自宅ゲーム会396 前半 ライジングサン:日清戦争 | とりあえず日々ボードゲーム

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日本の片隅、島根県の浜田市で日々ボードゲームにはまっている管理人が、とりあえずボードゲームについて色々と書いていく(予定)のブログです。

令和3年12月19日

 

 本日もいつものようにちい、やま、管理人の3人でのゲーム会で、いつも通り午前中はちいと2人でのウォーゲームといそしんでいます。

 

☆ライジングサン:日清戦争

○概要

作者:中黒靖

対象年齢:12歳以上

対象人数:2人

標準時間:90分程度

 

 ボンサイゲームズさんによるゲムマ秋の新作ですが、日清戦争というなかなか見かけないテーマを扱ったカードドリブン形式のウォーゲームです。

 

①ターンの最初に規定の数のカードを受け取ります。この時、強制イベントカードがあるとその効果を処理します。

②北洋水師(清海軍)を任意の海域に移動させます。その後、日本海軍が任意の海域に移動した上で、港湾に残っている北洋水師を日本海軍のいない海域に移動させます。

③両軍の艦隊が同じ海域にいる場合海戦が発生します。海戦は任意でカード効果を使用した上で、日本海軍の速射砲による先制攻撃、通常砲撃による両軍の砲撃を実行し損害を判定し、どちらかが撤退するか全滅するまで繰り返します。

④海戦が終わると日本軍→清軍の順に交互に手番を実施します。

⑤手番にはカードを使用することで「イベントの実行」「陸軍の移動」「陸軍の戦闘」「陸軍の補充」「艦隊の修理」を実行するか、海軍を使った陸軍の輸送(上陸戦が発生する場合はカードの消費が必要)、パスのいずれかを行います。

⑥陸軍の戦闘は1ラウンドのみで、両軍が射撃を実行し損害を判定します。

⑦両軍が続けてパスをすると作戦フェイズが終了します。

⑧艦隊の帰港などを行い、得点の計算を行ってターンが終了します。

⑨規定のターンが経過するとゲーム終了となり、その時点でより多くの得点を獲得しているプレイヤーの勝利となります。

 

○プレイ経過

 日本軍を担当し、ゲーム開始時の様子です。日本軍は朝鮮半島の一部を支配している状況ですが、この段階ではほとんど戦力を展開しておらず、陸上のほとんどのエリアを清軍が支配しています。

 

 最初のターン、北洋水師は黄海の南北に分散して配置したため、若干戦力の少ない南側に日本軍の主力艦隊を集中して投入するこにしています。日本海軍の優位点である速射砲による攻撃で半数以上を沈めることに成功しましたが、北洋水師の主力艦のひとつである鎮遠は装甲が硬く砲撃も強力であったため、反撃により日本軍の主力艦松島が沈没してしまいます。ただ、全体の損害としては北洋水師の方が大きくなかなかの出だしといえます。

 とはいえ、主戦線である朝鮮半島に艦隊を派遣できていなかったため、その分陸上での展開は送れVPも大きくマイナスとなります。

 

 続く2ターン目。北洋水師は1ターン同様に南北黄海に戦力を分けてはいますが、南部はかなり脆弱な編成です。出来るところから北洋水師の戦力を削ることを狙っていた日本軍としては、再び南部に派遣します。これには、南部の艦隊を壊滅させた上で、北部の艦隊が海上移動などで一部帰港したところをカードイベントにより強襲するという狙いもありました。

 

 そんな日本軍の思惑とは裏腹、北洋水師は「丁汝昌(艦隊の移動及び移動先での海戦時に日本軍が戦闘カード使用不可)」を使い定遠、鎮遠を含む主力艦隊を送り込んできます。さすがに主力艦2隻を含む艦隊との戦闘は誤算であったものの、ダイスは日本軍に味方し定遠を除く全艦を壊滅させることに成功します。

 

 一方、海軍にカードを費やした清陸軍の機動は鈍く、日本軍の攻撃により2人の将軍を討ち取り、さらに重要拠点である旅順も強襲上陸の一撃で陥落と、このターンに一気に形勢が逆転します。

 

 陸海ともに劣勢の清軍は、残った海軍を使い日本軍の守りが薄いエリアを狙ってゲリラ的に反撃に出ていたものの、やはり艦艇の不足による輸送力の低下は否めず。十分な戦力を送り込むことが出来ずに日本軍の反撃で結果的には多くの残存戦力をも失っていきました。

 

 そんな中、単独で朝鮮半島の海域にいた扶桑へ北洋水師の残存艦隊が襲撃をかけてきます。残存とはいえ定遠を含む3ユニットを相手に、扶桑は生き延びたらラッキーくらいに思っていたのですが、扶桑の砲撃においてまさかの6ゾロとなり攻撃を受けた定遠が撃沈となります。扶桑も定遠の砲撃を受けて撃沈したものの、北洋水師はほぼ作戦能力を失ったといえました。

 

 これにより何とか反撃の糸口を模索していた清軍プレイヤーが投了し、日本軍の勝利となりました。

 

○評価

 ボンサイゲームズさんによる2021秋の新作のタイトルです。「300(「自宅ゲーム会178 後半の後半」を参照。)」を始めとするボンサイゲームズさんの他タイトル同様、本作もウォーゲームとしては手軽で、その場でルールを読んでプレイすることも容易、ゲーム自体も90分程で決着がつくくらいの高いプレイアビリティは魅力のひとつとなっています。
 システムとしては、同じくボンサイゲームズさんによる「レッドサンブルークロス(「自宅会268 後半」を参照。)」に近い海軍運用となっており、そちらも参照していただければと思いますが海軍の分散と集中をどのように行うかは考えどころとなっています。ただ、レッドサンブルークロスは海上戦略に大きく焦点をあてており、海上の状況によって陸戦はほぼ自動的に処理されていましたが、本作での陸軍はカードドリブンシステムによって運用されるため、カードをどのような効果として使用するかというカードドリブンらしいマネジメントも悩ましいところとなっています。
 また、陸上エリアの支配が勝利点となるため陸軍の運用は重要なのですが、もともと海軍に焦点を当てていたレッドサンブルークロスのルールを使用していることからわかるように、海軍の運用はそれ以上に重要な要素となっています。というのも、本作の陸軍の移動、攻撃に必要となるコストは比較的高くなっており、陸路だけで前進しようとすると全く手数が足りておらず、移動だけならカードを必要とせず戦闘においてのコストも安価な海上輸送が陸軍の迅速な展開のためには必須となってきます。このあたりの、陸の優勢を確保するため制海権を如何に保持するかという陸海の関係性が非常にうまく演出されているのは面白いところだと思います。
 大きく気になったところはなく、機動性を武器に立ち回る日本海軍と大鑑巨砲主義の清艦隊の戦い、質と量の陸軍の激突、これらを並行して如何に運用していくかの悩ましさがとても面白いタイトルになっていると思います。 

 

 

 続きます。

 

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