今回は立方体(正6面体)の各辺に電気抵抗を繋いだときの合成抵抗を求めてみようと思います。
☆立方体(正6面体)
・立方体の面は正方形(正四角形)です。
・立方体の各頂点には3本の辺が集まります。
・立方体の辺の数は、
正方形が6枚で、2つの正方形が1つの辺を共有しているので、
4×6÷2=12本です。
・立方体の頂点の数は、
正方形が6枚で、3つの正方形が1つの頂点を共有しているので、
4×6÷3=8個です。
☆各頂点の位置関係
・ある頂点Oから
・1番近い点は、辺で繋がっている3点です。
これらを順にA,B,Cとします。
◯以上で半分の4(1+3)点が出てきました。
残り半分はそれぞれ、今までの4点の対蹠点(1番遠い点)です。
これらをO',A',~,C'と置きます。
・2番目に近い点は、
1番目近い点の対蹠点である、A',~C'の3点です。
・1番近い点と2番目に近い点では、
5個のうち異なる文字の2点(AC',AB',BA',BC',CB',CA')が繋がっています。
・3番目に近い点はOの対蹠点O'です。
よって、頂点間の距離は3種類です。
・O…A,B,C
・A…O,B',C'
・B…O,C',A'
・C…O,A',B'
※各対蹠点については'の有無が変わるだけです。
☆抵抗と電位と電流
◯オームの法則により、抵抗にかかる電圧は抵抗と電流の積です。
今回は各辺の抵抗は同じ(1とする)なので、各辺にかかる電圧は電流に比例します。
◯2点間の合成抵抗を求めるときは、
片方の電位を1,他方を0とします。
また、各頂点の電位はその点の記号をそのまま使います。
◯ある2点間X→Yを流れる電流は、
電位差(電圧)、X-Yです。
◯キルヒホッフの法則
各頂点について、流れ込む電流の和と流れ出る電流の和が等しくなります。
ある頂点X₀がa個の頂点X₁,…,Xₐと繋がっているとき、
X₀ついての式は、抵抗が同じなので、
aX₀=X₁+…+Xₐ
と書けます。
◯合成抵抗
回路に流れる電流は、一方の頂点から繋がっている点への電流の和です。
端子間の電圧が1なので、合成抵抗は「電流の逆数」になります。
☆対蹠点同士の合成抵抗
◯立方体の頂点間の位置関係は3種類です。
◯点の振り方から、合成抵抗を求めるのが最も簡単なのが対蹠点だと思います。
◯対蹠点同士の2点、O(1),O'(0)からの距離を括弧内に表記します。
・A(1,2)、B(1,2)、C(1,2)
・A'(2,1)、B'(2,1)、C'(2,1)
となります。
◯距離が同じ点同士は電位が等しいので、
・A=B=C
・A'=B'=C'
です。
◯距離が逆な点同士の電位を足すと1になるので、
・A+A'=1
です。
◯O(1)と繋がっている点はA,B,Cの3点です。
よって、電流の和は、
(O-A)+(O-B)+(O-C)
=(1-A)+(1-A)+(1-A)
=3(1-A)…(0)
です。
◯A(1,2)についての式
3A=O+B'+C'
3A=1+(1-A)+(1-A)
5A=3
A=3/5…(1)
◯式(1)を式(0)に代入すると電流の和は、
3(1-A)
=3×(1-3/5)=6/5
◯合成抵抗は5/6と求まりました。
また、各頂点の電位は、
・O(0,3)…1=5/5
・A,B,C(1,2)…3/5
・A',B',C'(2,1)…2/5
・O'(3,0)…0=0/5
です。
電流が
・OからA,B,Cへは3本
・A,B,CからA',B',C'へは6本
・ A',B',C'からO'へは3本
へ均等に分かれるので、各区間の電位差は、
(1/3):(1/6):(1/3)=2:1:2
となります。
次回は辺の合成抵抗について求めていきます(7/12)。
他の正多面体