【レコ妖怪向けレビュー】

 

もうね、ついに来るとこまで来ました。UKポリドール・オリジナル盤手に入れました(POLD 5028)。70年代後半のパンク以降のオリジナル・アナログ盤はスミスだけで十分!ジャムなんぞCDがあればオッケー!のつもりがですよ、このザマです。デラックス版以前の90年代後半だかに出たジャムのCDって、シャリシャリで音悪いんですよね。しかもリリース当時の国内盤は、このオリジナルと比べるとえらい手抜き仕様だったことがわかります。まずレーベルデザインは例の味気ない赤ポリドールでしたし、ジャケ表裏の浮き彫りになったエンボス加工もされていなかったような気がします。80年代前半をすごした高校生当時は輸入盤、それもたっかいたっかいUK盤(1枚3000円近くしてたような・・・)など買う余裕もなかったし、そもそもそこまで興味が向かなかったので無理もないですが、のちになって特にレーベルデザインのオリジナル仕様を知った時はちょっとショックでしたね。ちなみにビートルズの黄色と黒のパーロフォン・レーベルのデザインを知った時も同じでした。この格調高いオリジナル盤で聴けば、ジャムの個人的最高傑作がさらに光り輝いて聞こえてくる・・・って改めて聴くとちょっとB面が弱いかな?(あのね) やっぱり個々の曲でなくてアルバム全体の完成度からいくと、前作の『All Mod Cons』の方が上かもしれませんね。っちゅうところから今度はそっちのUKオリジナルが気になってくるというおなじみのパターンです。で次は1stアルバム、2ndアルバムときて、最後の2枚とくるわけです。もう見えてきました。まあわかりませんが。そして今度はダムドはどやねん?ストラングラーズは?クラッシュは?ピストルズは?というわけでなし崩し的黄金パターンにハマるわけです。7インチ・シングル?それは大丈夫だと思います。あまりシングルには興味ないので。久しぶりにYouTubeで79年~80年当時のジャムのライヴを見ていたら、やっぱりうまかったんだなと思いました。ポール・ウェラーの野太いヴォーカルとブルース・フォクストンのコーラスがどれだけ荒い演奏の中にあっても前面でしっかりハモっているところに、他のパンク・バンドと違ってちゃんと60sサウンドの基本中の基本が押さえられた正統バンドの姿がありました。

アルバム『パラシュート』でいったん解散したものの、すぐに出直してワーナー・ブラザーズ・レコードからリリースされた6枚目です。写真はジャケを見開いたところなんですが、表に当たる右側のジャケのおかげで長い間聴く気にならなかったんですよね。で、前回いったように『ライヴ・アット・ザ・BBC』をきっかけに今頃になって気になってきて、どうせならUKオリジナル盤をと思い、まだこのへんは4桁前半くらいから買えるので今のうちや!ということでいっぺんに次の『シルク・トルピード』といっしょに入手しました。あのヒプノシスによるカヴァー・デザインのわりになーんか冴えないなあっちゅう印象がありましたが、実物をよく見たらやっぱり普通とは違う独特なイラスト(と写真の中間)ではあります。ほんで裏ジャケにはディック・テイラーやヴィヴ・プリンスら歴代のメンバーが全員載ってたんですね、と思ったらトゥインクがいないような・・・右下の人?ようわかりません。内容的にはかなりの力作ぞろいで、プリティーズ流ハードロックあり、ロックンロールあり、ブリティッシュ・フォークあり、カントリーあり、ストリングス入りのバラッドありと、60年代後半からの彼らの指向をそのまんま受け継いだ感じです。これはあれですね、自分もそうでしたが、60年代初期~中期の英ビートにハマってから後半のサイケに突入してやっぱりハマってしまって、それでも飽き足らず60年代後半から出てきたSSWやフォークをきっかけに70年代のカントリーロックやプログレもおもしろく感じるうちに、誰も知らないようなマイナーなアーチストを漁りまくって空しさとともに一段落した後に聴くと、「あれ?こんな身近なところにこんなすばらしいアルバムがあるやないか!今までの苦労はなんやったんや?」っちゅう典型的なパターンですね。ベスト・トラックはずばり”Rip Off Train”やと思います。曲の配列からいっても彼らの自信作、イチオシじゃないかしら。これだけキャッチーでセンスのいいメロディが散りばめられているのに、やはり大ブレイクはZeppにもっていかれるところがZeppの苦手な自分にとっては悔しいというか、悲しいです。おわり。

【レコ妖怪向けレビュー】

 

プリティーズの名作のUKオリジナル盤手に入れましたよ(SHVL 774)。EMI傘下のハーヴェストからリリースされたダブルジャケで、表裏がツルツルコーティング、モノクロの見開き部分にはメンバー5人の顔と全曲の歌詞が印刷されています。レーベル上に「EMI」のロゴのないやつなので、これは初回盤ということらしいです。実はこの作品のアナログ盤はずっとエドセルからの再発を所有していたんですが、聴くのはもっぱらボーナス・トラック付のやたらと音の鮮明なCDの方でしたね。で、初めてこのオリジナルを聴いたら、おお!アナログの丸い音!っちゅう感じでたいへん満足しました。スネアとベース・ドラムの音が本当に気持ちいいしベースもでかいので、腕達者なリズム隊がヒジョーに引き立ったサウンドやと思います。楽曲、演奏、サウンド、コーラスどれもが一級品、その上に善と悪を使い分ける緩急自在の魅力的なフィル・メイのヴォーカルが乗っかり、田舎と都会の対比をコンセプトとしたほぼ完璧なトータル・アルバムなのにほとんど売れず、このあと最初の解散を経験するわけです。トータル的な実力はありあまるほどなのに人気が追いつかなかったアーチストはたくさんいましたが、彼らも間違いなくそのひとつでしょう。しいてあげるならルックスですかね?いや、フィル・メイおっとこ前でカッコいいし、当時の動く映像見てもみんなカッコいいんだけどなあ。裏ジャケに載っている高層ビルを描写したと思われる1曲目”Scene One”のガッガッ、ガッガッっちゅうリフなんて、いかにもロボット化された都会が目に浮かんでくるようで最高っす。当時ローリング・ストーン誌で評価されて、90年代に入ってから再評価されたのがせめてもの救いでしょうか。彼らは76年までに8枚のアルバムをリリースしていて、その最後の3枚に入っている曲は数年前に出たCD4枚組の『ライヴ・アット・ザ・BBC』で個人的には初めてたくさん知ることができました。それがどれもすごくよかったので、このアルバムの次に出た『Freeway Madness』と『Silk Torpedo』も最近UKオリジナルで入手しました。次はそのへんを載せたいと思ってます。ジャケにだまされてはいけん!

【レコ妖怪向けレビュー】

半端でない思い入れのあるレコっちゅうのは、手に入れた年やお店や値段やその時の状況なんかを細かく覚えているもんです。概してそういうレコは何枚もあるわけでなく、だいたいみんなほんの数枚ってところじゃないでしょうか?自分の場合、もしかすると詳細に覚えているのはこれとキンクスの『Village Green』UKオリジナル・モノラル盤と、スモール・フェイシズのイミディエイト1stのオリジナル・ステレオ盤の3枚だけかもしれません。ちなみに『Village Green』は2002年にネットオークションでとんでもない値段で入札、見事に落札して手に入れました。しかも職場で仕事中にPCに向かって。何をやっとんねん・・・ で、この『Five Leaves Left』の初回ブラック・ボール・アイランド・レーベルは、東京に住んでいたころに西新宿のあるレコ屋さんで偶然『Pink Moon』のオリジナル盤といっしょに見つけて2枚ともそっこうで買いました。忘れもせん1996年、まだフェアポート・コンヴェンションを皮切りにUKフォークに興味をもち出してわずか2年目、それでも最初のうちからずっと探していたレコでしたね。ジャケの縁にややスレがあるものの、盤はほぼミントで9,800円でした。『Pink Moon』はジャケ盤ともほとんど新品状態で15,000円でした。どっちのレコも今では状態によっては軽く5ケタ後半~6ケタ価格ですから、現存する数に対していかにほしい人が多いか!てことです。ニックのお姉さんで唯一のドレイク家の生き残りである女優のガブリエルさんによれば、ニックが死んだ後も世界中からファンが故郷のタンワースの実家目指してちょこちょこと訪ねてきては、お父さんのロドニーと話をしていたそうですから、今でもニックの音楽の本質に反応する若者がぞくぞくと誕生しているんだと思います。

 

レコ番号はILPS 9105、レーベル面はザラザラのやつが本当の初回らしいですが、残念ながらこれはツルツルです。もってないので確認したわけではないですが、実はセカンド・プレスのピンク・リム・レーベル(別称島レーベル、パーム・ツリー・レーベル)の方がレコの入力レベルが高く、もっと明るい音質なんじゃないかと思います。ニックのレコに限らず、他のアイランド・レーベル所属アーチストのピンク・リム盤も全体的に同じような傾向があるそうですが、たしかに自分の印象も同じような感じです。ただこの作品の場合、バンド・サウンド主体ではないですから、入力レベルがやや低くて少しくぐもった英国らしい音質の方が逆にふさわしいかもしれませんね。おわり!

ISBの作品の中で最難関の1枚とされる2枚組アルバムのお話です。今辞書片手にコツコツと訳しているISB本『beGLAD An Incredible String Band Compendium』は、ちょうど半分くらいのところに載っているこのアルバムにさしかかりました。いろんなライターさんがあーだこーだと絶賛したりこき下ろしたりしていて、賛否両論激しかったんだな思います。概して全員が一致するのが、音楽はすばらしいがダンス、パントマイムはど素人以下じゃ!っちゅう見解です。当然こちらとしては歌詞の内容もほとんどわからないし、まして'U'のショーなんて見たこともなければ丸ごとDVDにもなってないので(ならないかなあ・・・無理か)想像するしかないんですが、ここでの論争を読んでいるとどんなステージだったかけっこう目に浮かんでくるんですよね。結局このアルバムとショーの商業的大失敗によって、以降のアルバムは最初からプロジェクトにはやや冷ややかに距離を置いていたマイク・ヘロンが音楽的主導権を握っていったんかもしれないなと思います。で、当時'U'にどハマりしてしまったライター(?)のアラン・フレウィンさんという人の話がおもしろかったのでご紹介します。まずアランさん、やはり最初はこのアルバムのよさがわからなかったそうで、ISBマニアの友人にすすめられて何度も聴いているうちにハマっていったそうです。これはよくある話で、世の中には1回聴いただけでは理解できないが聞き込むほどよくなってくるスルメ・アルバムっちゅうのはたしかに多く存在します。ちなみにアランさんによれば、アメリカの漫画家マット・グローニングという人は、キャプテン・ビーフハートのあの『Trout Mask Replica』を7回聴くまでは嫌いだったが、今では史上最高のアルバムだと考えているそうです。私たぶん3回くらいしか聴いてないので、もう一度挑戦してみようかしら。『トラウト』に限っては自分には何度聴いてもダメなような気がしますが・・・ アランさん、奥さんにその話をすると、そんなものを7回も聴くには人生は短すぎるといわれたそうです。それたぶん真っ当だと思います。ただ昔『トラウト』をここでとりあげた時に書きましたが、個人的には可能性の一つとして、プロデューサーだったフランク・ザッパはこういうアルバムを作って評論家たちがどんなことをいうか遊んでみたんじゃないかとも思ってます。「なんかたいそうな理屈こねてるけど、メチャクチャやってみただけだよ」とか。いずれにしてもやることすべてが確信犯的だったザッパに凡人はついていけません。話を元に戻すと、アランさん、ISBマニアの友人に遅れること数か月、やっとこさ自分の'U'を手に入れたと思ったら、なんと歌詞カード(上の写真右)が付属していなかったそうです。それでどうしたか?アランさん、まずベージュ地の画用紙と高級ペンと赤インク一瓶を買い、友人に歌詞カードを借り、『U』をくり返し聴きながら何時間もかけて一文字一文字写していったそうです。こういうのをアナログコピーっていうんでしょうか?そりゃ当時はコピー機、ましてカラーコピーなんてたやすくできる時代ではなかったでしょうが、画用紙代、高級ペン代、インク代、そして大変な労力を考慮すると、歌詞カードのちゃんと入った『U』をもう1枚買った方がはるかに安くついたんじゃないでしょうかね?しかしこのとてつもない忍耐力と努力のおかげで、さらに『U』に愛着をもつことになったのは当然やと思います。おわりです。

2011年に亡くなった元マンのキーボード/ギター・プレーヤー、’クリント’の唯一のソロ作『You Always Know Where You Stand With A Buzzard』を神戸のウォータールー・レコーズさんから入手しましたよ。盟友だったディーク・レナードも数年前に亡くなったし、ミッキー・ジョーンズもその前に亡くなっているので、マンの主要メンバーで生き残っているのはリズム隊-ドラムのテリー・ウィリアムズとベースのマーチン・エースだけになってしまい、さびしいかぎりです。このアルバム、ほとんど知られていないし今回初めて聴きましたが、たいへんたいへんすばらしかったです。マンでいうとやはり同年の『Slow Motion』に通じるような変態性が凝縮された「裏ブリティッシュ・ロック」の名盤といえると思います。ヴォーカルとギターとキーボード/オルガンは本人、ベースにマーチン・エース、ドラムとプロデュースにヘルプ・ユアセルフのデイヴ・チャールズが参加、レコーディングはおなじみウェールズのモンマスにあるロックフィールド・スタジオですから、好き者にとってはこれらの情報だけで想像できる’あの’サウンドそのまんまです。エンジニアのクレジットは’デイヴ’とだけあって紛らわしいんですが、「ファースト・ネームだけでわかるだろ?」という意味が込められているんではないかっちゅうことで、たぶんデイヴ・エドマンズのことじゃないかと思います。技術とセンスと素養に裏打ちされた全楽曲の完成度は恐ろしく高くて、ポップでスペーシーでさらにユーモア感覚もあるのに、全体に漂うワル、チンピラ感覚はマンと同種のものやと思います。ちゅうかマンの個性の小さくない部分を担っていた人だったんでしょうね。ソロはこれ1枚きりなのが残念です。ユナイテッド・アーチスト・レコードからのUKオリジナル盤は、両面ツルピカ・コーティング、裏ジャケではいかにも英国らしい赤煉瓦をバックに、それと同系統の色のシャツにベルボトム・ジーンズをはいたクリントがラリったように歩いている写真が使われています。久々にヘヴィー・ローテーションとなる作品に出会いましたね。これだからレコはやめられない!

当時エレクトラ・レコード英国支社の運営を任されていたジョー・ボイドのプロデューサーとしての初仕事がこのコンピレーション盤です。入手したのは日本で81年にリリースされたおなじみ青春秘蔵盤!当時マンフレッド・マン脱退前後のポール・ジョーンズの協力で、ラヴィン・スプーンフルとポール・バターフィールド・ブルース・バンドの二大柱にアル・クーパー、トム・ラッシュ、そして唯一の英国勢エリック・クラプトン&ザ・パワーハウスを加えて制作されたホワイト・ブルース集です。ジャケがラヴィン・スプーンフルになっているのは、たぶんこの時点では”魔法を信じるかい?”の大ヒットで一番有名だったからっちゅう商業的な理由だと思います。裏ジャケはバターフィールド・ブルース・バンドです。おそらくほぼ全てがこれでしか聞けない貴重なトラックばかりなんですが、特にクラプトン&ザ・パワーハウスの3曲(うち1曲はインスト)のメンツが大変なことになっていて、ギターにクラプトン、ヴォーカルにスティーヴ・ウィンウッド、ベースにジャック・ブルース、ブルース・ハープにポール・ジョーンズ、ピアノにベン・パーマー、そしてドラムに当時ウィンウッドがまだ在籍中だったスペンサー・デイヴィス・グループからピート・ヨークが参加しています。ちなみに最初はつい最近亡くなったジンジャー・ベイカーの予定だったのが、何かの理由でつかまらなくてヨークになったそうです。3曲のうち1曲が”Crossroads”からもわかるとおり、ここでのセッションがきっかけとなってクリーム結成となったのは間違いないっすね。しかもブラインド・フェイスではウィンウッドも加わりますから、このレコードのためにメンバーを選んだジョー・ボイドとポール・ジョーンズは、クリームとブラインド・フェイスの生みの親ともいえるわけです。そんなわけでこれは英米ロックの歴史を動かした偉大な1枚っちゅうことです。ちなみにちょうど40年後の2006年にジョー・ボイドが著書『ホワイト・バイシクル』とともにリリースした同名のCDも、1曲目がここに収録の”Crossroads”でした。ジョーにとっては「初プロデュースからの30周年には間に合わなかったけど、50周年だと自分が生きているかどうかわからないから40周年じゃ!」と奮起一番腰を上げたのかもしれませんね。おわり

アイランド・レコードのセカンドかサード・プレスにあたるパーム・ツリー・レーベルのUKオリジナル盤手に入れました。デイヴ・メイソンが前作セカンドの『Traffic』で脱退して、スティーヴ・ウィンウッドもブラインド・フェイス結成の頃っちゅうことで、間に合わせ的にリリースされた感の強いコンピレーション盤です。当時ほぼ同時期に『Best Of Traffic』というベスト盤も出たんですが、これのレコ番号がILPS 9097、そのベスト盤はILPS 9112ですから、あまり間をおかずに今度はベスト盤でお茶を濁しとったわけですね。アルバム2枚発表しただけでベスト盤て強引にもほどがあります。こちらはA面がオリジナル・アルバム未収のシングル中心に6曲、B面がフィルモア・ウェストでのライヴ録音2曲です。ポップで小気味いいメイソン作の”Just For You”(ソロ名義?)に始まって、あとはインストの”Something's Got A Hold Of My Toe”を除いて当時のトラフィックらしい、ウィンウッドのソウルフルなヴォーカルをフィーチャーしたちょっと実験的なスワンプ・ロックっちゅう感じです。インストはメイソン(?)のカッチョいいギターが聞きどころで、基本的に何でもありだったトラフィックの音楽性の中にあってもこの頃の彼らには珍しいタイプのナンバーです。ベスト・トラックはのちのライヴ盤『Welcome To The Canteen』の1曲目に入っていたファンキーな”Medicated Goo”ですかね。ジム・キャパルディの叩くスネアの破裂音がすごく気持ちいいです。この人、思いっきりぶったたく時の音が強烈で、70年代に入ってトラフィックに参加したジム・ゴードンやロジャー・ホーキンスらプロフェッショナルなセッション・ドラマーと比べると、たしかに硬さはあるし、しなやかさに欠けるところもあると思うんですが、それでも初期トラフィックのサウンドの大きな部分を担っていたのは間違いないっすね。個人的にはやっぱりジム・キャパルディあってのゴードン、ホーキンスという序列になります。それはたったの3人(ウィンウッド、キャパルディ、クリス・ウッド)でやったB面のライヴを聞けばようわかると思います。しかしギターなしでオルガン(しかもベース・ペダル入り)にドラムにサックス、フルート持ち替えのトリオって大変そうですけどスゲーカッコいいですよね。

76年ごろにキング・レコードから1600円でリリースされたやつを1000円で手に入れました。ストーンズはビートルズ以上に国内盤の帯の種類が多そうな気がしますが、これって通称「白帯盤」とかいうんですかね?残念ながらこの帯はついていませんでしたが、ついていたら1000円では買えなかったと思います。各曲の解説、原詩と対訳、それに’挑発と退廃の方法’というタイトルのついた、寅さんいうところの「てめえ、さしずめインテリだな」風のストーンズ論が載ったちょっと小さめのブックレットが入っています。60年代らしく、歓声やコーラスや楽器があとからダビングされたり、挙句の果てはスタジオ録音に歓声をくっつけた疑似ライヴまで含まれたインチキライヴ盤ですが、今となってはそういった歴史的いかがわしさが感じられるのも聞きどころのひとつです。”Fortune Teller”とオーティス・レディングの”I've Been Loving You Too Long”がスタジオ録音に歓声をダビングした疑似ライヴです。しかし当時のストーンズのスタジオ録音のほとんどがギミックなし、ライヴとあまり変わらなかったおかげで、全くといっていいほど違和感ないです。おまけに”Time Is On My Side”は音痴やし。生々しいミックのヴォーカルだけが浮いたようなミックスで、バッキングは片側チャンネル寄りに団子状態で入っています。全体にビル・ワイマンのベースが効いていて気持ちいいっす。ビートルズやザ・フーのような演奏力はなくてもヴォーカルと楽曲の良さ、カッコよさは超一流っちゅうのは、当時から現在まで無数に存在する世界中のフォロワー・バンドにとっては、追いつけそうで永遠に手の届かない部分だと思います。最近YouTubeで見ましたがまだライヴやってますね。ライヴ活動半世紀どころか60年までいくんじゃないでしょうか?こうなったらキースの頭髪が1本もなくなるまで続けてほしい!

なんと近鉄奈良駅前にビートルズ専門店ができたんですね。店名はB-SELS(ビーセルズ:Bはビートルズ、Sはシングル、EはEP、LはLPのことだそうです)。近くにある中古レコ&バー、Pleased To Meet Meのマスターに教えてもらいこれは行かなあかんと思い、さっそく行ってまいりました。ちなみに他にも近くに新しめの中古レコ屋があったり、これからできるレコ屋さんもあるそうで、大阪、神戸、京都に比べると音楽文化の乏しいイメージのある奈良人にとってはうれしいことです。ほんでビーセルズで買ってきたのが80年にリリースされたフランス盤の『Rarities』です。原盤はアメリカでUK盤は存在しないそうです。アメリカ盤には裏ジャケに私の嫌いなバーコードがあったのでフランス盤にしときました。っとアメリカでは80年ですでにレコにバーコードが使われていたんですね。ただこのフランス盤はアメ盤のようなエンボス加工ジャケではなく、色も全体にピンクがかった白です。なぜ今さら『Rarities』なのか!というと、これに入っている”Sgt. Pepper Inner Groove”が聴きたかったからです。うちのレコードプレーヤーはフルオートなのでこの曲が聞けないんですね。ってこのたった2秒のおしゃべりは曲とはいえませんが。まあちょっと確認したかっただけです。内容をざっとおさらいしときますと、一発目の”Love Me Do”はリンゴがドラムのヴァージョンです。ふだん私たちが聴いているアルバム『Please Please Me』収録のこれや、FMなんかから流れてくる”Love Me Do”は、アンディ・ホワイトというセッション・ドラマーが叩いたヴァージョンで、そこではリンゴはタンバリンを叩いています。なのでタンバリンが聞こえればそれはアンディ・ホワイト・ヴァージョンということになります。どちらのヴァージョンも最初から最後までリズムを刻むだけで全くオカズはないし、テンポも全く同じなのでタンバリンがなければほとんど見分けつかないです。”And I Love Her”はエンディングのアコギのくり返しが2回多いです。”Help”はヴォーカル・テイクが違うそうなんですが、自分にとってはどうでもいい違いっす。”I Am The Walrus”は途中の歌と歌のブリッジ部分がちょっと違いましたね。まあこれもどうってことないです。”Penny Lane”はエンディングにちょっとしたトランペット・ソロ・フレーズがあって印象的でした。これはあとから正規ヴァージョンで削られたわけなんですかね?一番うれしかったのは全く別モンの”Across The Universe”です。これリリースと同時に買ってすぐに売り飛ばしてしまった『Let It Be Naked』に収録されていたと思いますが、アルバム『Let It Be』のフィル・スペクターによるストリングバシバシヴァージョンよりも全然いいですよね。特に「あーあーあーあーあー」っちゅうコーラスが気持ちよくて思わずいっしょに口ずさんでしまいます。と思ったら所有の真っ黒ジャケの『Rarities(vol.1)』にも入ってました。しかしこのコーラスを削ってどうすんねんと。”You Know My Name”も『Rarities(vol.1)』に入ってますが、久しぶりに聴くとボンゾ・ドッグ・バンドを思い出して笑ってしまいました。なお見開きジャケ内側には、速攻で回収されたあのエグいブッチャー・カヴァーがどかんと載っているので、それだけで買う価値のあるレコだと思います。おわり