」の対決を映画館で見たが、やはり、アイーダの苦しみがあまり伝わってこなかった。舞台があまりにキラキラしているので、アイーダが繰り返す”pietà”, pietà"が、なんだか空々しく聞こえてしまうのだ。アムネリスを演じたアイリーン・ロバーツは、若干力不足だったかな〜。でも、これは、映画館で見たラチヴィリシュヴィリのアムネリスがあまりに素晴らしかったので、私の期待が大きすぎたためかもしれない。。。実は、私は、「アイーダ』を鑑賞する前に、グランド・オペラの対局とも言える演奏会形式のオペラを三つ鑑賞している。形式としては、演出がない分とても簡素なんだけど、歌手の歌唱を堪能するという意味では、案外、演奏会形式の方がいいかもしれない、と思った。グランド・オペラは、オケもガンガンに鳴らすので、それに負けまいと、どうしても歌唱が粗くなる傾向にあるような気がする。特に、しっとりとした歌唱を味わいたい時には、むしろ、演奏会形式の方が合っているのではないかと感じました。指揮:カルロ・リッツィ演出:フランコ・ゼッフィレッリバレエ:東京シティ・バレエ団アイーダ:セレーナ・ファルノッキアラダメス:ロベルト・アロニカアムネリス・アイリーン・ロバーツアモナズロ:須藤慎吾ランフィス:妻屋秀和グランド・オペラに関する記事です。『オペラの歴史(3)/成金たちのグランドオペラ(18世紀後半〜19世紀前半)』岡田暁生著『オペラの運命』(第3章)からグランド・オペラ第3章は、フランス革命以後の時代を扱っている。ナポレオンから王政復古の時代(18世紀後半~19世…ameblo.jp『アイーダ/オペラ/METライブビューイング/アイーダ VS. アムネリス/感想』アイーダ VS. アムネリス5日(木)、METライブビューイングアンコールで「アイーダ」を鑑賞した。が、。。。結局、3200円を払って、お昼寝にいったよう…ameblo.jp