政策市場、時事評論
(文書なしの)関税合意は、米国言いなりの永続交渉か?
2025.7.30ー8.10追記修正

【はじめに】
~2025.7.20に、自民党が参議院選挙で敗北した直後に、7.22に、「関税合意」と発表が有った。
~今回の(文書なしの)「関税合意」は、米国政府が国内に成果を大風呂敷で発表するのに便利のようだが、一方で日米間で「合意内容の理解にズレが有る」のも明らか。
~他方、日本に遅れて合意した「EUは文書協定を結ぶ模様」だ。アジアだけ?日本だけ?が文書なしか?
~米国言いなりの永続交渉で「米国が履行を四半期ごとにチェックして、不満なら関税を上げる」!!
※「トランプ米政権、EUとの関税合意に関するファクトシート発表(米国、EU)」(2025.7.29 日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/07/893dafb2
※「米・EUが貿易協定で合意、トランプ氏と欧州委員長が発表-相違点も」(2025.7.28 Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-0
※「トランプ米政権、日本との関税協議の合意に関するファクトシート公表(米国、日本)」(2025.7.24 日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/07/d07bb6cd
※「日本政府、米関税措置に関する日米協議の合意内容の概要資料発表(米国、日本)」(2025.7.28 日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/07/d700297f

【1】米国議会を通った大型減税法案に「不当な外国税に対する報復税制」(Sec. 899)が有り、相手国の投資資産(利益)を取り上げる
~今、トランプ関税で「米国内への投資」を要求しているが、「投資した後に、上記条項で「差別的な税を課している国の企業・個人の所得」に超過課税して、結局、投資資産(利益)を取り上げる」のでないか?(例えば日本の米輸入関税は、米国から見れば差別的)これが「美しい法案である理由か?」
※「米上院財政委が「大きく美しい1つの法案」の修正案を提示、先行きは不透明(米国)」(2025.6.19 日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/06/f2989144
「(4)不当な外国税に対する報復税制(Sec. 899)
下院案では、グローバル・ミニマム課税やデジタルサービス税など、米国企業に対して「差別的な税を課している国」の企業・個人の所得(米国内を源泉とするものに限る)に対して追加課税する仕組みが提案されていた(注3)。上院修正案では、税率の上限を15%に引き下げるほか、適用日を2027年に遅らせる。」
「(注3)法案成立後90日以降、「差別的な課税」の発効後180日以降に課税が可能となる予定。毎年5%ずつ引き上げられ、最大20%まで課すことができる。ただし、「差別的な課税をしている国」のリストについては、財務長官が定めて公表することになっており、それまでは適用されないなどのセーフハーバー条項も設けられている。」

【2】日本の「対米方針を同床異夢にする」
(1)米国は利益で行動して、同盟国を見捨てて、安全地帯に引き下がる
※「「友人や敵はなく、利益だけがある」キッシンジャーが語った行動哲学 ウクライナ情勢から見える米国の本性」(2022.3.8 長周新聞)
~「またもや同盟国を見捨てる米国」、キッシンジャー「アメリカの敵になることは危険かもしれないが、友人になることは致命的である」「アメリカには恒久的な友人や敵はなく、利益だけがある」
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/22937
~「中東政策をめぐっては、アメリカがシリア政府転覆のために、CIAの手で自由シリア軍(反体制派)を訓練し、資金を提供し支援したが、うまくいかずにその秘密プログラムを停止した。」
~「アメリカとNATOが、ウクライナ大統領を前面に立てて、(親ロシアの東部地域で)ロシアを軍事挑発させた末、実際に戦闘が始まるや安全地帯(武器供給だけ)に引き下がってしまった。」
~「米中の緊張が激化し、オーストラリアがアメリカのお先棒を担いで中国を挑発すると、中国がオーストラリアからの小麦の輸入を禁止する対抗措置をとった。しかし、アメリカは同盟国を守るのではなく、中国に小麦を大量輸出して利益を上げたのが現実だ。」
~「キッシンジャーが秘密交渉で、ニクソン訪中、中国との国交正常化をしたとき、アメリカに従って「中国封じ込め政策」に腐心していた日本政府の頭越しにやられた。」
~「(中台戦争・国共内戦の再発に当たり)尖閣諸島を契機にして、中国との対話ではなく軍事的同盟強化により、自衛隊を米軍の下請軍隊に組み込んでいる」が、(ウクライナと同じに)戦闘が始まれば、沖縄を含む在日米軍は、グアムまで引き下がり「自衛隊の後方支援?!」「(有償)武器供給」に後退するだろう。
※「アメリカ、日本とオーストラリアに台湾有事の際の「役割明確化」を要求 フィナンシャル・タイムズ報道」(2025.7.13 FNNプライムオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/900884
~「中国が台湾に侵攻した場合の対応について、アメリカの歴代政権は、対応を明言しない「曖昧戦略」の政策を取っている。」
~それにも係わらず「アメリカ国防総省は、台湾を巡って中国と軍事衝突した場合を想定して、日本とオーストラリアの防衛当局に対して、両国がどのような役割を担うかを明確化するように求めた。」
~(引用者注記)米国は、今回、関税を武器に、中国に圧力を掛けたら「レアメタルの輸出を止められて」圧力を引っ込めた。「中国人留学生の排除も撤回した」。
即ち、今回明らかになったのは、「米国は中国と決定的に対立できない」「米欧対ロシアのように(軍事的衝突も)経済制裁もできない」
(2)「日本は国造りの方針を富国有徳にして」、「米国とは同床異夢になる」
※「強欲と争いの穢土に在って普通でない国を目指そう」
「三方良しを日本文化の基礎にしよう」
https://ameblo.jp/t1997/entry-12108487279.html
~旗印は「厭離穢土、欣求浄土(えんりえど、ごんぐじょうど)」
「戦国の世は、誰もが自己の欲望のために戦いをしているから、国土が穢れ切っている。その穢土を厭い離れ、永遠に平和な浄土を願い求めるならば、必ず仏の加護を得て事を成す(太平の世を開き保つ)」
~日本と世界の在り方、日本型価値基準/国造りの価値観・目標を、「猛獣型資本主義・市場原理主義」から「富国有徳・修正資本主義」へ、明確に軌道修正しよう。

【3】「アラスカの悪夢」は、日本がカモにされる「最悪のシナリオ」
※「日本人の血税」にトランプが狙いを定めた…ヤバすぎる10兆円巨大プロジェクト「アラスカの悪夢」で、日本がカモにされる「最悪のシナリオ」(2025.6.30 現代ビジネス)
https://gendai.media/articles/-/153813
~アラスカ州での液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトは、米欧の資源メジャーが過去に「採算が合わない」として手を引いた「いわく付きの案件」
~「最大のネックは、北米最高峰のデナリ(マッキンリー)を含む3つの山脈や、800を超える河川を通す難工事となるため、建設コストが莫大なこと」
~「2012年に米エクソンモービルや米コノコフィリップス、英BP、トランスカナダの資源メジャー4社が、パイプライン建設の検討でアラスカ州と合意しながら、頓挫。
2015年にトランスカナダが、2016年にエクソンモービルが相次ぎ撤退。BPは2019年に石油を含むアラスカ事業を全て売却し、開発構想は雲散霧消した。」
~2025「6月4日に米政府主催のカンファレンスに、経済産業省、松尾剛彦経済産業審議官が、韓国政府関係者らと参加。アラスカ開発投資とLNG購入が、対米貿易黒字削減やエネルギー安全保障につながる意義をレクチャーされ、押しまくられている。」
~「官邸筋によると、2025年2月、日米首脳会談で、経済分野を担当した経産省の荒井勝喜通商政策局長らが、トランプ大統領の歓心を買うためにアラスカLNGを事前調整でテーマに盛り込んだ。」
~「1980年代以降、アラスカ州から再三売り込みがあったが、どう考えても採算が合わないと断り続けてきた(大手ガス会社幹部)」
~「資源メジャーでさえ二の足を踏んだハイリスク事業を、日本の大手商社や電力・ガス会社だけで進められるはずがない(資源エネルギー庁幹部)」
~「国際協力銀行(JBIC)等の公的支援は、血税投入にほかならず、巨額損失のリスクが国民に付け回される。」
~「工事ができても、極寒の地で運営コストが嵩み、LNG価格は米国本土産やカタール産、豪州産などに比べて割高になり、電気代が高くなり、日本国民が苦しめられる悪夢。」
~前記【はじめに】ファクトシートでは、「日本による5,500億ドルの投資は、何十万人もの米国人の雇用を創出し・・投資分野として、液化天然ガス(LNG)や送電網を含むエネルギーインフラ、半導体製造・研究開発、重要鉱物の採掘・加工・精製、医薬品・医療機器、造船を列挙した。」「これらの投資から生まれる利益の90%を米国が保持する(?!)とした。」

【4】米国関税は、減税法案の財源だから、交渉してもゼロにはならない
※米6月の関税収入は約4兆円、前年同月の4倍 トランプ政権の措置で過去最高を更新(2025.7.12 産経)
https://www.sankei.com/article/20250712-S3KXJ2VA
~ベセント財務長官は、年間の関税収入は「3000億ドルを超えるだろう」との見通しを示している。
※トランプ大統領 重要政策の減税法案に署名し成立(2025.7.5 NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250705/k10014
~アメリカの議会予算局は法律によって10年間でおよそ3兆4000億ドル(引用者注記:年換算3400億ドル)、日本円にして490兆円余り、財政赤字が拡大するとの試算を公表している。
※米国株式が史上最高値更新、大型減税法案通過への「安心感」と米雇用統計が背景(2025.7.4 野村證券)
https://www.nomura.co.jp/wealthstyle/article/038
(1)今回の大型減税法案を可決させる上で、トランプ政権は財源として関税による歳入確保を約束していた。
~従って、米国関税は交渉してもゼロにはならない。
~元々「グローバリズム、所謂、自由貿易は、米国多国籍企業が世界の他国で儲ける為の仕組み」で、「伝統的には発展途上国が、競争力の無い国内産業を関税で保護していた」のを壊したもの。
~これをトランプ政権は曲解して、「米国の貿易赤字は、他国から不当にやられていたから」と歴史修正した。(ドルは基軸通貨だから、貿易赤字でも困らなかった。米国消費者は安い輸入品を利用できた。)
~更に「やられていたのをやり返す」と、「関税により、米国内への投資を強制して」(米国の製造業の空洞化を改める)また「国内の減税の財源にもして、取り返す?!」事にした。
~(ただし大局的には、中国が覇権国になるよりは、米国の方がまだましだから、MAGAには付き合う。)
~以上から、日本が行う対策の重点は、「米国市場を重視はするが、損をしてまでの固執はせずに」「日本企業に米国以外の市場開拓や業態転換を援助する」事になる。
(2)仮に日本企業が、「関税分を価格に上乗せしない為に」「下請け等に値下げを強要してコスト削減するならば」、「米国民の減税の財源を、日本国民から搾り取る」事になる。
~「できる限り関税分は上乗せして、米国消費者に負担させる」「販路を米国以外に拡げて、米国の政策によるマイナス影響を減らすのが、正に経済安全保障になる」。
(中国政府の「貿易相手国多角化」のように。)
(できれば(中国のレア・アースのように)日本しか作れないものを持っていると強みになる。)
~従って、日本が行う対策は、「関税の価格転嫁をできる環境整備」「つなぎ資金の融資・保証等」「商品や取引先の多角化、市場開拓等を援助する」事になる。

【5】(上場企業の)コーポレートガバナンス・コードを、三方良しに改訂して、国民を豊かにする
(1)「日本は収奪的国家に陥った」
※「「参政党の支持者は頭が悪い」と言う人もいるが…支持されるのには理由がある!参政党人気「理解できない」人が見誤る熱狂の"本質"」(2025.7.9 東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/888959?utm_sou
~「「自国は衰退している」と感じている日本人は70%に達し、9年間で約1.8倍」
~「「既存の政党や政治家は、私のような人間を気にかけていない」と感じている日本人の割合も68%と7割近く。9年間で約1.7倍」
~「「忘れられた人々」とは、「失われた30年」とともに少しずつ不利な境遇へと追いやられていると感じている人々であり、拡大しつつある。」「わたしたちをもっと大切にしろ」
~「ポピュリズム政党の台頭は、いわば社会の危機を告げ知らせる「炭鉱のカナリア」」
※この25年で生産性は3割上昇したのに実質賃金はまさかの据え置き、日本人が貧しくなった本当の理由(2025.3.5 JBpress)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86943
~【前編】エコノミスト・河野龍太郎氏が語る「日本は収奪的国家に陥った」「連合は累計3割のベアを求めてもいい」
~1998年~2023年に日本の時間あたり労働生産性は3割も上昇したのに、時間当たり実質賃金は全く上がらない
~「儲かっても溜め込んで実質賃金を引き上げず、国内の人的投資に消極的な大企業が長期停滞の元凶ではないか」
~企業が得た利益のうち、株主が取ったリスクを超えた部分を超過利益(レント)と呼ぶが、日本では、レント・シェアリングが全く行われない。生産性が上がっても、賃金は全く上がらないから、日本も収奪社会になったか
※生産性上昇の分だけ実質賃金を上げる、下流中間層へのセーフティネットを拡充する、それが成長を回復する近道(2025.3.5 JBpress)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86944
~【後編】エコノミスト・河野龍太郎氏が語る、変えるべきは社会に蔓延している「実質ゼロベア・ノルム(規範)」
~(2015年、策定)コーポレートガバナンス改革により、従業員よりも株主が重視されるようになったことも問題だ
~企業は株主利益を拡大するために、コストカットに邁進して、正社員の賃金を抑制し、非正規の雇用を増やした。人件費を抑制した一方で、配当を大きく増やした。
~1998年からの四半世紀で売上高の伸びは18%、国内での設備投資は27%の伸び、人件費はわずか8%強しか伸びていない。
~ところが、経常利益は5倍に、配当金は8倍にも増えている(図6)。日本株の保有を増やした海外投資家が利益を享受している。
(2)(上場企業の)コーポレートガバナンス・コードを、三方良しに改訂して、国民を豊かにする
※(上場企業の)コーポレートガバナンス・コードを、三方良しに改訂する
https://ameblo.jp/t1997/entry-12797764908.html
~(株主だけでない)多様なステークホルダー(利害関係者:顧客・従業員・取引先・地域社会・株主等)を意識した経営(マルチステークホルダー資本主義)に移行する
~「三方よし」(公平でバランスの取れた価値の分配)「企業は社会の公器」(公益性)という経営哲学に基づく中長期的な企業価値の向上を目指す
※全国7経済連合会「企業統治指針」見直し求める提言 株主第一主義に異例の「ノー」(2023.9.11 産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20230911-6FYX32ME
※日本型「三方よし」経営重視で従業員や取引先に分配を 企業統治指針見直し提言(2023.9.11 産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20230911-ACP2S6YA

(参考リンク)
※自分たちで守れ? 台湾有事でも派兵しない米国 日本が安保戦略で「ハシゴ外し」のリスクも(2022/05/21 6:00東洋経済 on line)
https://toyokeizai.net/articles/-/590552?utm_sou
※台湾有事で日本を主役にするバイデン政権の思惑 台湾への軍事侵攻に日本が抑止力として関与?(2022/02/19 7:30東洋経済 on line)
https://toyokeizai.net/articles/-/512865
※「今回のウクライナ戦争の原因を作ったのは西側諸国、とりわけアメリカだ」と主張するアメリカ・シカゴ大の国際政治学者
https://toyokeizai.net/articles/-/578952

※来る「中台戦争の日中戦争への転換」報道記者、専門家等の戦争責任
https://ameblo.jp/t1997/entry-12791241573.html
※【その1】CSIS報告は、中台戦争に介入して、「米国本土に攻撃が向かわないよう」「日本列島の安全を生け贄にする」計画
https://ameblo.jp/t1997/entry-12790110651.html
※一度負けないと相手の国力を理解できなかった長州関係者、また満州は日本の生命線ではなかった
https://ameblo.jp/t1997/entry-12714838867.html