建築家 田口知子の日常をつづったブログ -82ページ目

ルーシー・リー展に想う

六本木の国立新美術館で開催されていたルーシー・リー展に行ってから、もう2週間以上経過してしまいました。6/21までの開催で、最後日の前日にやっと行くことができたので、ブログに書かねば、と思っていたのです。


さて、ルーシー・リーは、20世紀を代表する女性陶芸家、と言われているそうですが、私は陶芸には疎く、知らなかったのですが、先日展覧会で作品を拝見して、その魅力に心を奪われてしまいました。


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芸術家がつくる純粋な作品とは違って、器というのは実用的な意図をもった形でもあります。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 手付注器 1955年

鉢、水差し、おわん、花瓶、といった普段身近にある機能的な器の類を作品として成立させるのは何か?という問いは、アーキテクチャーとビルディング、建築と家は何が違うのか?という問いに似ている、と思いました。いずれも、人が使うものとしての機能を想定し、その枠の中で作品を追求する、という意味で、似ていると。そして、器は100%陶芸家という個人の美的関心を表現しうる、という点で、建築家の作品よりも、純粋な作家性を感じるのだろうなあ、などと考えながら興味深く眺めていました。そして、作品の周辺には確かな「空間」があると感じました。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 器の釉薬にはこだわり続け、色や質感を新たに発見しました。
薄さと重心のバランスが絶妙。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ プリミティブな存在感を持った花器。
 

素材、形のバランス、色調、模様、存在感、意味について、自分の求める作品性を探求し続ける情熱。そして、それらの作品が驚くほど現代的であると同時に、プリミティブななつかしさを感じるのは、どのような精神が生みだしたものなのだろう、とその人間性にも興味を持ち、カタログを購入。読んでいる中で、あー、そうか、とピンと来ました。


彼女の生きた、ウイーンの19世紀末から20世紀初頭、ウイーン分離派やアールヌーヴォーが華やなりし頃、彼女が影響を受けたのは、その時代の物理学者のエルンスト・リーや、同じくノーベル物理学賞を受賞したエルヴィン・シュレーディンガーといった量子力学の始祖らとの深い交友があったという話を読み、謎が解けたと思いました。轆轤の回転が作り出す美しいフォルムは、シュレーディンガーの「ネガティブ・エントロピー」という概念に通じる、生命・宇宙の生成の謎に関係しているのかもしれない、とすると、時代も、流行も、美術の流れも超えて、現代人の心をつかむのはムベなるかな・・・。

その上、職人としての物質への執念と、芸術家としての独創的な能力がそなわった、たぐい稀な才能に、心からの驚きと感動を覚えました。 




「東十条の保育園」 着工しました。

昨年の11月から私たちの事務所で設計を進めてきた、「東十条の保育園」 がやっと着工にこぎつけました!


下が模型写真です。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 道路側のファサード

6/24に起工式を行い、7/1から工事が始まる段取りになりました。施工はゼネコンの第一建設工業株式会社です。



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起工式では、事業主の社会福祉法人様の采配で、JR東日本の方々、北区役所保育課、町内会長様ら含め、30名ほど出席されて、盛大な式になりました。


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この事業は、JR東日本の子育て支援プロジェクトとして立ち上げられ、JRの土地の一角を貸出し、法人の事業主をコンペで選定して運営は公益法人の民間事業者が行う、という共同参画プロジェクトです。

ホームページにも、プロジェクト詳細 をアップしました。


駅前にあるため、敷地が大変狭く、設計には大変苦労しましたし、構造家の梅沢氏には本当にお世話になりました。確認申請の検査機関にとっても難問が多かったようで、申請許可が下りるまで1ヶ月近くかかりましたが、今日の昼、やっと認可証をもらい、ぎりぎりの駆け込みですがなんとか着工日に間に合いました!ふう。(;^_^A


とにかく、晴れて明日から土を掘りはじめます。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ こちらが敷地風景。細長い、巾の狭い敷地です。


右側がJRの駅の操車場で、電車は入ってこないですが、線路があります。

第一建設さんと協力して、力を尽くしてよい建物をつくっていきたいと思います。



千駄木の家、竣工写真アップしました。

先日撮影した「千駄木の家」 の写真ですが、本日、ホームページにアップ しました。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 道路から見たところ。坂の上の住宅です。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 正面写真です。

竣工から半年たっての撮影ですが、ほとんど新築のような美しさです。

住み手のKさんのご協力によって実現しました。


撮影は、ナカサアンドパートナーズの藤井浩司さんです。気持ちを込めて写真を撮ると、その建物が新しい命をもらうような感じがします。


キッチンから見た正面写真が特に気に入っています。この家の空気がとてもよく現れていると思います。



建築家 田口知子の日常をつづったブログ キッチンからダイニングを見たところ。お母さんの日々の目線。



建築家 田口知子の日常をつづったブログ キッチン見上げ。吹き抜けの小さな穴から顔を出す長男のS君はサービス精神たっぷりでした。

当日、撮影にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。