ONCE MAGIMAGI -40ページ目

第二話 発現・その名は

なんだ?

「は――――――――はっはっは!!!!!!」

高笑い?誰だ?

「この力、凄まじい、潜在パラメータ的にはマックスだ!!!」

洗剤?何?

「試し打ちだ。どれ?」

爆音。

気がつくと目の前に光の玉があった。

それは確かに高速だった。

しかし、優希にはとても遅く感じられた。

徐々に遠く離れていく。

山の向こうにその光弾が消えて数秒。

爆発。

いや、大爆発。

いや、超爆発。

光がすべてを包み込む。

名に見えない。音も遮断されているらしい。何も聞こえない。

自分の姿が掻き消える。

そこで気付いた。

自分?

あれ?自分がわからない。

自分は、優希?

いや――――――何か違う。

体がいうこときかない?動かない?

なんだ自分は?

「き、貴様―――!!!」

その人は空中に立っていた。

いや、なにかおかしい。

あぁ、自分も空中に立っている。

立っている?

どうやって?

「ほう、この爆発の中、私に反応するとは、貴様、ただの一般生徒ではないか?」

「わが名はアポロ。太陽神アポロだ!!!会長たちが大魔法を使って消費している今、この学園No.2の攻撃力を持つこの俺が貴様を討つ!!!」

誰に話しかけている?

ボク?

顔の向きからいえばボクだ。だが、答えているのは誰?

「先ほどの演武か?まぁ、一般人にしてはまぁまぁやるようだが、あの程度でこの学園最強とは片腹痛い!」

答えているのはボクだ。

なんだなんだ?

整理しなければ。ボクの状況を。

冷静に状況を判断すれば……

「お前うるさい」

いきなり話しかけられた。自分に、ボクに。

「判断するも何も私がお前の体を乗っ取った。ただそれだけの話だ」

乗っ取った?どうして。なんのために。どうやって。???

どうやっては魔法か。だがそれ以外は、まったくわからない。

「魔法?違うな、わかりやすく言えば―――そうだなコンピュータでいうところのハッキングか?」

はっきんぐ?なに?こんぴゅーた?いまどき?

魔法の台頭で、科学力は2000年前と同等になっているって聞く。コンピュータなんて情報を共有するか、エロいことに使うか―――使ったことないけど。持ってないし、コンピュータ―――ぐらいにしか使えない。

今時?

「神にとって2000年の時など一瞬なのだよ」

かみ?紙?2000年?はい?

わかった。ひとつだけわかった。

要は――――――


おまえは誰だ!


「これから消える、お前には関係ないことさ」

消える?

「それでも、名前は必要か…真田 優希?選択者?ふむ、どちらもダサいな」

ダサ…っ。僕の名前が…

「おい、お前」

「お前って、貴様さっきから何をぶつぶつと」

「名前もらってやる」

……

「た、たしかに我が学園のオリンポス十二神の名前は代々後輩に引き継がれているが…まだ私の名をやるつもりは―――」

「神に神の名をつけて何が悪い。とはいえアポロか…昔そんな名のお菓子があったな、庶民くさっ……、ま、まぁいい」

そこでボクは―――ボクの体を乗っ取っている奴は―――胸を張る。

「我が名はアポロ。太陽神アポロだ!!!!!!」

「何が神か」

そこにはあの天使がいた。さっき彼女は何かをボクに聞いた。

なんだっけ?

「?……おぉ、選択を聞くものか。たかが使いのくせに神に逆らうか?」

「貴様はもはや神ではない。悪魔だ!!!」

「……まぁ、そういう扱いにはなるか」

「って無視するな!!!」

「なんだ、名もなき雑魚よ」

「アポロだ!!!」

「貴様はアホロでいい」

「誰がアホロだ、アホじゃねぇ」

「消えろ」

おもむろにボクの手から再び光弾が放たれる。

一瞬だったが、でかい。

ためもなしに一瞬で巨大な光弾を作り出した。

何者だ?ボクは?

って聞く自分がちょっとバカっぽい。

ボクはボクだ。

「違うな。もうお前は私だ」

違う!!!ボクは……ボクは……

「私だ」

ボクだ!!!

「無駄だ。貴様の体は私が乗っ取っている。そしてプロパティで設定してある。おまえはすでに私の操り人形でしかない」

ボクはっ!

「そうだな、お前が既にお前ではないことを証明してやる」

「たとえば」

そこでアポロは考える。

「愛する者を殺してやろう」

愛する者?

「あの女、ナデシコと呼んでいたな」

「殺す」

ナデシコを殺す?

お前

「派手に殺してやろう。あの先ほどの雷竜の技、使ってみるか」

お前!

「使えるさ、『ボク』ならね」

お前!!!

「ほうら力をためるぞ。放つぞ。死ぬぞ行くぞサンダーユピテルドラゴーガ」

……

「死ね」

お前ぇぇぇっぇぇぇぇっぇっぇぇぇぇぇえっぇぇぇっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


光が凍る。


「な、なにっ!プロパティが書き換えられる。そうかこれが選択者のっっ、くっ、こんなことならもっと早く――――――」


そしてボクは、ボクに戻った。


「な、ナデシコ―――」

「ユウちゃん!!!ユウちゃん!!!!!!」

「よかっ―――」


そこで記憶は再び途切れる。

今度は乗っ取られたのではない。

ただ安らかに―――



発現