「高齢者の住空間研究」冊子の発行のお知らせ
昨年末、東京ガス都市生活研究所が定期的に行っておられる住空間に関するワーキンググループにて、設計協力させていただいた冊子がまとまりました。
テーマは「高齢者の住空間研究」です。都市生活研究所が行ってきた実態調査・研究とともに、私たち建築家が普段の仕事の中で考えていることをあわせて、共同で冊子を制作するワーキングを行いました。
私は、高齢者といえば介護、バリアフリーという考えに直結するのではなく、後期高齢者になっても、自立して心身共に健康を保って住み続けられる住まいとはどのようなものか?ということをゼロベースで考えてみました。家事は楽にしたいけれど、適度な運動もできる、回遊型導線や階段が実は大切、階段の勾配がゆるければよい、とか、近隣とのお付き合いが生まれる趣味の土間空間、といった、生活にプラスアルファの要素を加え広がりやきっかけを日々つくっていける家、というイメージが大切ではないかと考えました。
集合住宅についても、親戚や友人などとのゆるやかなコミュニティーを形成するような、いろいろな共用部の在り方、つながり方を提案しています。老人用の施設ではないけれど、高齢者に配慮した集合住宅で多世代交流があり、さまざまな趣味や運動が身近な建物内外で可能になるような工夫をすることで、自立した健康的な暮らし、プライバシーとコミュニケーションを両立できる、そういう集合住宅をつくりたいと考えています。
ワーキンググループのおかげで、これからの社会に必要な住まい、ということについて、自分の考えを形にすることができ、とても充実した時間を過ごしました。
もし内容にご興味がある方がおられましたら無料で差し上げますので、お気軽にご連絡ください。
中野区K邸現場レポート20170316
今日は良いお天気でした。
事務所の近所では桜が早くも開花しています。
中野区K邸は、耐火ボードが貼り終わり、塗装下地を施工しています。
木造になったことで必要壁両が増えて、柱も増えて、だいぶ窓が制限されてしまいましたが、壁を2重にすることで半分だけ開口を、という小さな努力の積み重ねが意外と効果的。不思議な光の交錯を生み出す建築のボリューム感がおもしろいです。
外壁は外断熱に通気胴縁をつけています。軒裏のケラバ部分は防水を密着させ裏から板金で押さえます。端部、入隅の防水は、細心の注意を払って施工しています。
地下のスタジオはコンクリートの補修と下地施工中です。
空間の形が現れてくると、光の存在が印象的に感じられるようになります。ちょっと傾いた壁の存在は、建築とは違い、何か別の、自然の洞窟のような特別なものを想起させる感じがします。
「足跡姫」観てきました。
野田秀樹の「足跡姫」を観てきました。
先日、東京芸術劇場で上演されている「足跡姫」観てきました。池袋の芸術劇場、できた当初は、巨大なエスカレーターが批判されたりしましたが、2013年にリニューアルされて以来、初めての訪問でしたが、とても快適で美しい、居心地の良い劇場に進化していました。設計監修には香山壽夫先生。
舞台は江戸時代、宮沢りえ演ずる「三・四代目出雲阿国」を主人公に、歌舞伎が生まれた時代のお話し。歌舞伎は女歌舞伎から始まったそうで、風俗的要素があったため幕府に禁止され抑圧されたため、形を変えて今のような芸能の形になったようです。
この作品、2012年に亡くなった歌舞伎役者 中村勘三郎氏へのオマージュ、とのこと。生と死、この世とあの世をいったりきたりするような舞台でした。最後のシーンでは勘三郎さんが舞台に立っているようで思わず泣けました。
それにしても宮沢りえさん、あまりに美しく、妖艶で、尋常ならぬ身体表現に圧倒され魅ました。
りえさんはすごい演劇人だったのだ、とあらためて彼女の才能に感動しました。
妻夫木聡や古田新太という魅力的な俳優陣も味わい深く野田秀樹のダジャレ系、アドリブも冴えてくだらないものも真剣に作り込む言葉遊びも楽しい。
演劇というのは後に残らない一回きりの身体表現。瞬間にかける人たちの美しさと潔さは、自分としは憧れる圧倒的エネルギーの放出。その中に、現代の人をつかむテーマと思いを乗せられる演出家というのは、本当に尊敬します。
勘三郎さんは、肉体の芸術は何も残らないのが残念、という言葉を残されているそうですが、音楽家でも演劇人でも、その瞬間にすべてを出し切るパフォーマンスは、その凝縮したパフォーマンスは、人間が表現できる芸術の中でも、おそらくもっとも強い感動を与えられるものだし、記憶に深く残るものだなあと思います。
建築は長く残るけれど、ふだん、人の意識に上ることは少なく、背景だなあと・・。(笑)
時空が錯綜したり、生と死が本当にその場所で起きるように表現する、生の舞台の奥深さ・・。
野田秀樹はやっぱりすごい・・です。








