素敵な接客のスタイル | 車内販売でございます。

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車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

5年くらい前から、様々な観光列車が走りはじめた。

沿線の景色には独自性があり、使用する車両は様々で、かなり個性的だ。

乗客をおもてなしする客室乗務員・アテンダントの接客も、大きな魅力のひとつだ。

多くの観光列車に乗ってきて、

観光列車の接客スタイルが、いくつかの傾向に分類できるのではないかと感じている。

そこで、大まかに接客スタイルをを4つに分類することにした。

なお、次の2点に留意していただきたい。

《1》ここに挙げる観光列車は、全部素敵な接客という点。低レベルでガッカリした接客の観光列車は含んでいない。

《2》4つの接客スタイルには、優劣は無い。どのスタイルを好むかは、個人の考え方次第だ。

 

【その1】スマートな接客

「◎西武・52席の至福」

「〇JR九州・或る列車」

「〇近鉄・しまかぜ」

西武鉄道の食事を提供する観光列車「52席の至福」に、2017年8月に乗った。アテンダントさんは、西武系列のプリンスホテルで仕事をしてきたと思えるような、スムーズでスマートな洗練された接客だった。高級ホテルの接客をそのまま、列車に持ち込んだ接客だ。

個人の感情を抑制気味にした笑顔だった。(私のような「ひねくれ者」は、仮に「濃い鉄道マニアが写真を撮りまくってるよ。うわ~」などと思われても、アテンダントさんは笑顔のままで動じないから、考え過ぎてしまい居心地があまり良くない)

車内の雰囲気を明るくするため笑顔は必要だが、アテンダントさんはグループ内の会話に割り込まず、積極的に客と話し続けるのを抑えるスタイルだった。最低2人で申し込む列車で1人客はいないから、問題はないだろう。

この「西武・52席の至福」に近いスムーズでスマートな洗練された接客には、「JR九州・或る列車」がある。

「近鉄・しまかぜ」も、これに近いと思う。

もし客が「この料理は、横浜中華街の××という店の味に近いな」とアテンダントさんに話をしたとする。

アテンダントさんは「そういう名店の味なのですか。勉強になりました」とか「有名店と並べていだだけるのは光栄です」とでも言うでしょう。おそらく「私、以前中華街の近くに住んでいて、××に何度も行ったことあるんですよ~」とは、個人的に言いたくても言わないような気がする。

■乗車した記事はこちら→「52席の至福」「或る列車」「しまかぜ

 

【2】あたたかい接客

「◎JR四国・伊予灘ものがたり」

「◎しなの鉄道・ろくもん」

「○JR九州・かわせみやませみ他」

アテンダントさんの「おもてなし」「接客」があたたかい列車の代表が、「伊予灘ものがたり」だ。

誕生月だけ使えるバースデー切符利用なら、お祝いのカードを貰えることが多いし、下車観光の下灘駅で雨が降っていれば扉付近に大きな傘で濡れないようにしてくれる。終点が近くなると、乗車のお礼を伝えにきてくれて、その時に客が感想やお礼を伝えることができる。多くの客が、アテンダントさんがあたたかいと異口同音に言っている。

「しなの鉄道・ろくもん」も同様で、ひとりひとりに「あたたかいおもてなし」をしようと努めている。

(こんなわけで、私は「伊予灘ものがたり」を37本、「ろくもん」を8本乗車した。)

JR九州の観光列車も、これに近い。どちらかといえは南九州の観光列車は、あたたかい接客だ。

■乗車した記事はこちら→「伊予灘ものがたり」「ろくもん」「JR九州

 

【3】普段着の接客

「◎津軽鉄道・ストーブ列車」

「〇JR東日本・ハイレール1375」

津軽鉄道のストーブ列車には、アテンダントさんが乗務している。

このアテンダントさん、車内販売で売った「スルメ」をストーブで焼くのも仕事にしている。こういう列車だから、《丁寧&上品》ではなく、ありのまま&普段着の接客になっている。そして、これが大きな魅力になっている。

何人かのアテンダントさんが「こういう接客にしよう!」と綿密に打ち合わせているのではなく、それぞれのアテンダントさんが個性を活かしたものになっているようだ。

私が乗った時は、列車内でご夫婦に「シャッターを押しましょうか」とアテンダントさんが申し出て、押す際には一人目は「ハイ、チーズ」でなくて、「1たす1は?」と言って、「に!」と言わせて口を笑わせた。次の人には「1たす1たす1は?」と予想外のことを言って、笑わせた。良い笑顔が撮れたようだ。

これで苦情が来ないのは、レトロな車両、観光案内などで客をファンにしてから、冗談を飛ばすからだろう。

これに近いのが、JR東日本のハイレール1375だ。

ハイレールのアテンダントさんは、丁寧に笑顔で接客するのだが、必要以上にへりくだらない。丁寧過ぎない傾向がある。

何度か乗った人には「写真お撮りしましょうか」ではなく、「写真、撮りますよ~」という感じだ。JR東日本長野支社の方針というよりは、偶然そういうキャラのアテンダントさんが集まった印象だ。5人くらいいる中で3人は丁寧過ぎない身近な普段着の接客をして、特に常連客から支持されている。

私もファンのひとりで、今年2018年には3回乗っている。

■乗車した記事はこちら→「津軽鉄道」「ハイレール

 

【4】楽しく接客

「◎京都丹後鉄道・くろまつ他」

「◎富士急行・富士登山電車他」

「〇JR北海道・スーパー北斗」

京都丹後鉄道のアテンダントは、新卒で入社したのかなと思える若い女性が目立つ。富士急行線のアテンダントも、同様に若い人が多い。

この2社のアテンダントさんは、仕事をしている姿が、すごく楽しそうなのが特色だ。

作った笑顔ではなく、楽しく仕事していれば、車内の雰囲気も明るくなり、乗客も気分良くなる。

京都丹後鉄道では、今年2018年の2月の閑散期に、宮津駅でコーヒーやパンを販売する「PINO」を期間限定で開店した。その結果を踏まえて、クラウドファンディングを利用して資金を集め、6月から「丹鉄珈琲~114kmCafe」を開店した。この種の新規事業は、現場のアテンダントさんの「自分たちの力で進めた」という意識が高まり、仕事が楽しくなるハズ。

これとは別の「楽しい接客」は、JR北海道の車内販売だ。

JR北海道の車内販売は「風前の灯火」だけど、アテンダントさん(客室乗務員)は楽しく仕事していたのが印象的だった。

楽しい理由は、「ノンビリ急がないで仕事できる」「2人か3人乗務」の2点だろう。

グリーン車のサービスがあったころは、札幌を出発して1時間近くしないと、車内販売が回ってこない。

車内販売を利用したい客はイライラするかもしれないが、アテンダントは焦らずノビノビと仕事できることになる。2人3人の乗務なら、仕事に余裕ができるし、適度におしゃべりできる。私のように車内販売を利用しまくる男がいれば、「5号車の一番後ろの会社員風の客は、回ると必ず買ってくれるよ。」と話を聞いた人が回ってくれば、「ホント、ホント!今度はヨーグルト。」「そう、これで5品目だよ、かわってるね」なんて盛り上がることもありそうだ。

買ったときに「先ほどのスーパー北斗でもご利用でしたね」と振られたことがあり、私は「車内販売マニアで、今年の利用回数が昨日で1000回に達しました」と返したところ「これが1000回目なら良かったのに(^^)/」と悔しがられた。こんなところからも、楽しんで仕事してるなと感じた次第だ。

■乗車した記事はこちら→「京都丹後鉄道」「富士急行」「JR北海道

 

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以上、接客スタイルの特色を、4つに分類してみた。

もちろん、分類しにくい観光列車もある。

たとえば「四国まんなか千年ものがたり」は、伊予灘ものがたりの「あたたかい接客」を受け継いた上で、洗練された「スマートな接客」も取り入れている。

 

観光列車の評価をするうえで、基準は1つではないと理解するのも大切だと思う。

津軽鉄道のストーブ列車に乗って、西武の「52席の至福」のような洗練された接客を期待するのは無茶だ。「日本酒にスルメは臭すぎ!ワインはないのか?」「アテンダントの接客もダサい!」なんて言っても、ストーブ列車の魅力を理解できない残念な客と思われるだろう。