街のイメージ ~河内の八尾・山本~
(NHK・新日本紀行「河内 ど根性のふるさとを訪ねる」/昭和40年放送)
それまで大阪には縁のなかった今東光和尚が、河内の国・八尾に天台院の住職としてやって来たのは、1951年(昭和26年)のことであった。
今和尚は、1975年(昭和50年)に千葉県佐倉市に移るまで、24年もの歳月をこの地で過ごした。
住職のかたわら、1957年(昭和32年)には、河内に題材をとった「お吟さま」で直木賞を受賞し、1968年(昭和43年)には参議院議員に当選したりしている。
しかし、なんといっても、今和尚の一番の「業績」は、大阪の河内を日本国中に有名にし、独特のイメージを焼き付けたことであろう。
今和尚は、付近で見聞した人々のことを小説のテーマした。
天台院は、近鉄の山本駅のそばにあり、映画でヒットした「悪名」の浅吉親分も山本のひとである。
しかし、山本駅周辺には、ほどよい玉串川沿いに旧制の府立高等女学校のなごりの高校もあるなど、今東光の河内もののイメージとは随分異なる優雅な感じもする街のイメージがある。
事実、ウィキペディアで「河内山本」をみてみると、昭和初期から住宅地として開発され、玉串川など環境も良く、高級住宅街が形成されたと記述されている。
街のイメージもいろいろあるなあと思い、また、関心のある土地なので、今回、こういう作文をしましたが、そもそも今東光なんていま、どれほどの人が知っているのかなあとも思う。
NHKの新日本紀行のタイトルも、今の時代なら河内に、ど根性は使わないのではないかと思う。
それにしても、当人にとって、特に興味関心のあることは、随分マニアックなものだと、毎度のことながら感じた次第でした。
「空売り」 ~株式市場で、これをどう読むか~
(株価チャート/様々な考えの上に形成された動きをどう読むか)
金融市場や商品市場では、「空売り」というものが相場を大きく動かすと言われている。
手元に保有していなくても、どこかから借りてきて、売りに出し、下がったところで買い戻して利益を得るという手法だ。(成功した場合、失敗もある)
有名なところでは、1992年のG・ソロス氏によるポンド売りがあるし、リーマン・ショック後、09年3月後半からの世界の株式の急反発には、空売りの買戻しも大きく影響したはず。
以前から「空売り」で不思議だったのは、空売りで貸す側からすると、貸し賃が入ってくるとしても、資産的には価値減少するのに貸し出すというのは、経済的合理性に反するのではないかということだった。
このことについては、TVや新聞、書籍など伝統的な媒体では、なかなかその説明は見つからなかった。
しかし、最近、ネット情報(こちらは無料だ)を見ていると、世の中には、持ち合い株など、まず売らないという性質の株もあり、そういう範疇のものが、貸し賃稼ぎに、貸し出されるという説明があって、少しなるほどそうかと思った。
まあそれでも、評価額が下がるというのは余り楽しいことではないと思う。
社員の持ち株というのも、定期的に買われる一方、そう簡単には売りに出ない。
そういう買い手がいるのは、空売り勢の狙いのひとつかもしれない。
持ち株というと、東京電力の社員は、フローの面でも大変だが、ストックの面では致命的なダメージを受けた人もかなりいるのではないかと推測される。
冒頭の写真は、某銘柄のこの7月15日までの日足表であるが、この会社の業績面で、特に悪いニュースもないのに7月15日には、売買高を伴った大きな陰線を記録している。
空売り勢のセリング・クライマックスとも読めるが、果たして、これからどう展開するのだろうか。
人気と着順のイタチごっこ ~競馬における永遠なるもの~
6月26日、阪神競馬場で開催された宝塚記念は、6番人気のアーネストリーが堂々の勝利を収めた。
アーネストリーは、それまで19回出走していたが、最低でも4番人気であった。
最も人気が落ちたレースで、1着に来た。
競馬の世界では、「人気と着順のイタチごっこ」という言葉があるが、今年の宝塚記念でもこの言葉が生きていた。
かのハイセイコーは、大井でのデビュー以来、17回続けた1番人気から2番人気に落ちた1974年の宝塚記念では、人気落ちに奮起したのか、5馬身をつける圧勝劇を演じた。
伝説の馬・シンザンも、三冠のかかった菊花賞では2番人気であった(今となっては非常に不思議)が、見事な勝利で、戦後初の三冠馬の栄誉を手中にした。
私が最高のサラブレッドとするサンデーサイレンス(生涯成績:9・5・0・0)もまた、2番人気になると1回の例外を除いて1着になっているが、一方、2着はだいたい1番人気であった。
「人気と着順のイタチごっこ」には、競馬における永遠なるもので、そこには1番人気の諸々の負担とか、レースの「あや」とか、賭ける方の思惑とか、いろいろな要素が総合された深淵なるものかも知れない。
競馬は、期待率75%でかつ、公認ギャンブルとして認められていることからしても、「大数の法則」的には必勝法はないことは、ギャンブル学の大家・谷岡一郎教授(爆笑問題のニポッンの教養にも出演済)も力説しているところで、これは銘記すべきところだが、それにしても、この「イタチごっこ」はやっぱり面白い。