暇老身辺雑記 -8ページ目

百田尚樹著「海賊とよばれた男」講談社

 「永遠の0」を読んで、この著者の筆力と構成力に感嘆した。そのため、今年度の本屋大賞を得たこの作品を読むことにした。この作品の主人公は国岡鐡造と言う名前になっているが、実質的には出光石油の創業者・出光佐三の一代記となっている。

 学生時代から先を読む力に長けていた主人公が、神戸高商を卒業すると小さな商店に丁稚奉公する。商売のイロハを身に付けたいとの思いからである。そして2年後、奇特なスポンサーに恵まれて国岡商店を創業する。機械油の商いから出発し、船の燃料油の独創的な売り方で販路を拡大して商店は大いに発展する。その後、太平洋戦争で壊滅状態になり苦労を重ねるが、石油販売で商店は成長を続け、日本有数の石油販売業者となる。さらに、石油精製装置やタンカーも自社で所有する日本有数の石油企業に発展する。しかし、その発展の陰では筆舌に尽くし難い苦労があった。

 上下2巻で700ページを超える大作であるが、一気に読ませるだけの筆力をこの著者は備えている。浮彫にされる先を読む力の凄さ、正しいと信じる道を突き進む迷いのなさは、主人公が稀有の経営者であった事を感じさせるものであった。

トカイワイン

 最近、宝塚阪急のワイン売り場が少し改装された。ソムリエナイフ、コルクの替栓、チーズなどがごちゃごちゃ置かれていた台が取り払われ、ワインの棚になった。そのため、置かれているワインの銘柄数がかなり増えた。どんなワインが増えたのかなと眺めていると、ハンガリーのトカイワインが目に着いた。

 トカイはフランスのソーテルヌとともに貴腐ワインの名産地である。トカイワインには五段階の等級があり、1から5までのプットニョス(PUTTONYOS)と言う単位で表示される。1は約1000円、5は1万円以上の値段となる。

トカイワインには一つの思い出がある。20年ほど前にブダペストに出張した際に、ホテルの部屋に入るとテーブルの上にメッセージを添えたトカイワインのボトルが置かれていた。翌日訪問する予定の会社の社長からの贈り物であった。素晴らしい気配りに感激した次第だ。

百田尚樹著「永遠のゼロ」講談社文庫

 最近ベストセラーを次々と送り出している著者のデビュー作である。初めてこの著者の作品を読んだが、達意の文章と緻密な構成力に感嘆した。

 司法試験に4回も失敗して自分の将来を見定める事が出来ない男とその姉のフリーライターの女が、ふとした事から自分たちの祖父がどんな男だったのかを調べだす。祖父だと思い込んで接していた人とは血のつながりがなく、彼らの母は祖母の前夫の子供であった事を祖母の死後に知ったのである。祖母は母に前夫の事は一切話さなかったらしい。祖父は宮部久蔵と言う名前で、神風特攻隊員として死んだ事以外に何も分からなかった。厚生労働省で祖父の軍歴や戦友会の存在を教えてもらい、祖父と交流のあった旧軍人達を探して話を聞く事にする。しかし終戦60ってい ので生き残りは少ない。何人かから話を聞き、祖父の人となりが浮かび上がる。祖父はゼロ戦の搭乗員で、中支戦線から南方に転戦し、終戦直前に特攻で沖縄付近で死んだのである。

 作品では、旧軍人たちの口を借りて真珠湾攻撃から終戦に至るまでのゼロ戦の活躍ぶりが語られる。それと共に搭乗員たちの生活状況や心情も提示される。さらに学徒動員兵の実態についても詳しく述べられる。

 この作品全体を通じて浮かび上がってくるのは、「日本軍の人命軽視」であると感じ、読んでいて涙が止まらなかった。

井山裕太棋聖が大三冠に

 昨日と今日の二日間にわたって行われた囲碁名人戦七番勝負の第5局で黒番の井山裕太棋聖が山下敬吾名人に4.5目勝ちし、通算41敗で名人位を奪取した。この瞬間、井山は棋聖位、名人位、及び本因坊位を併せ持つ大三冠となった。趙治勲名誉本因坊に次いで史上二人目の偉業達成である。

 今期の名人戦は弟3局で井山が珍しくミスを冒して犯して敗勢なったあと、山下が信じられないようなミスを犯して敗れると言う大ハプニングがあった。今日も井山が地を稼ぎ過ぎ、山下が広大な白模様を形成して勝勢を確立したかに見えた。ところが井山の鋭い踏み込みに対して、受け方を誤り勝負を落としてしまった。名人位を死守したいとの思いが、大きなプレッシャーとなって山下の着手を誤らせたとしか思えない。勝負事は技術だけではなくメンタル面の強さがなくては勝てないことを今回の名人戦で改めて感じた次第だ。

みずほ銀行の反社融資

 みずほ銀行の反社会勢力への融資問題への対応は迷走を続けている。銀行側の発表は二転三転し、首脳部には報告が上がっていなかったとの副頭取の言明の4日後に、佐藤頭取が記者会見で、実は首脳部に報告が上がっていたと発表した。佐藤頭取が出席した役員会や、コンプライアンス委員会で4回も報告されていたとの事である。しかし、佐藤頭取自身はこの報告に記憶がないと述べている。この言葉が真実なら、認知症の診断を受けるべきだろう。実際は、反社融資が大した問題ではないと言う認識でいたのだが、事が大きくなったために、苦しい言い逃れをしたとしか思えない。即刻、頭取を辞任するのが当然と思われるのに、昨日の会見では第三者委員会の結論を待って自分の身を処すと述べた。見苦しい限りだと感じたが、凄まじい競争に勝ち抜いて登りつめた頭取と言う立場を守り抜きたいのだろう。

 金融機関は信用第一であり、トップが嘘を吐くようでは「みずほ銀行」の社会的存在価値すら疑われる。

酒の好みの変化

 胃腸の手術を受けた後、嗜好の変化が起こるとは聞いていた。例えば好きだった酒を飲む気がしなくなるとか、味付けの好みが変わるとかだ。私の場合は日本酒の好みが変わった。好きだった淡麗辛口が辛すぎるように感じられ、芳醇甘口が美味しくなった。

 困ったことに最近は淡麗辛口の酒が増え、甘口がめっきり少なくなった。阪急宝塚の日本酒売り場では、各銘柄に「辛口」、「中口」、「甘口」の表示が付けられて販売されている。見渡したところ、殆どが「辛口」で、「中口」が数銘柄、「甘口」は新潟の「菊水 ふなぐち一番しぼり」しか見当たらなかった。30年位前には大半が甘口で、辛口を探すのが難しかったように記憶している。日本の酒飲みの嗜好が時と共に大きく変わることを改めて実感した次第だ。

フクシマの汚染水

五輪の東京招致決定でのマスコミのお祭り騒ぎが一段落したようだ。それと共に、安倍総理の吐いた大嘘に漸く批判の目が向いてきたようだ。NHKや複数の民放が、福島第一原発の汚染水垂れ流しの実態を放映し始めた。

 NHKのクローズアップ現代では、汚染水対策に取り組む東京電力の現場が映し出され、実質的にお手あげの状態になっている事が報じられた。指揮を執っている副社長が疲れ果てた顔で『専門知識を持った人員が足りない』と呟くように語る場面が特に印象的であった。

 東京電力には当事者能力がないので、今後は国が前面に立つと大見得を切ったものの、具体的には何の進展も見られない。予算に盛られているのは二つの手立てだけであり、一つは原発建屋の周りに凍土壁を構築すること、もう一つは建屋の山側の地下水を汲み上げて海に流すことである。しかし、山側の地下水も放射性物質で汚染していることが既に東京電力により発表されており、海に流す事など不可能となった。凍土壁も全長何kmもの構築をした実績は世界中どこにもない。本当に計画通り構築出来るとは到底思えない。たとえ構築出来たとしても汚染水は溜まり続けるので、ポンプで汲み上げて保存せねばならない事には変わりがない。何十年にもわたって、無限に増え続ける汚染水を保存することなど出来る訳がない。

 私にとっては、国家非常事態宣言を出すべき危機だと思えてならない。オリンピックを返上し、各国の叡智の結集をお願いして対処すべきではなかろうか。

安倍総理の大嘘で決まったオリンピック招致

2020年オリンピックの東京招致が決まって、マスコミはお祭り騒ぎだ。しかし、最終プレゼンでの安倍総理の発言に仰天した人々は極めて多かったのではなかろうか。『フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません。』とイケシャーシャーと言い切ったのである。また、プレゼン後のノルウエイの委員からの質問に答えて、『汚染水による影響は福島第一原発の港湾内にブロックされている。日本の食品や水の安全基準は世界で最も厳しく、健康問題は今もこれからも全く問題ないことを約束する。』と大嘘を吐いた。

原発事故から2年半経っても汚染水の海洋への垂れ流しが続いているのを知りながら、平然と大嘘を国際舞台で吐ける安倍総理の人格に恐怖を感じたのは私一人ではあるまい。汚染水が港湾内にブロックされているのなら、なぜ福島県の漁業が壊滅状態を続けているのか。漁連の人達は安倍のプレゼンをどのように受け止めたのだろう。

安陪の言う閉じ込めとはフェンスによるものをそうしているのだろうが、フェンスで完全に海水が閉じ込められるなんてあり得ない。また、先般のタンクからの漏れ汚染水300トンはフェンスを張ってない所から海に流れ出たと報じられている。また、原発からかなり離れた場所の地下水も放射性物質で汚染されている事も露見している。政府化これから講じようとしている氷の壁による汚染水の閉じ込めもその範囲を大幅に広げねばならないだろう。そもそも氷の壁など過去に経験がなく、閉じ込めが成功する保証はないのである。さらに言えば、地下水の流路のデータなど全くなく、汚染が2年半の間に途方もなく広がっている可能性さえある。

大嘘で招致に成功したとはいえ、真実は必ず明るみに出るものである。日本人が嘘つき民族だとの将来の国際批判が恐ろしい。

世界で最も住みやすい都市ランキング

イギリスの経済誌エコノミストが自社の調査部門による世界で最も住みやすい都市ランキングを昨年の8月に発表した。世界の140都市について、安定性、健康管理、文化・環境、教育、及び社会基盤の5つのカテゴリと、30以上の指標を基に「住み易さ」を評価分析し、ランキング付けしたものである。毎年発表されているが順位はあまり入れ替わらない。

  2012年のランキングによれば1位はメルボルン(オーストラリア)、2位はウイーン(オーストリア)、3位バンクーバー(カナダ)4位トロント(カナダ)5位カルガリー(カナダ)、5位アデレード(オーストラリア)、7位シドニー(オーストラリア)、8位ヘルシンキ(フィンランド)9位パース(オーストラリア)、10位オークランド(ニュージーランド)、11位チューリッヒ(スイス)、12位ジュネーブ(スイス)12位大阪(日本)、14位ストックホルム(スウェーデン)、14位ハンブルグ(ドイツ)、16位モントリオール(カナダ)、16位パリ(フランス)、18位東京(日本)、18位フランクフルト(ドイツ)20位ブリスベン(オーストラリア)となっている。

  20位までにオーストラリア5都市、カナダ4都市が入っているのが目立つが、日本も2都市が入っているのが嬉しい。アジアは低位の都市が多く、31位に香港、52位にシンガポール、58位にソウル、61位に台北、72位に北京、73位蘇州、74位天津、77位クアラルンプール、78位上海と言った順位となっている。

室谷克己著「悪韓論」新潮新書

 著者は1949年生まれで慶応義塾大学法学部を出た後時事通信社に入り、特派員として1080年から5年間ソウルで生活している。2009年定年退社し現在は評論活動をしているそうだ。

 著者によれば「本書では、韓国の荒廃した産業文化を律する要因を探り、続いて韓国社会全体の病巣を分析した。」との事である。

 日本人には「滅私奉公」の精神が脈々と受け継がれている。「公」とはかつては幕藩体制化の「藩」や「店(たな)」であり、その後「国家」となり、戦後は「企業」となった。著者の言葉によれば「日本人の滅私奉公は、限りなく滅私奉企業として働く」のだ。これに対し韓国人が価値を感じるのは、いわば「滅公奉私」の精神である。韓国人にとって最も大事なものは、自分自身と家族、そして先祖と一族だそうだ。そのためもあってか職場定着率は極めて低く、社員の勤続年数は06年時点の調査では11.5年に過ぎない。こんな風土では、熟練工も育たず、不良率の低い部品製造業も存続できない。したがって大手財閥系の組み立てメーカー、確かな外国製部品に頼らざるを得なくなる。結果として、韓国の輸出が伸びるほど、日本の対韓部品輸出が伸びる。

 韓国人のメンタリティを表す言葉に、「外華内貧」と言うのがあるそうだ。中身はボロであっても、とりあえず外観を飾り立てたいと言うマインドだそうだ。現代韓国で盛んな美容整形もこれに直結している。

 著者さらに韓国における犯罪率の高さ、老人自殺率の高さ、カード決済率の高さ、闇記入業の多さ、法曹界の腐敗、海外にまで展開される売買春業などについて、公的データに基づき詳細に論じている。そして、「歴史ねつ造に基づく反日意識で武装しているような隣の小国と、親しく付き合う必要など、どこにもない」と結論付けている。