ロジャー効果
娘のリクエストにお応えして
娘が里帰りしてくると、ぼけーっとしてて自分からは何もやらない子なんだけど、私がキッチンでアレコレ作り始めると、どこからともなくすーっとやってきてキッチンカウンターに座ってじーーっとみている。昔っからそういう子だった。
だからといって一緒に何かしたいって割り込んでくる長男、次男とはまったく違って、ただただ見ているだけ。美味しいものができるのをじっと待っているという、超役に立たない存在だ。今現在、彼との生活でもそれは変わらず、彼が作るものをじーっとみているだけらしい。
そんな娘だが、最近は『私の好きなものを彼に教えないと、私の口にはいつまで待っても入ってこない』って危機感が芽生えたらしく、私がつくるものを写真にとったり、録音したりしている。で、これらを彼に見せてレクチャーしてるいるそうだ。あくまでも自分で作ろうって思わないところが娘らしい。同じ親に育てられたのに、息子たちとは全く違う彼女のこの感覚にはいつも首をかしげる。
で、娘の中のナンバーワンは、おばあちゃん(義母)が作った aeblemousse/リンゴのムースだ。ムースなんてしゃれた名前がついているが、要は皮をむいたリンゴを砂糖と一緒に煮て、上からマッシュドポテト並みにぐちゃっと軽くつぶしただけのモノ。
デンマークはどの家にもリンゴの木があって、義母の家やウチのサマーハウスなど、ほんとーにいっぱいリンゴの木があった。毎年消費に困っていたほどで、義両親は秋になると、これでもか!ってほどアップルムースを作って、地下のでっかい冷凍庫に保存していた。で、これを一年かけて小出しにして消費しているワケで、私たちが里帰りすると、「またか・・・」ってくらいコレがデザートとして出された。
またか、とはいうもの、生クリームや牛乳をかけて食べると甘さが緩和されてとても美味しい。夏なんか、BBQの後に冷えたリンゴムースはとても美味しく感じる。
今回は、娘に二袋のリンゴの皮むきをさせた。食べたいんだったらそれくらいはしなさいよってことで。そしたら、いつまでたっても食べられないと思ったのか、オットまで一緒に皮を剥きだした。
オチがある。この人は慣れないことをしたので指切って即、戦線離脱。なさけない。
その間私はひたすらクレープを焼いた。20枚だよ。一時間以上掛かった。
出来上がったアツアツのムースをクレープに包んで、Crêpes Normande・クレープ ノルマンディーにして食べた。しあわせ。翌日からは普通に牛乳かけて食べた。これがうまいんだわ。
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自分でも十分わかっているらしい
よく言えば慎重派、手っ取り早く言うと引っ込み思案。コレは娘の性格の事。
昔からパイオニアのお兄ちゃんの後ろに隠れて、彼の行くところ行くところくっついていくと必ず兄の友達の妹たちから手を差し伸べてもらい付き合いが始まっていた。今現在友達関係が続いている小さいころからの友達はみんなそういう子達だ。ギムナジウム(ドイツでの高等学校)からの親友も、彼女の方から声をかけてきた形だったし、アメリカの大学でできた友達も、みんなソロリティとか、あまいグループを通しての囲われた友達がほとんどだ。
ここへきて、彼女がまた超えなくてはいけない壁が目の前に《どんっ》と立ちはだかっている。それは、
コネクションづくりを自らすること。
アメリカの弁護士の卵は(も)シビアな世界で生きている。1年目の今、クラスの皆が競争相手で、誰がよい弁護士事務所や企業で夏の研修場所がもらえるかがカギとなっている。これは入学した去年からわかっていたことであり、授業に付いて行き、いい成績をとることと同時に越えなければならない難題らしい。
1年目の大波を超えられれば、2年目は波乗りのコツがつかめて軌道に乗れるシステムらしいが、とにかく今が正念場らしい。
※ この1年目の夏の研修先が取れても、もっと困難なのが来年、2年目の夏の研修先(サマーアソシエイト)を確保すること。これはそのまま3年目に卒業して、晴れてBar Exam(司法試験)をパスしてからの働き先となる確率が高いので(青田買いされる形)、来年の方がもっとハードルが高いそうだ。
私も去年から一生懸命ロースクールの流れを勉強した。彼女もいい大人だし、助言したりは一切しないけど、彼女がこん後どういう事をしなければいけないのか、一応把握はしておきたかったから。娘からいちいちレクチャー受けてたら話が長くなるからね。
先週は春休みだったが、それを前にこの夏の研修先が決まっているクラスメイトがちらほら出始めて、娘はかなり焦っていた。1月の頭に前期の試験があり、その結果をもって皆があちこちにアプライ(応募)するんだけど、娘の住んでいる大都市にはほかにも競合なロースクールがいくつかあり、競争率が非常に高い。
普段から娘は週末開かれる教授、弁護士事務所、そして企業が主催のイベントに参加しているらしいが、私が想像するところ、娘はイベントに参加しても、自分からグイグイコネクションづくりをしているとは到底思えない。
現に、毎週金曜に教授が主催しているバーでの集まり(昔流行ったドラマ・Ally McBeal内の一コマみたいなヤツ)があり、ここで皆がお酒を浴びるように飲むそうだが、娘は数回参加しただけで、『お酒が入ると皆人が変わって、私はああいう飲み方はひいちゃうんだよね。輪にはいっていけないの』っていってて、しばらく参加していないそうだ。弁護士が大酒のみなのは有名な話らしく、医者もかな?ストレスの多い仕事はやっぱり酒に走るってパターンらしい。
うーん。。。。
お酒を飲め飲めとは言わないけど、やはりこの集まりには参加した方が良いんじゃないかとは助言させてもらった。殻を破る練習しないと、娘ちゃん。酒が入ると気が緩んで打ち解けたり世界が広がったりするものだしね。たしなむくらいはした方がいいんじゃないのかな。
娘は暗い子なわけではないが、ノリが悪いんだよね。堅いの。それがウリなんだってのは分かるけど、アメリカで弁護士になりたいんだったら、自分のそういう殻を破らなくちゃいけないんじゃないのかな。
現に、『将来は弁護士事務所で働きたいのではなく、企業や政府の法律部門で働きたい』との夢を抱いているが、その前に、法律事務所でアソシエイト(弁護士事務所で働く下っぱの若手弁護士)として3年くらいは下積みが必要な世界らしいし、いい事も汚い事も経験しないといけない世界だ。それに、若いころにガンガン稼がないとローンも返せないし。
勉強ができるだけじゃダメなのは娘は重々承知しているんだけど、イマイチ殻をやぶれない。
長男と次男の社交性を少しづつ削って娘に分けてあげられないものだろうか。そして、娘のきっちりカチカチの仕事っぷりを彼らに分け与えることはできないんだろうか。
殻を破りなさい娘ちゃん。君ならできる!ママは応援してるよ。自分の力で仕事をとってきなさい!





