第四話 始動・激!入学
大央部魔法学園。
高等部。
入学式。
「いきなりだが」
生徒会長、式臥武人の言葉。
彼は、言わずと知れたこの学園最強の男。
ひいては高校界最強の男ということになる。
彼の次の一言は強烈だった。
まさに世界が変わる一言。
それは、
「前見せ!!!」
チ○ポ丸出し、
生徒会長。
「何してる、このお馬鹿っ!」すかさず、副会長、真田芙由のつっこみ。
あれ?真田?ふゆ?
姉さん?
「馬鹿な!あれが生徒会長」
「そんな……!!!」
優希がちょっとずれた考えをしているうちに、他の生徒達―――特に一年は―――驚愕にひれ伏していた。
それもそうだろう。生徒会長があれでは、と、眼鏡ニアは考えた。
「でかすぎる」
馬鹿ばっか。
「いや待て皆!」
お、まともな生徒が、ばい眼鏡ニア。
「あれはピンクだった」
大馬鹿ばっか。
「そうだ」「希望はまだ―――」
消えていなかった――――――
「さて、皆」
モノを隠した生徒会長は言葉を続けた。
「今見てもらったように」
見たくなかったが。
「生徒会長は絶対だ」
空気が固まる。
そうだ。生徒会長があんなことをしたのに、先生方は何も言わない。
唯一、副会長の突っ込みがあったが、十二神の内、妻の位をもつ副会長だからできたこと。
他の人間は、もう生徒会長に対して何もできやしない。
生徒会長は絶対。
今の行動は、それを表すには、充分すぎるものがある。
「新入生諸君!」生徒会長の言葉は続く。
「君たちはこれから、この私の位、生徒会長を目指して魔法の勉学にいそしむことになる」
「まずはDDSフィールドの張り方」
「二年で光子体」
「三年で魔法の真骨頂、SSフィールドの張り方を学ぶことになる」
今の優希にはその言葉が何を意味しているか、まったくわからない。
ただ、それを学ぶためにこの学校に来たんだ。
それだけは分かった。
「そして生徒会長の位になるにはクラスで一番になり―――」
「秋から新春にかけて行われる生徒会長占拠の総当たり戦で」
「我ら」
重い。
「最強」
言葉が重い。
「オリンポス十二神を打ち破らなければならない!!!」
長い、永い、道のりだ。
「以上で生徒会長の言葉を終わらせていただく」
「最後に」
「この先、一年間の未来は―――」
「まだ決まっていない――――――」
最後の言葉の真の意味はわからなかったが、たぶん一年生への手向けなのだろう。
重い会長の言葉を胸に、新しい学園生活に期待する。
クラス分け。それは見事に、希望どうりだった。
「ナデシコ」
「ゆゆユユウちゃん」
「同じクラスだ。よかったぁ」
「うん」
小声で史奈子がいう。
「ホントに」「よかった」涙がにじんでいる。
しかしそれには気付かず、優希はクラスを見渡す。
「桜!」
「おう、優希。腐れ縁だな」
「はは」
がっちりと、腕を組み交わす。
史奈子と一緒で、小学生の終わりまで桜とはずっと同じクラスだった。
中学で桜は大央部魔法学園中等部に入学したが交友は続いていた。
久しぶりと言うほどでもなかったが、春休み中はなんだかんだで会っていない。
しかしそこには変わらずの友情が確かにあった。
「お兄様!!!」
いきなり、後ろから抱きつかれる。
さりげに史奈子が少しムッとする。しかし優希はそれに気付かない。
抱きついてきたのは、
「式臥さん、君も高校生なの?」
愛子だ。
「わたくしは中等部三年ですわ。お兄様のお祝いに来たの。それよりお兄様」
いきなり愛子がかしこまる。
「わたくしのことは『愛ちゃん』とお呼びください」
「あ、愛ちゃん?」
「そうですわ」
また、優希に抱きつきに行こうとする。愛子との間に史奈子が割って入る。
「な、ナデシコ?」
「ユウちゃんに妹なんていた?」
「あいやこれは」
「お兄様の恋人ですか?」
「あいやまだ」
「まだ?ではそのうちですか?」
「あいや……」
「大丈夫、わたくしはお兄様の恋愛の邪魔はしません。ただし」
間。
「独り占めは駄目ですわ、ナデシコさん」
小声で史奈子が言う。「独り占め、したいのに…」
「真田さん」
声をかけられる。
まだ慣れない、クラスメイトだ。
第一印象を大事に、襟を正して、その声をかけてきた生徒に向かい合う。
「始めまし…天使?」
そこにいたのは、春休みに会ったあの天使だ。
いきなりだった。
「見つけた」
いきなり眼鏡ニアが優希の体を乗っ取った。
今度は体が女になるのがわかる。
こんなところで
いきなりのショックで優希の意識が飛ぶ。
ニ…ア・・・・・
「うわぁぁぁぁ」
「あなたはあの時の」
「…だ!!!」
意識が戻る。
しかしニアは何もしていなかった。
「ニィィアァァ」
「フン、起きたか」
一瞬だった。
プロパティの書き換えが再び行われる。
体が男になり、優希の支配下に置かれる。
「今度はパスワード付きだったのにな…」眼鏡ニアがぼそりと言った。
「やはりそういうことか……」
しかし優希にはその一言は聞こえていなかった。
史奈子が心配そうに優希に話しかける。
「ユウちゃん、またどこに!」
「え、ニアが」
「そうだ。ナデシコの話に聴いていたあのニアがいきなり現れやがった」
なぜか、桜の顔が赤い。
それには気付かずに、史奈子がいった。
「どこに行っていたの?」
「え?え?」
優希は確かに、皆の前でニアに変身した。
しかし気付かれていない?
「凡人は魔法で変身の瞬間、他の事に意識が飛ぶようにしてある。もし変身に気づける奴がいたら、お前と同等、もしくはそれ以上の魔力持ちだろう」
眼鏡ニアが説明する。
「ニア、何をした」
その答えは眼鏡ニアではなく、桜から返ってきた。
「あいつもたぶんここの生徒なんだろうな。そこのおネーさんに俺達皆が思っていることを言いやがった。おネーさんも普通に答えた。当たり前のことを」
一息つく。
「そして消えた―――」
「???ニア?」
「フン、めんどくせーことになりそうだな」
それはこっちのセリフだよ。
眼鏡ニアに悪態をつきながら、学園生活は始まりを告げる―――
「ニア、可愛かったな」顔の赤い桜
「ふにゅうですわー」気を失っている愛子
「…怖い。あれは、何かを壊す―――」おびえる史奈子
「……」無言の天使
「ならば―――」眼鏡ニア
それは当たり前のように。
「始まるんだ……」そして優希―――
