【副業×契約書】第9回

開業届は出した方がいい?判断基準とベストタイミング

 

 副業を始めると必ず迷うのが、
「開業届を出すべきか?」という問題です。

結論から言えば、“継続的に副業収入があるなら、出した方が有利”です。
 ただし、誰にとっても絶対ではないため、メリット・注意点を整理して考える必要があります。

開業届を出すメリット

  1. 事業所得として認められやすくなる
     税務署は「開業の意思」を重要視するため、
     雑所得との区別が明確になります。

  2. 青色申告ができる(最大65万円控除)
     節税面で圧倒的に有利。帳簿さえ整えれば本業の給与と損益通算も可能に。

  3. 経費にできる範囲が広がる
     通信費・書籍・機材費・カフェ代(条件あり)など、
     実際の事業に必要な支出を計上しやすくなります。

  4. 屋号・事業用口座が作れる
     取引の信用が高まり、未払い対策にもなる効果。

注意点

  1. 副業禁止の会社ではバレる可能性も
     「税務署→勤務先に連絡」はありませんが、
     住民税の計算方法を誤ると会社に知られるケースがあります。

 とはいえ、禁止されているのであればやらない一択ですね。
  1. 帳簿義務が発生する
     青色申告なら複式簿記が必要。
     とはいえ、今は会計ソフトがほぼ自動で処理。

  2. 「出したら辞められない」という誤解
     本当は辞めたくなったら“休眠扱い”でOK。
     廃業届を出すのも簡単です。

 

出すタイミングの目安

 例えば一例として下記のような基準を考えていただければ良いのではないかと思います。
  • 月3〜5万円以上の継続収入

  • 複数の取引先が出てきた

  • 経費をしっかり計上したい

  • 将来は独立も視野に入れている

 これらが当てはまれば、開業届は「出すべき」ではないかと考えます。

 

 

 細かいことを言えば、個人で事業を始める場合を含めてすぐに開業届を出すべきだとも思いますが、あまり厳密にしすぎる必要もないというのがこれまで様々な業種業態規模を見てきたときに思うことです。

 

 ただし、補助金助成金や何かの支援をもらうことを考えているのであればすぐに開業届は出した方が良いと思います。

 

 

 ご参考にしていただければ幸いです。

【副業×契約書】第8回

雑所得?事業所得?境界線を知らないと危険な理由

 

 今回は——第7回「雇用扱い問題」と深くつながっています

副業を始めると必ず向き合うのが「副業収入の税区分」。
 特に、“雑所得”か“事業所得”かは税務署が厳しく見るポイントです。

 ただ、税については税理士さんが本業ですので、もし税理士に質問したい、相談したい、何か依頼したいという場合には相談料かかるケースもありますが、私までご連絡いただければご紹介をさせていただきます。

 

 さて、今回の話は実は、第7回で解説した「業務委託なのに雇用扱いになるケース」と密接に関係しています。

 

雑所得と事業所得のざっくり違い

  • 雑所得:お小遣い程度の単発収入/継続性・独立性が弱い

  • 事業所得:継続的・反復的に収入があり、自己責任で事業を営んでいる状態

税務署は「事業として成立しているか」を強く見ます。

具体例で見てみましょう

■ 例①:ライター副業(月3万円・単発3回)

→ 業務継続性が弱く「雑所得」判断が多い

■ 例②:毎月5〜10万円の売上。取引先5社、請求書発行あり

→ “独立性が高い”と判断されやすく「事業所得」になる可能性が高い

■ 例③:毎日決まった時間に納品。相手の指示に従って作業


これは要注意。
 

税務署は「事業性なし」→雑所得扱い
労基署は「指揮命令関係あり」→雇用扱い
となる可能性があります。

 

 つまり、「副業風の雇用」に足を踏み入れているということです。

どちらになると何が違う?

項目 雑所得 事業所得
経費 必要経費は限定的 広く認められやすい
赤字の扱い 他所得と損益通算できない 通算できる(節税可)
税務調査リスク 比較的低い 高くなる(帳簿必須)
開業届 不要 提出した方が有利

副業を続けるなら、**事業所得として認められる土台づくり(独立性・継続性)**が重要です。

 

まとめ

 第7回の“雇用扱い問題”と同様に、税区分も「実態」で判断されます。
 「会社員+副業」の人ほど、自分の働き方がどちらに当たるのか理解しておくことが、後々のトラブル防止につながります。

 

 

 契約書もそうですが、タイトルが「〇〇契約書」だからこうだ、ということはなく、実際、実質どうなのかというところを見て判断されます。

 

 ご参考にしていただければと思います。

 

 ちなみに、副業シリーズはこちらがスタート

 

 

 

 

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【副業×契約書】第6回:副業禁止規定とどう向き合うか?リスク最小化の方法

 

 今回は企業側にも参考になることもあるかと思います。

 

 副業禁止、コロナ前に比べればだいぶ少なくなってきた気がしますが、副業が一般化した一方で、会社の「副業禁止規定」は依然として残っている企業も少なくありません。
 副業を始めたい多くの会社員が、最初にぶつかる壁です。

結論から言えば、就業規則は“守るべきルール”です。
 

 しかし、禁止の範囲は会社によって大きく異なり、適切に理解しないと不要なトラブルを招きます。その辺りについて参考にしていただければと思います。

 

1. そもそもなぜ副業禁止があるのか?

目的は以下の3つに集約されます。

  • 本業への支障防止(長時間労働・業務品質の低下)

  • 利益相反の回避(競合企業での働き方など)

  • 会社の信用リスク(副業トラブルが本業に波及)

そのため、業務に影響しない形での副業は、問題なく認められるケースも多いのが実態です。

2. 就業規則の“禁止文言”を読み解く

多くの企業はこう書いています:

  • 「会社の承認なく他の事業に従事してはならない」

  • 「会社の業務に支障をきたす副業は禁止とする」

ポイントは、“全面禁止”ではなく、条件付き禁止が多いことです。

3. リスクを最小化するための実務ポイント

  • 勤務時間外のみで行う

  • 本業と競合しない仕事を選ぶ

  • 社名・内部資料・業務内容を絶対に使わない

  • 連絡先やSNSで本業が推測される情報を避ける

  • 納品・請求書に「本業会社名」を絶対に記載しない

 これらに関してはいうまでもない話であるような気もしますが、イメージはしにくいかもしれません。かなり注意が必要かと思います。
 場合によっては背任などになることもありますし、利益相反になってしまうことは非常に多いかと思います。

 

4. 最大の防御は情報管理

 本業の信用を損なうような副業の仕方をしないこと。
これが副業を長く続けるポイントの一つかもしれませんね