喜八郎の道中日記 *小さなフランス料理店復活までの日々* -20ページ目

喜八郎の道中日記 *小さなフランス料理店復活までの日々*

新たなステージへと歩み始めた喜八郎。
その道のりは意外と長く険しいものに…?こうなったら、焦らず騒がず機を待つべし。
黙々と復活の機会を待ちながら、日々料理の道を究めるべく精進する喜八郎の奮闘記!

二日目の午後は、楽しみにしていた「酒井ワイナリー」へ。

ウッディーファームを後にし、岸平さん、城戸さんとともに赤湯に向かいました車


grace グラース kihachiro HACHISUKA *小さなフランス料理店の日々*

ワイナリーに到着すると、前日のセミナーでもお会いしていた一平さんがお出迎え。

一平さんの顔を見ると、なぜかほっとしちゃうんですよね~ニコニコ


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見学の前に、まずはみんなで一平さんおすすめの洋食屋さんでランチを。

カレーとナポリタンが美味しかったですラブラブ


畑の話、格付けの話、コンクールの話などなど、ここでも面白いお話がたくさん飛び出しました。

岸平さん、城戸さん、一平さん…よく考えたらすごいメンバーだったなーショック!


ランチの後は、仕事に戻る岸平さんにお別れをして、まずは噂の急斜面畑を見学に。


「上に登っちゃうと何も見えないんで」

と、まずは傾斜の下から拝見。


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うわっ!と声が出てしまうほどの急斜面ショック!


傾斜40度以上になるところもあるんだとか。
この斜面で作業をするなんて、考えただけでも目がチカチカしてきます。


「ここでの仕事に慣れてると、地面が平らだっていうだけで仕事が楽ちんに感じるんですよね~」

と。

そりゃそうでしょうともガーン


そして、こちらが畑の上から見た景色。


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うん。

眺めは素晴らしいけど、確かにここからじゃ畑の様子は全く見えませんね汗

降りて行くにも、足がすくみます。


入り口には、酒井ワイナリーのマスコット(?)、草を食べてくれる羊くんたちがヒツジ

子供たちも大喜びで、羊たちに草を食べさせてあげていました。


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羊くんたち、近くで見るとほんとにかわいいラブラブ


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でも、名前はつけていないんだそうです。

情が移ると潰せなくなるから…とお姉さん。

そうですよね。そのあたりは、さがのプロ意識です。


「超」がつくほど自然派志向の一平さん。

畑(=一つの作物のみを植えて育てる)という人間が作りだした不自然な環境の中で、

いかに自然の生態系に近づけられるかをいつも考えているといいます。



「そのうちボルドー(ボルドー液)も自分で作れないかなと思ってるんです。」(一平さん)


「ははははは」(城戸さん)



「震災でガソリンがなくなったとき、本当に困った。だから万が一の時のためには、やっぱり馬を飼うのが一番だなあと。」(一平さん)


「むりむりむりむり」(お姉さん)



・・・本気とも冗談ともつかない訥々とした口調で語る一平さんに、

笑っていいのやらうなずいていいのやら汗


でも、「羊を飼うって言った時も、みんな無理だって言ったんですよ。」の一言に、

次回訪れた時は確実に馬がいるに違いないと思ったのでした得意げ



「自分たちは百姓だから。」が口癖の一平さん。

文字通り百の命を育てる。葡萄だけというわけじゃなく、そこで育つ山菜も採るし、羊も潰して出荷する。


自然とともに生きようとする信念は、他の誰よりも強いのではないでしょうか。



畑から戻り、次は醸造所の中を見せていただくことに。


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重厚な扉の向こうには、樽や一升瓶に入って出荷を待つワインたちが静かに眠っていました。


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熟成の仕方などについても、城戸さんからいろいろとアドバイスを受けたという一平さん。

その意気込みと信念で、これからも酒井ワインの品質は上がり続けていきそうですキラキラ



最後は赤湯の駅まで送っていただいて、別れを惜しみつつ山形を後にして東京へ。

酒井さん、城戸さん、岸平さん、本当に本当にお世話になりました!!



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赤湯の駅では、こんなレアな酒井ワインも見つけちゃいました音譜


旅のお供とお土産にぴったりのひとくち小瓶。

赤湯に行かれる方は、ぜひ駅の売店をCheck!!グッド!



♪♪その⑥に続く♪♪かたつむり


なんだか長々と書いてしまった旅行記、ようやく二日目ですあせる


山形での二日目は、岸平さんからぜひ行ってみてほしいとご推薦があった「ウッディーファーム」 さんへ。


もともと、伊勢丹や高野に洋ナシやさくらんぼを卸している大きな果樹園なのですが、

製造免許を取得し、現在ワインの醸造所を建設中。

来年の秋から本格的にワイン造りが始まるそうで、まさに山形期待の新星です流れ星


広々とした敷地の中には、さくらんぼや洋ナシの古木が広がる畑があり、

その横の高台には、2年目のブドウ畑が悠々と広がっていました。



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こちらがオーナーの木村さん。朝早くから、畑を案内してくれました。


眺めの良い畑の隣にはまだ広い敷地が残っていて、

「将来、ここでオーベルジュやレストランができたらいいな」と。


うーん、なんと魅力的なんでしょうね~ラブラブ


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葡萄の樹には、2年目にして早くも立派な実がたくさん!


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土地の特性をみるためにも、今はいろんな品種を植えているのだそうです。


あとから、岸平さんと城戸さんも合流♪

昨日の講義から派生して、仕立て方や栽培方法についてなど、プロ同士の話は真剣です☆


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そしてこちらは、なんとも美しく仕立てられた佐藤錦の畑。

おとぎの森に迷い込んだかのような緑のヴェールが、広々と続いています。


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そしてなんと、この畑の中には…


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羊!ヒツジ


葡萄畑に放牧するつもりで飼ったそうですが、

今はまだブドウが小さいので、今はさくらんぼの畑に放牧しているのだとか。


緑のカーテンの下を悠々と歩きまわるストレスフリーな羊たち。

のんびりと草を食む姿は、なんとも癒される光景でしたニコニコ


ウッディーファームはこれだけ大規模な果樹園であるにもかかわらず、

本当に自然な環境の中で果実を育てていることに驚きます。


さくらんぼの畑には、羊だけでなくカエルやバッタが本当にたくさん生息していて、

足もとにはいつも何かしらぴょんぴょんと…カエル汗


こうなると、もう子供たちは大喜びですよねにひひ


カエルは葡萄の木にもいい影響を与えてくれるので、ワインにもカエルをデザインしたロゴを付けようかと考えているそう。


「飲み物にカエルなんて、イメージ悪いですか?」という木村さん。


いえいえ、そんなことありません!

ウッディーファームならではの、素敵なロゴじゃないですか~合格



自然の生態系がしっかりと機能していながら、雑然とせず美しい畑。

岸平さんが、この新しいワイナリーに期待を寄せる理由がよくわかりました。



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こちらは、収穫を待つ洋ナシの畑。


前日の懇親会ディナーでは、ウッディーファームのポワレ(洋ナシのスパークリング)が出されたとか。

にごりがあって、とても美味しかったそうです(シェフ・談)



こちらも来年からは一般発売されるのでしょうかね~ニコニコ

とにかく、楽しみがいっぱいのワイナリーです。みなさまもぜひ、ご注目をキラキラ



♪♪その⑤に続く♪♪かたつむり


山形では「山形県若手葡萄酒産地研究会」という活動的な集まりがあり、

この日の午後は、第一回目の研修会が山形市内で行われる予定でした。


私たちの訪問と日程がちょうど重なったこともあり、

岸平さんの計らいで私たちもこの研修会に特別参加させていただけることにキラキラ


この日の特別講師は、なんと長野県Kidoワイナリーの城戸亜紀人さんクラッカー


栽培農家さんを対象とした勉強会なので、

長野でのブドウの仕立て方や栽培方法などについての専門的な講義でした。


私たちには理解しにくいところも多々ありましたが、城戸さんの畑の様子やワイン造りへの想いなど、勉強になることばかりの本当に貴重な時間でした。


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後半には、城戸さんが持参したワイン5種類をテイスティングワイン

もはや市場で手に入らないような、貴重なワインばかりですキラキラ


土壌、栽培、醸造と、全ての工程にこだわりを持って作られるワインは、

流石の個性と輝きを放っていました。



そして今回、何より印象的だったのは、参加していた作り手の皆さんの熱心さ!!

タケダワイナリーを先導役として、山形のワイナリーがどんどん活性化している様子が肌で感じられました。

こうした地道な努力こそが、日本ワインの底力になっていくんでしょうねニコニコ



勉強会の後は、参加したみなさんとの懇親会を兼ねたディナー。

ここからは、セミナーの間小守役だったシェフとバトンタッチです。


ここでも、参加したみなさんが持ち寄った貴重なワインをたくさんテイスティングさせていただき、

岸平さんからいろいろな作り手の方々をご紹介いただいたそうです。


もっとたくさんの人に、山形ワインの魅力を知ってもらいたい―

そんなみなさんの気持ちを痛いほど感じました。


グラースのような小さなレストランではまだまだ力量不足ですが、

できる限り、一人でも多くの方たちに彼らの魅力をお届けしたいと思います。


まずはメーカーズディナーの特別編として、『山形のワイナリー特集』を企画せねば…メモ



♪♪その④に続く♪♪かたつむり



タケダワイナリーの醸造所では、大きなタンクで醸造も少しずつ始まっていました。


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どーんとタンクが並んだ醸造所の外には、契約農家さんから次々とブドウが届いていて、

暑い日差しの中でもワイン作りの季節が始まろうとしているのが感じられます。


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その横にあるコンクリートのスペースでは、スプリンクラーの下で水浴びをしながら暑さをしのぐ雀の姿が音譜

聞けば、このスプリンクラーは日中ずーっとここで周っているそうです。


その理由は、次に案内していただいた地下の熟成庫にありました。


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広々とした地下の貯蔵庫には、出荷を待つ樽やワインが大切に保管されています。



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ここは、地上でスプリンクラーが周っていたところのちょうど真下にあたる部分。

地上部分が熱くなり地下室が温まってしまうことのないようにと、水を撒いていたのです。


ちなみにこの水はすべて地下水とのこと。エコですね~ニコニコ



もうひとつの古い貯蔵庫では、こんなお宝も発見♪


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奥のほう、わかりますか?なんと、キュヴェ・ヨシコのロゼラブラブ

ピノ・ノワールに少しだけシャルドネを合わせて作ったそうです。


まだリリースしていないものですが、特別に試飲をさせていただきました~キラキラ


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当然ですが、これはすごい。


まだまだフレッシュな印象ですが、パワフルさとエレガントさが同居していて。

確固とした風格があるのにチャーミングな部分も垣間見えるような、本当に魅力的なワインです。


まだ販売できるほどの量は生産できていないとのことですが、

いつの日か市場に並ぶ日がくるといいですね~ラブラブ!



早朝からかなりゆっくりと時間をかけて見学させていただきましたが、 

実はこの日、山形では午後から大切なイベントが。


岸平さんご夫婦が幹事を務める、山形の若手醸造家の研修会です。


主催者でお忙しいにもかかわらず、ぎりぎりまで私たちに付き合ってくださった岸平さんご夫妻。

本当に本当にありがとうございました!!



♪♪その③に続く♪♪かたつむり

遅めの夏休みをいただいた今年。

4日間の休みをフル活用し、東北(山形)と北海道のワイナリーを駆け足で周ってきましたクラッカー


家族旅行と研修旅行を兼ねたようなあわただしい旅でしたが、

今までグラースのメーカーズディナーにお越しくださった生産者の方を中心に、

いろいろなワイナリーを訪ねてきました。


少しずつですが、素晴らしい景色や現地の方々の様子をご紹介して行きたいと思いますので、

気が向いたら気長に読んでいってくださいねニコニコ



さて、まずは初日。

ほぼ徹夜で早朝の新幹線に飛び乗り、山形は上山の駅に降り立ちました。


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駅前はとってもローカル。フランスの田舎町の駅を思い出します。


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朝早くに着いたので、まずは宿泊先に荷物を置きに。

今回は、タケダワイナリーからもほど近い「葉山庵」という温泉旅館に宿泊しました。


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なんだかとっても由緒ありげな雰囲気ラブラブ

純和風の作りですが、隅々まで手入れの行き届いた気持ちのいい旅館です。



のんびり一休みしたい気持ちを抑えつつ、

荷物を置いたらすぐにタクシーに乗って、今回の第一目標である「タケダワイナリー」へ!


「蔵王スター」という大きな看板をくぐると、岸平さんご夫婦が笑顔で出迎えてくれましたニコニコ



このあたりから徐々に気がついたのですが…

山形、異常に暑いガーン



日差しは強いし風はないし、東京の比じゃないぐらいの暑さです。

東北=ちょっとは涼しいと油断していたのですが、よく考えたら盆地は暑いんですよねえ。。汗



早くも暑さにバテ気味の子供たちをひっぱって、まずは畑見学に。


こちらは、醸造所のすぐ手前のシャルドネの畑。


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周辺には、天敵である鳥を追い払うための音声テープが鳴り続けていました。

鳥の被害は、本当にばかにならないそうです。

奥に見える丘陵地に、古木のマスカットベリーAが棚式で栽培されています。


こちらが、棚の下から見たマスカットベリーA。


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古木の美しさと鮮やかな緑が陽に輝いて、本当に素晴らしい光景でしたキラキラ



最大限の自然を残したこの畑には、いろいろな雑草が生い茂り、虫もたくさん。

足もとでは常に何かがぴょんぴょんと跳ね、油断すると頭は蜘蛛の巣にひっかかります。


目に見えない無数の命が、この土地にしっかりと息づいているのが伝わってくるようです。


時折坂を上ってくる心地よい風を受けながら、

「生き続けている土地」の神々しさのようなものを強く感じました。



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マスカットベリーAは樹齢がどこまで持つのか前例がないので、

岸平さんも毎年ドキドキしながら様子を見ているそうです。


ああ、もうだめだ!となってから植え替えたのでは間に合わないし、

かといって早まって抜くこともしたくない、と。


個人的には、あと何十年でもご老体に鞭を打って頑張っていただきたいところですが、

これもまた自然の摂理。人間が手出しできることではないのでしょうね。


今あるマスカットベリーAの味わいを、毎年しっかりと心に刻んで楽しみたいと思いますキラキラ


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ヴェレゾンもちらほら始まっている様子。



デラウェアはすでに収穫が始まっているようで、

入り口付近では契約農家さんから届いたブドウが甘い香りを放っていました。



そろそろ畑の暑さにダウンしてきたところで、次は醸造所の中へと移ります。



♪♪その②に続く♪♪ かたつむり