SUNNY GARDEN -2ページ目

SUNNY GARDEN

ESTUDIO EL HOMEOSUTASU.

VAMOS A MIRAR Mi JARDIN.

Lac defloratum. (Lac-d.)

 

動物をレメディの原料とするときは、その動物の一番個性的な部位を使います。

蛇はその毒。

ヒキガエルは、その皮膚から出す毒液。

鳥は、羽根。

哺乳類の場合は、そのお乳を使います。

その中でも、1番有名なのは、犬のお乳のレメディ。

他に、猫、ライオン、イルカ、馬など様々な動物のお乳がレメディとして使われています。

 

Lac-d.は、牛のお乳。スキムミルクを原料とするレメディです。

 

このレメディを学ぶとき、私は「乳牛の一生」というブログを紹介するところから始めます。

 

https://www.hopeforanimals.org/dairy-cow/227/

 

このブログは、現代の乳牛のあまりにも悲惨な一生について書かれています。

Lac-d.は、19世紀に作られたレメディですから、今の乳牛ほどは、悲惨ではなかったと思います。

でも、家畜としての悲しみは、マテリア・メディカの症状に反映していますし、私は、このレメディを学ぶことをきっかけとして、知っていてほしいと思うのです。

ブログを見ている最中に泣いてしまう生徒さんもいます。

私も、この現実を知ってから牛乳を飲むことや乳製品をとることを躊躇するようになりました。

今の牛乳の問題についての本を紹介してくれた生徒さんもいました。

 

「乳がんと牛乳」

ジェイン・ブラント著 径書房

https://www.yodobashi.com/product/100000009001577874/?yclid=YSS.1000206981.EAIaIQobChMIt7WI09bZgAMVzKGWCh2tIgLZEAAYAyAAEgI3uvD_BwE

 

Lac-d.の精神症状には、以下のようなものがあります。

MIND; SADNESS, despondency, depression, melancholy; conversation amel.

悲しみ:落胆、憂鬱、メランコリー;会話で好転

MIND; DELUSIONS, imaginations; convent, will have to go to a

妄想;修道院に行かなければならないだろう

MIND; FEAR; narrow place, in, claustrophobia

恐怖;狭いところ、閉所恐怖症

MIND; FEAR; toilet, in

恐怖;トイレの中

GENERALITIES; FOOD and drinks; milk; agg. aversion

牛乳による悪化、嫌悪

 

牛は、仲間同士で身体を舐めあって、清潔を保ったり、精神的な安定を得る習性があるそうです。このレメディにマッチする人も、悲しみを誰れかと話をすることによって楽に感じます。

また、友人や社会からはなれて、一人ぼっちでいるように感じている人もいます。

乳牛の一番の悲惨さは、母と子があまりにも早く引き離されることにありますが、このレメディを必要とする人も、母親とあまりにも早く引き離された経験を持つ人だったりもします。

狭いところへの恐怖については、と殺場のイメージではないかともいわれています。

 

身体的には、栄養状態が悪く、貧血気味で、歩くだけでもすぐに疲れてしまうような人。

牛乳に対して嫌悪感を持っている。

寒さに弱く、冷え性。

喉が渇いて、尿量が増加し、だるさと疲れやすさを感じ、痩せていく、糖尿病の症状にも重なるものがあります。

 

頭痛のレメディとしても有名です。

数年前、専門コースの授業で、スキムミルクを舐めてみるという超簡易プルービングをしたことがあります。そのとき、頭痛を経験した人が何人かいましたが、その痛みの部分が、ちょうど、牛の角が生えている部分だった人もいました。現代の乳牛たちは、安全のため角を切り落とすのですが、最も安上がりだけれど、牛には苦痛が大きい方法をとっているようです。

 

現代のインドのホメオパシーの巨匠、ラジャン・サンカランもこのレメディのプルービングをしたようです。

彼の著書“Soul of remedelies”にはそのときの経験が書かれています。

・マイルドで優しいが、活発で人を魅了しようとする傾向。おしゃべりで、表情豊か。

・受け入れてもらうために、共同体のために体を使ってとてつもなく働かないといけなと感じている。

・大切な人の喪失。母親を失ったテーマや早いうちに母親と引き離された養子の子供というテーマがあり見捨てられたと感じている。

・自分は汚いという感覚。これは動物レメディに共通するテーマです。

・閉鎖した空間を恐れる。

・自殺を考える。

 

スキムミルクには、ナトリウムが多く含まれていますが、Lac-d.はNat-m.と共通した症状が多くあります。

どちらも、悲しみのレメディです。

Nat-m.も早くに親と死別した心の傷を持っている人にしばしば見られます。

身体面では、大量の水を欲しがる、頭痛、便秘、吐き気、嘔吐、憂鬱、すすり泣き、動悸などがあります。

 

 

 

 

冬になると、可愛い鉢植えのシクラメンが花屋の店先を飾ります。

 

この姿に、皆さんは、どんな感じを受けますか?

 

先週、3年生の授業で、14期生の皆さんとこのレメディを学びました。

 

シクラメンは、中近東、東地中海地方原産のサクラソウ科の球根多年草です。

その大部分は、北半球の温暖な気候の中で生育しています。

シクラメンの学名は、ギリシャ語のkyklaminosに由来し、「旋回」という意味があります。

 

レメディはこの植物の根を原料にします。

 

婦人科系の病気とも関係の深いレメディで、女性的なレメディの1つです。

 

このレメディはCHKでは、3年生か4年生で勉強します。

この頃になると学んだレメディの数がずいぶん増えてきます。

すると、生徒さんたちから「なかなかレメディが頭に入らなくなってきた。」などというお話をよく聞きます。

 

ですから、私たち講師は、既習レメディの中で似た症状をもつレメディとの比較などをしながら、授業を進めるようにしています。

もちろん、有名なマテリアメディカにもこういった記述は多く、Cycl.は寒がりのプルサティラとか、プルサティラとセピアの中間くらい、と書かれているものもあります。

また、精神的にはナットムール(岩塩)やオーラム(金)に似ていると書いてあるマテリアメディカもあります。

 

精神症状でもっとも特徴的な症状は、

 

MIND; REPROACHES; himself   

自責の気持ち。自分を責める人です。

この症状で有名なのは、ナットムールやオーラムです。

この症状を持つレメディは、責任感が強く、とてもまじめです。

 

鬱的な暗い気分でいることが多く、無口で、孤独を好みます。

 

めそめそしやすい人でもあります。

「泣く」という精神症状の中でも、生理との関係が深く、黙って静かに泣くタイプです。

 

Cycl.は、以下の症状の中にあるレメディの1つです。

MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; before

MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; during

MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; suppression of, in

MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; silence, in

生理前、生理中、生理を抑圧したときに泣きます。

泣くときは、静かに、だまって一人で泣くような人です。

 

身体面では、めまいと視覚障害が特徴的です。

 

シクラメンの学名は、ギリシャ語の「旋回」という言葉から来ているようですが、Cycl.は、回転性のめまいで有名です。

VERTIGO; OBJECTS seem; turn in a circle, to  めまい;物が回転して見える。

VERTIGO; TURNING; circle; in, as if    めまい:まるで回転しているかのよう。

 

視覚障害では、めまい、頭痛、生理や胃腸の調子が悪いときに起きやすい人のようです。

VISION; DIM; vertigo; during   視野のかすみ:めまいの時に

VISION; DIM; headache; during   視野のかすみ:頭痛の時に

VISION; DIM; menses; during    視野のかすみ:生理中に

VISION; DIM; gastric complaints, and 視野のかすみ:胃の不調時に

 

視野のかすみ以外では、

VISION; FLICKERING   視野が点滅する

VISION; SPARKS    火花のように飛び散る

 

インドの巨匠、ラジャン・サンカランは、レメディ像を明確に教えるために、ご自分のわかりやすい、まさに、典型的なタイプのケースを示してくれます。

 

彼の名著“Soul of Remedelies “では、「自分が何か悪いことをやってしまったとか、自分がやるべきことをやらず、その結果悪いことが起きてしまったと感じている女性の状況」だと述べています。

そして、その悩みを一人で抱え込み、人と会話せず、一人でくよくよ考えます。

ナット・ムールな感じもしますね。

 

サンかランが紹介しているケースは、足のひどい湿疹に悩む45歳の女性。

大会社でキャリアを積んで成功している人でした。

彼女には精神遅滞で痙攣発作を起こす息子がいました。

彼女は、息子の存在を誰にも言わず、一人で世話をしていたということでした。

仕事以外では、息子の世話を自分一人でしていたので、あらゆる社会的な付き合いはありませんでした。

彼女は、妊娠中、たくさんの便から子供の頭が出てきている夢を見たそうです。

彼女は、その頭を押し戻そうとして、子供が大丈夫ではないことが分かった、ということでした。

そのことを今も彼女は悔やんでいました。

「避けることができたのではないか?」「何かできることがあったのではないか?」

罪悪感を感じていて、犯罪者のように、オドオドと、誰にも明かさずに、一人で罪を贖ってきた人だったそうです。

 

陽の光の少ない、暗く寒い季節。

シクラメンは、小さな鉢の中に、白、赤、ピンク、紫など華やかな色合いで、精いっぱい咲きます。

花の姿をよく見ると、めしべやおしべは地面を向いて、花弁は反り返るように上に突き立てています。

 

誰にも言えない思いを、ひそかに心に持ち、一人で頑張って生きてきたサンかランのケースの女性に、どこか似ているような気がしませんか?

 

 

 

 

 

 

 

先日、専門コースの2年生の授業でこのレメディを担当しました。

 

原料はバイケイソウ(梅恵草)。

白緑色の花が梅に似ていることと、葉が鶏卵ににていることから、バイケイソウという名がついたそうです。

緑色の花が多く、なんだか、奇妙な感じがします。

http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/monocotyledoneae/melanthiaceae/baikeisou/baikeisou.htm

 

この植物の毒性は強く、交感神経に作用し、各内臓の痙攣をおこします。

激しい嘔吐と下痢から極度の衰弱になります。

顔面蒼白、冷汗がでます。

悪寒で体中が氷のようになり、頭痛がして頭が氷漬けになったような感覚になります。

 

この症状は、コレラにとても良く似ています。

今の日本では、あまりなじみのない病気ですが、かつて日本でも恐れられた病気です。

https://xn--ja-o83a6ioa.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%A9

 

19世紀、コレラが欧州で蔓延した時に、このレメディは、カンファ―(樟脳)、カプラム(銅)とともに、素晴らしい治療効果を上げ、ハーネマンの名声を高めました。

 

衛生状態の良くないところでは、今も蔓延するこの病気は、今まで元気に生きていた人に突然襲い掛かります。

激しい下痢と嘔吐が、人間の大切な命のもとである水分を急激に奪ってしまいます。

 

このレメディの特徴は「虚脱」状態です。

マテリアメディカでは、”Collapse”という言葉で出てきます。

意味は、虚脱、崩壊、倒壊、衰弱、挫折・・・。

 

人間の身体における「水」という存在は、人間の社会的な場面では、どんなものになるでしょうか?

血液やリンパ液、粘液や漿液、唾液などとなって、身体のスムーズな循環を支えてくれる存在のような役割を、社会において担ってくれているのは、「お金」ではないかしら。

お金は、人の様々な必要をスムーズに満たしてくれます。

 

急激で激しい脱水から虚脱状態になるという現象が、社会的な側面で起きたらどうなるかしら?

 

それが、このレメディの精神症状を表しています。

 

インドの巨匠 ラジャンサンカランは著書“Soul of remedeis”で以下のように書いています。

”社会的地位を失ってしまったというフィーリングがあり、いかなる手段を用いてもすぐそれを回復しなければならず、さもないと自分は終わりだと感じている。

一度に何かを得る方法、たとえばギャンブルとかうそをつくとか詐欺行為とかいった方法を見つけようとする。冨や自分の重要性を示すことがVerat.の際立った特徴であり、これを使って失った社会的地位を埋め合わせようとする。”

 

身体における水分というのは、社会人としての冨や地位かもしれません。

 

サンカランは、このレメディをプルビングしたときに見た夢についても書いています。

“まもなく引退することになった年老いた男性は、引退することで社会的な地位を失うことになっていた。彼はそのことを恐れていて、まだ、自分は重要人物であることを示すために派手なパーティを開いた。”

 

嘘をついてでも、自分の裕福さを示したい。

このレメディを必要とする人は、本人だけでなく、その前の世代が失った場合にも多いそうです。

宗教や政治、ビジネス、などの世界での指導者のなかには、こういった状態の人が結構いるのかもしれません。

 

サンカランと並ぶインドの巨匠サルカー先生は、彼の著書“Just you see”のなかで、

このレメディについて、

 

“アルセニカムとハイオサイマスHyos.(ヒオス)の色合いがあると思う。”と書いています。

“このレメディは主要な急性病レメディの1つとして使えるが、大多数はアルセニカムを代わりに使っている。”

 

アルセニカムの人は、好色、呪う、だます、といったことはしなさそうです。

ヒオスは、しそうですが。

 

Verat.は下痢と嘔吐が同時に起きるアルセニカムと症状が似ているので植物の砒素ともいわれます。

 

私は、このレメディの授業をするときはいつも、渡辺淳一が書いた「遠き落日」という本をご紹介しています。

https://honto.jp/netstore/pd-book_26001244.html

 

野口英世の人生を描いた本ですが、子供のころに読んだ英雄伝記とはまるで違った人物像で、驚きました。

ものすごい野心家で、浪費家、嘘つき、大ぼら吹き。

でも、どこか憎めない可愛い愛すべき人。

 

サンかランも、Verat,は、一緒にいて楽しい人だと書いています。

“おしゃべり、歌い、冗談を言い、陽気である。また、神とつながっているというような愉快なファンタジーを思い描いていた利もする。”

 

「遠き落日」一度読んでみて!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明けましておめでとうございます。

 

みなさん、どのようなお正月を過ごされたのでしょうか?

 

私は、家族とのゆったりとした時間を過ごすことができました。

 

大晦日は、東京から帰ってきた息子と近くに住む娘の家に行き、恒例の手巻き寿司パーティをしました。

私たち夫婦と息子、娘の家族四人の7人で囲む食卓。

ネタの魚はご近所の腕の良い料理人の魚屋さんから。

予約しておけば、お任せで、そのときどきの良い魚を手巻きずし用にさばいてくれます。

この店は、焼き魚、イワシやマグロの煮つけなどもあり、特に鱧の照り焼きは絶品です。

 

元旦は、家族そろって家から歩いてすぐの三井寺へのお参り。

五歳の孫は、すぐに長い枯れ木の棒を見つけて、地面をつついたり、走り回り、岩をよじ登ったりし始めますが、このお寺の境内はとにかく広くて、やんちゃ坊主にも、とてもおおらかです。

初詣のお参りの後は、三井寺の中にある「長等カフェ」でお茶をしました。

こちらは、静けさと四季折々の庭が楽しめるお寺の中の和空間です。

 

二日は、石山寺にお参り。

まずは、洗心寮でお食事。

瀬田しじみの釜めし、鯉や湯葉など、滋賀らしいお料理です。

食事のあとは、1歳から67歳の家族7人が硅灰石でできた「石の山」の山頂にある本堂まで、階段や坂道を上りました。

 

三日目は夫婦二人に戻りました。

やはり家にいるよりは、四条に出かけたくなりました。

和久傳でお茶をしましたが、私たちがいつも向き合って話し合うことは「さて、これからどうするかな?」

 

そのアイデアの一つとして出てきたのが、CHKサイトの「レメディの使い方ABC」の第二弾を作ろうかなということでした。

「レメディの使い方ABC」は京都に来たばかりの私たちが楽しんだ京都の風物詩と始まったばかりのCHKの学校生活。

そして「基本講座」のご紹介でした。

 

今、私たちは滋賀に住んでいます。

CHKも今年の春は16期生をお迎えすることになります。

これからは、滋賀ライフのつれづれと、専門コースで勉強しているレメディ達をご紹介したら楽しいかもしれないな、と考えています。

 

 

 

 

先日の初級コース、マテリアメディカの授業で、私はAur.を担当しました。

 

このレメディの原材料は、金です。

 

ホメオパシーレメディの中で「鉱物」のレメディは大きな存在で、周期律なども理解の手掛かりにしていきますが、1年次では、まだ勉強しません。

初級コースでは、硫黄、鱗、水晶、プラチナ、金、銀など現物質の特徴がつかめやすくイメージしやすいレメディから学びます。

 

授業では、まずは、「金」について、知っていることを言ってもらうことから始めました。

 

“青い色だけを吸収する。貴金属の代表。永久に酸化しない。展性・延性にすぐれ加工しやすい。電気・熱伝導に優れている。 錬金術では、水銀の隣。

オーラム:金、暁、光り輝くという意味を持つ。

ゴールド:輝く、という意味を持つ。

金歯。神の皮膚と言われている。“

などでした。

 

では、これらのことから感じるイメージは?

 

“強壮。万能。完璧。王様。高貴さ。地上に届いた太陽。一匹狼。「どうよ、私を見なさい。」

大切に扱われる。“

 

そのあと、金でできたものの画像を見ていただきました。

 

金塊。仏像。金箔。エジプトピラミッドの埋葬品。金の器。奥州藤原氏の中尊寺金色堂。

雪の降る京都金閣寺。などなど・・・。

 

そのあと。Aur.の症状を想像していきました。

 

生徒さんたちが想像した症状は?

 

“孤独。ピークにいる。かまってほしい。愛に飢えている。自意識が高い。懐疑的。うつ。

重要な臓器にトラブルを持つ。“

 

マテリアメディカにでてくるAur.の最も有名な症状は、自殺傾向です。

でも、Aur.の人は、必ず自殺傾向をもつというのではありません。

また、レパートリーを引くと、他にもたくさんの自殺傾向のあるレメディが出てきます。

 

CHKで使っているレパートリーでは、

Aur.は、一番の高得点で記載されています。

MIND; SUICIDAL disposition

自殺傾向

 

そして、サブルブリックスとして、

MIND; SUICIDAL disposition; throwing himself from; height, a

自殺傾向:高いところから身を投げる。

MIND; SUICIDAL disposition; throwing himself from; windows

自殺傾向:窓から身を投げる。

ここにも、Aur.は記載されています。

金の人は、自分が高いところにいるという意識があり責任感がとても強いので、飛び降り自殺となるのではないかという話を、何かで読んだか、だれかに聞いたことがあります。

 

恐怖、怒り、反対されること、いらだたしさ、傷つけられた名誉、財産の喪失、過度の責任感などが原因で病気を発症してしまうような人。

超勤勉で、義務感が強く、過剰な罪の意識を感じ、祈ります。

 

自信がなく、見捨てられたような感覚を持っています。

MIND; CONFIDENCE; want of self

自信がない

MIND; FORSAKEN feeling

見捨てられた感覚

 

これらは、自信がなくて、はずかしがり屋の、Puls.(プルサティラ/西洋翁草)やLyc.(ライ子ポディウム/日陰の蔓)Sil.(シリカ/水晶)でまずは学ぶルブリックス(症状)です。

症状は同じでも、レメディによってその症状の背景にあるエネルギーが全く違うのだということ。

これは、とても面白いと思います。

人も、同じで、似た傾向があっても、それぞれ、その人の背景は違っています。

 

授業では、マッパムンディを使って、このレメディの全体像を感じてみました。

 

 

Aur.の人の持つ症状は、四大元素のどの部分に偏っているのだろうか?

 

冒されやすい部位は、精神、血管系、神経、心臓、骨、腺、肝臓、腎臓、目。

 

悪化要因は、夜

 

好転要因は、冷たさ、暖かさ、歩行、休息。

 

マッパムンディでは、

神経、心臓、血管、生殖器、高血圧、目、などFIREに入る要素が多くあります。

また、夜の悪化、自殺、耳・鼻、冬の悪化、音楽の過敏さなどがAIRに入ります。

 

Aur.の人は、「FIRE火」の要素と、「AIR空気」の要素に集まっているのがわかります。

ですから四元素では「火」と「空気」の縦の軸を作っている人だと理解できます。

 

四つの気質から見ると、「胆汁質」と「憂鬱質」の二つにまたがっているように見えます。「胆汁質」は、ダイナミックで説得力がある人です。

決断力、爆発的な激怒、反対されることに耐えられない、ため込みやすい、勇敢、活動的。

「憂鬱質」は、内気で閉鎖的な人。

厭世的、憤慨している、抑圧されている、控えめ、醜く無価値に感じる、損失への恐怖、仲間を避ける、哲学的、内省的、思慮深い、孤独が好き。

 

 

ホメオパシーの特徴は、全体性を見ることと、個別性をみるというところです。

身体的に困っていることだけでなく、困っている人の持つ精神的なところもまとめて、より類似したレメディこそがその人を楽にしてくれます。

そして、楽になるというのは、悩んでいる体の症状だけではなく、心もまとめて楽になるということです。

また、身体の症状も心の症状も、その人らしさ、個別性が大切。

同じ病名を持っていても、その人に必要なのは、みなそれぞれ違っていて、その人の個別性にあったレメディを必要とするのです。

 

 

 

先日の初級コース、マテリアメディカの授業で、私はArg-n.を担当しました。

 

このレメディの原材料は、硝酸銀(AgNO3)です。

 

私は、授業では、まずは、レメディの現物質について調べてきたことを生徒さんたちに言ってもらうことから始めます。

 

硝酸銀は、様々な用途で使われている物質で、毒性もあり、昔から医療現場でも使われてきた物質です。

でも、そういった情報からではレメディのイメージは立ち上がらなさそうだったので、私は2つのことから、まずイメージしてもらうことにしました。

 

1つは、中世の錬金術師達からルナコースティックと呼ばれ、傷の焼灼に使われてきたこと。Lunaというのは、ラテン語で月という意味、Causticは焼灼薬という意味があります。

 

2つ目は、鏡の裏張りに使われているということ。

 

「月」「鏡」

これらからイメージできることを上げてもらいました。

 

出てきたイメージは?

 

エネルギー。パワー。芸術的。怖い。果てしない。ほの暗い。映し出す。反射してまぶしい。

呪術的。女性的。冷たい。神秘的。自分の世界。やさしい。月明り。

 

 

そして、これらのイメージから浮き上がる「苦しみって?」「どのような病的な辛さ?」

という質問には、以下のようなお返事が返ってきました。

 

 

敏感。不安定。繊細。つかみどころがない。怖い。衝動的。神経質。

想像力。創造力。光や音などささいなことで眠れなくなる。

 

 

 

インドの巨匠サンかランは、このレメディのテーマを「突然の危機や危険におけるパフォーマンス」だといっています。

危機的な状況に一人で追い込まれたとき、その人の心の状態は?

恐怖心と膨れ上がる妄想です。

 

Arg-n.の人はいろんなことを恐れます。

人込み。街路。一人でいること。舞台恐怖。遅刻すること。閉所恐怖症。高所恐怖症。何かを引き受けること。失敗すること。

 

ああなったらどうしよう。

こうなったらどうしよう。

様々な空想を膨れ上がらせ、自分で自分をパニックに追い込みます。

 

予期不安から様々な病気を発症させます。

 

行動は衝動的で、あわただしく、急ぎます。

 

消化器系の症状を多く出します。

ガスがたまりやすく、張り裂けそうになります。

そして、破裂音のようなゲップをしたり、下痢をしたり。

上から下から噴出します。

まるで、膨れ上がった恐怖心が限界まで来て、破裂するかのような。

 

頭痛もうっ血性の、頭に何かがぎっしり詰まったような感覚で、頭を圧迫したり、きつく縛ると楽になります。

そして、最後には嘔吐して終わるような経過をたどります。

 

慢性的な喉頭炎や嗄声、声を失うなど、喉にも症状を持ちやすい人です。

歌手や俳優さんなどスポットライトを浴びるような職業の人が声が出なくなり休業宣言をしたりするのを聞いたことがありますが、そういった状況のレメディでもあります。

このレメディは、「月」のイメージと重なりますが、月は夜の暗闇の中で、太陽の光を浴びて光るパフォーマーでもあります。

楽屋での破裂しそうな緊張感のあと、舞台に立って爆発的なパフォーマンスを見せる名優かもしれません。

 

甘いものや砂糖には縁が深く、大好きなのに、それによって体を痛める人でもあります。

 

初級コースの人たちは、レパートリーを引き始めたばかり。

今回の授業でも、Arg-n.についての恐怖の項目や予期不安についてのルブリックス(症状)を探してみました。

 

すると、Gels.(ゲルセミウム/イエロージャスミン)が良く出てきました。

このレメディも、予期不安のレメディです。

基礎講座などでは、試験前によいレメディだとご紹介しています。

試験前の不安な時にどちらも使えるのですが、不安な状況に向き合っているという状況は同じですが、反応は、真反対です。

 

Arg-n.はそわそわ、落ち着かないのですが、Gels.はプレッシャーを前に脱力してしまったような人に良いレメディです。

Gels.は、不活発で麻痺してしまったような反応をします。

原物質も、春に黄色い花を咲かせるつる性の植物です。

インフルエンザや風邪で高熱をだして、動けなくなった時にもよく使うレメディでもあります。

 

 

 

 

 

2022年11月20 日は、ダイナミススクールでの4年余りの学びの最後の日となりました。

そして、この日は、私の64歳の最後の日でもありました。

 

日本でのダイナミススクールが始まったのは、京都でCHKがスタートしてから、10年目の年。

私が、CHKで、ホメオパスとしての臨床と講師としての活動を10年間経験した時期でした。

60代の前半にこのような充実した日々を送れたのは、ほんとうに幸運でした。

 

日本でのダイナミススクールの開催は、吉川さんと北村さんがアフリカのタンザニアまでホメオパシーの研修のために出向いたときに、ジェレミー先生に日本に来ていただきたいとお願いしたことから始まりました。

彼女たちの情熱には感謝しかありません。

 

ダイナミススクールでの最後のレメディ学習は、Haliaeetus leucocephalus (Haliae-lc)白頭鷲でした。

1995年 サンフランシスコのダイナミススクールでジェレミー先生がダイナミスの生徒たちとプルービングしたレメディです。

 

 

ジェレミー先生は、長い間、鷲のプルービングをしたいと思っていたそうです。

でも、生きた鷲からサンプルをとるのはあまりにも難しく、できませんでした。

 

あるとき、サンタフェで傷ついた白頭鷲(マクスウェル君)の世話をしている獣医さんとの出会いがあり、実現したそうです。

 

Haliae-lcは、銃で翼と脚を撃たれ、飛べなくなったアメリカ白頭鷲の血液から作ったレメディです。

 

このレメディにマッチする人は・・・・。

 

白頭鷲ですから、かつては、王様として君臨していた猛禽です。

でも、今は、地上にスタックして希望がありません。

 

交通事故で脚が麻痺して一生歩けなくなった人のようです。

 

また、ネイティブインディアンのようでもあります。

かつては、自由でパワーを持っていたが、今は酒浸りで将来への希望もなく自滅的な生活をしているような人。

 

自滅的で摂食障害を持っている。

自殺願望。

鷲はすごいスピードで飛びますが、このレメディにマッチする人も、あらゆることを早くしないと怒りを感じます。

スーパーに行くと、カートを押して前を歩く人のスピードに腹を立て、渋滞にも怒ります。

邪魔されることに耐えられず、大声で叫びます。

子供が言うことを聞かなかったら、「殺す!」といって脅したり、子犬を押しつぶしたくなったり、死んだ動物の匂いを嗅ぎたくなる。

わけもなく殺したくなるような暴力性。

 

空を飛ぶ夢。

 

骨が空っぽの感覚。

 

上向きの感覚と下向きの感覚があります。

上向きの感覚は、高いところにいて、恍惚とした高揚感があります。気分はハイな感覚。

下向きの感覚は、地面にスタックして動けない。抑うつ的。下降。絶望。

目的を失い、方向性を失う。

自分の人生におけるゴールを失ったような双極性の鬱によいレメディのようです。

 

梅毒マヤズムのまとめとして、ジェレミー先生は、このレメディを紹介してくださったのでした。

 

プルービング後、数年たって、アメリカ白頭鷲(マクスウェル君)のお世話をしている獣医さんから連絡があったそうです。

マクスウェル君は、傷からの出血が止まらない。

血が固まらず、以前よりイライラが強まり、機嫌が悪く、鬱も強まっている。

様々レメディを試してみたが、うまくいかなかった。

ジェレミー先生は、Hamamelis ハマメリス を飲むようにアドバイスしたそうです。

このレメディは、静脈に作用します。痔のレメディとして有名ですが、古い傷ややけどにもよく使います。毛細血管からの黒い出血。

精神症状は、学習意欲や労働意欲がない。相応の敬意を払われていたい。

まさに、マクスウェル君、ピッタリのレメディだったと思います。

ハマメリスで傷も良くなったし、何より心が穏やかになったそうです。

 

 

授業の後は、ジェレミー先生へ感謝の気持ちをこめて、教室参加の私たちと、Zoom参加でそれぞれの自宅にいる人たちで「さくら」を合唱しました。

 

私たちは、先生のもとで「ソメイヨシノ」のプルービングをしたのでした。

この体験が4年間の中でもっともすばらしい学びだったと思っています。

 

そのあと、ジェレミー先生がハモニカを吹いてくれました。

バッハのG腺上のアリアでした。

先生の姿の後ろには、雲が沸き立つ冬空を飛び交う海鳥の映像が映りました。

 

ホメオパシーの世界をひたすら歩いて来られたジェレミー先生。

同じユダヤ人としての血なのでしょうか。

ハモニカを吹く先生の姿が、私には、愛の画家シャガールの絵画のように見えました。

 

 

 

 

 

 

 

先日の初級コース、マテリアメディカの授業で、私はLach.を担当しました。

 

このレメディの原材料は、アメリカ大陸最大級の毒蛇、クサリヘビ科のブッシュマスターの毒液です。

 

ホメオパシーレメディの中で「蛇」のレメディは大きな存在です。

いくつもの蛇のレメディがあります。

CHKでは4年間で4つの蛇レメディを学ぶことになっています。

 

授業では、まずは、「蛇」のイメージを言ってもらいました。

蛇に対して、魅力を感じている人もいますが、たいていの人は嫌悪感を持っています。

“締め付けられそう。 執念深い感じ。 冷たくヒヤッとした皮膚の感じが気持ち悪い。

くねくねして、気味が悪い。 美しいと思う。 出会うと運が開けそう。“

などでした。

 

そのあと。従業では、ブッシュマスターについて調べてきたことを発表し、画像を見て、Lach.の症状を想像していきました。

 

 

ブッシュマスターは湿度の高い熱帯雨林に住んでいます。

日没から夜間にかけて活動する夜行性。

待ち伏せタイプの狩りをします。

齧歯類(ねずみなど)などを主に食べますが、獲物が来るとサッととびかかって毒を注入します。

獲物が死んでいるのを確認してから、飲み込みます。

ブッシュマスターの毒は、赤血球を破壊し、血を止まりにくくするため、かまれると大量出血死します。

毒が静脈に入ると心臓の神経に入り即死します。

獲物以外に対してはおとなしく、原生林の奥に住むため、人をかむようなことはめったにありません。

人に捕獲されても人からの餌は絶対に食べず、死んでしまいます。

 

蛇のイメージ。

ブッシュマスターの画像。

ブッシュマスターの生態。

これらの情報から、Lach.というレメディが持つ症状?

想像できますか?

 

 

Lachの最も有名な精神症状は、おしゃべり、傲慢、疑い深さ、嫉妬などです。

これらは、レパートリー(レメディ検索辞書)では大きなルブリックス(項目)として出てきます。

 

初級コースでは、入学して半年たったころから、この本を開き始めます。

皆さん、もう待ちきれないといった雰囲気でレパートリーをめくっていました。

どのルブリックスにもいくつものレメディが並んでいます。

すでに習ったレメディも出てきて、楽しいやら、びっくりやら。

 

おしゃべり:Loquacity といえば、Phos(燐)が有名。外国語の習得も得意です。

 

傲慢:Haughty といえば、Lyc(ひかげのかずら)でならったばかり。自信がないくせに、エゴが強くて傲慢だったりもする、知的でひ弱なタイプ。

 

疑い深さ:Suspicious といえば、Ars(砒素)。健康や財産に対する不安が強い、奪われることを恐れています。

 

嫉妬:Jealousy といえば、Nux-v(マチン)。競争心が強い野心家です。

 

今まで勉強したレメディの復習にもなりました。

 

 

インドの巨匠ラジャンサンカランは、「性的にも自分より有利なものを持っているライバルと競争しなければならない人の状況」だといっています。

たとえば、若いガールフレンドのいる夫をもつ更年期の女性のような。

手足のない蛇のような悲しみと口惜しさ。

でも強烈な毒をもって彼女は対抗しようとします。

それは、才気煥発で人を操るような舌鋒の鋭さかもしれません。

 

ギリシャの巨匠ヴィソルカスは、「沸騰したやかん」のような人だと表現しています。

煮えたぎった蒸気を解放しなければ、自分が壊れてしまうような人。

Lach.の人は、暑がりで熱に弱いです。

太陽の熱によって、破裂しそうになるズキズキする頭痛。

生理も、始まる直前が激しい不調で経血が始まったとたんに楽になります。

経血が止まる、更年期に悪化します。

生理でも、下痢でも、鼻時でも、排尿でも、とにかく排出によって症状が好転する人。

 

蛇の特徴は、首が弱点だということ、そして、脱皮すること。

Lach.の人は、首のまわりの圧迫を嫌います。

寒くても胸元まで開いた服を着ているような人。

脱皮前の窮屈な苦しさを反映しているのでしょうか?

身体を締め付けるようなタイトは服も苦手です。

 

数年前、インドのサルカー先生をCHKの国際セミナーにお呼びしましたが、「蛇に噛まれたときに大切なことは、患者を寝かせないこと。寝ている間に毒がまわってしまうからね。ほっぺたをピシャピシャ叩いて眠らせないようにするんだよ。」と話されていたのが印象的でした。

サルカー先生は、だから「蛇のレメディの人は眠るの悪化する。」と教わりました。

Lach.の人は睡眠で悪化します。

睡眠後の悪化。朝も悪いです。

 

身体の部位では、心臓や循環器に問題が起きやすく、心臓がある左側に問題が起きやすいことも特徴です。

扁桃腺の炎症も左側。卵巣も左側に症状が起きます。

反対に右はLyc.(ひかげのかずら)やApis(ミツバチ)です。

 

 

ホメオパシーでは、頭痛のレメディも、生理痛のレメディも、喘息のレメディも、リュウマチのレメディも、ありません。

 

その人の全体へのアプローチです。

 

一番つらい主訴とともに起きるそれ以外の症状。

 

症状が起きやすい部位。

Lach.は女性生殖器、心臓、循環器、血液、左側。

何かきっかけはなかったか。

Lach.は、更年期、失恋、激しい感情、口惜しさ、太陽の熱・・・などで発病します。

 

どのようなことで、悪化または好転するのか?これは最も大切な情報です。

Lach.では、悪化は、睡眠・熱・衣服の圧迫や接触など・排出の遅れや阻止。

好転は外気・分泌・冷たさなどです。

 

 

 

健康なつもりで生活していたが、ある日健康診断で引っかかって、精密検査。

病名がついてその病名に対するピンポイントでの治療が始まった。

その日以来、病人としての生活が始まる。

こういったこと、よく聞く話ですね。

そして、その人が健康かどうかは、すべて検査結果が決めます。

患者さんからの情報は、医師にはあまり必要なものではありません。

 

でも、ホメオパシーはこれとは真逆です。

その人が感じる不都合や違和感をじっくりお聞きして、その人全体に似たレメディを探していきます。

その人が良くなっているのか、そうでないのかは、その人が感じ、観察した事実頼みです。

 

私は、ホメオパシーを学ぶほどに、今まで常識だと教えられてきたことに、それでいいのかという、疑問がわくようになってきました。

 

そして、ホメオパシー的な世界観に親しむことで、物の見方がより柔軟に、より自由になってきているような気がしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホメオパシーのレメディは自然界のものを原料としたものから作ります。

自然界は、三界といって主に鉱物、植物、動物から出来ていますので、ほとんどは、これら3つのうちのどれかなのですが、勉強が進むにつれ、三界とはいえない原料から作ったものも学ぶようになってきます。

Pyrog.も三界のどれにも含まれないレメディの1つです。

 

 

Pyrog.は、牛肉を水に浸して、日の当たるところに3週間放置したものを原料にしたレメディです。

 

想像してみただけで、なんだかぞっとしますね。

 

先日、専門コース2年生の授業で、私はこのレメディを担当しました。

 

生徒さんたちにまず、質問しました。

 

「このレメディの原料を想像してみてください。」

お答えは、

臭い。

何か黴菌がついて繁殖して、崩れているかも。

肉が黒ずんでいるのでは。

肉が崩れ落ちている。

などなど・・・。

 

そして、次にした質問は、

「レメディの現物質から、想像できる、類似した症状は?」

お答えは、

膿んでいる。

化膿。

熱が出ている。

痛そう。

などなど・・・。

 

 

 

1880年、John Drysdateによってプルービングされたのが最初です。

彼は、このレメディをPyrexinよんでいたそうです。また、Sepsinとも呼ばれていたようです。

Pyrexinは、Pyrexia(発熱)

Sepsinは、Septicemia(敗血症)から来ているのかもしれませんね。

かつて、ホメオパシーがアメリカにも広がり、医師たちに使われていた20世紀の初めごろまでは、熱性の激しく深刻な症状によく使われていたのだと思います。

 

Pyrog.は、細菌感染症や化膿、敗血症のときに使われて来たレメディです。

 

細菌感染症は、肺炎が最も多いようですが、肺以外にも喉頭、胆嚢、肝臓など色んな部位に起きることがあります。

熱が上がり、寒気がしてがくがく震え、衰弱も強いです。

 

化膿は、傷口から細菌が入り炎症を起こし、膿が出たり、たまったりする状態。

 

敗血症は、感染症が一部だけでなく全身に広がる症状。体温の異常な上昇や低下、心拍数の上昇、呼吸数の増加などが起き、全身のさまざまな臓器が機能低下を起こします。

 

また、今の日本ではほとんど耳にすることはありませんが、Pyrog.は産褥熱の特効薬だとも多くのマテリアメディカでは書かれています。

日本でも、昭和の初めころまではそれほど珍しい病気ではなかったようで、若くて元気だった女性でもしばしば命を落としていました。

産褥熱は、産後24時間から10日以内に38度以上の熱が出ます。お産の際に細菌が膣や子宮に名入り感染することで起こります。発熱以外には、腹痛、悪露の悪臭などの症状が現れます。母体の免疫力の低下などが原因として起こります。

 

 

 

Pyrog.の特徴的な症状は、

 

心臓をはっきりと意識する。心臓が腫れている感じ。心臓の充満感。心臓の沈む感じ。

 

熱があるのに、以前よりよくしゃべり、早く考えたり話したりできる。

 

衰弱しているのに、落ち着きがなく、温めたり、動くことで楽になります。

 

ちょっと触れても痛い打撲したような痛み。ベッドが固く感じる。

 

悪臭のある分泌物(便、尿、汗、体臭、息、生理、嘔吐)。

 

骨の痛み。

 

脈が速く、体温とのバランスを欠いている。

 

高熱。

 

舌が火のように赤く、ブヨブヨとたるみ、光っている。

 

ズキンズキンとする頭痛。

 

 

 

インフルエンザの時によく使ういくつかのレメディを彷彿させるような症状が並びます。

 

衰弱しているにもかかわらず、じっとしていられない落ち着きのなさで、温かさや動くことでよくなるのは、Rhus-t.(ルストクス)

 

ちょっと触れても打撲したように痛み、ベッドが固く感じるのは、Arn.(アルニカ)

 

骨の痛みは、Eup-per.(ユーパトリウム)

 

ズキンズキンする頭痛は、Bell.(ベラドンナ)

 

インフルエンザは、ウイルス感染ですが、高熱に苦しむ感染症。Pyrog.の出番もありそうです。

Pyrog.は、コロナ感染症の症状をカバーするレメディの1つでもあります。

 

 

また、腫れや化膿の症状で有名なレメディは、Hep-sulph. Merc. Sil.ですが、分泌物が臭いという症状もPyrog.と共通しているところです。

 

 

 

 

 

 

 

ダイナミススクール4月の授業では、サイコシス(淋病)マヤズムについて学びました。

それに続き、7月授業では、シフィリス(梅毒)マヤズムについて学びました。

そこで、私にとってあまりなじみのないシフィリスマヤズムのレメディ~Guai.を学びました。

 

梅毒マヤズムのレメディといえば水銀を原料とするMerc.(マーキュリー)が代表格。

水銀は、梅毒の薬として使われてきました。

きわめて毒性の強い、常温では液体の重金属です。

 

1492年、コロンブスの新大陸発見は、世界史上もっとも有名な出来事の1つです。

コロンブスは当時の英雄。

芋、煙草、チョコレート、唐辛子など、さまざまなものを持ち帰りましたが、「梅毒」という厄介なものも持ち帰りました。

梅毒は、南米では風邪をひくような大したことのない風土病のようなものだったようです。

それがスペイン人に感染したとたん大変な業病になったのだそうです。

梅毒は、性交渉で感染していきます。

1512年には、日本でも、文献記録に登場します。

たった20年で極東の島国までやってきたことは、驚きです。

 

スペイン人は、南米から「梅毒」を持ち帰ってきてしまいましたが、病と共に治癒の木も持ち帰りました。

梅毒の薬であったことから、和名ではユソウボク(癒瘡木)と呼ばれてきました。

種小名の officinale も「薬効あり」という意味を持ちます。

Guai.は、ユソウボクの樹脂を原料にするレメディです。

 

 

ユソウボクは、水銀が梅毒の治療に使われるようになるまで、30年から40年ほど使われてきました。その後100年以上水銀が使われるようになります。

 

ユソウボクは、南米北部の沿岸から西インド諸島原産の常緑高木。

ジャマイカの国花に指定され、別名Lignum Vaite(生命の木)とも呼ばれています。

 

ユソウボクは、現存する南米の木の中でもっとも比重が重く、硬い木です。

丈夫で耐久性に優れているため、昔から船舶のスクリュー装置の軸棒などに使われてきました。

また、この木に含まれている樹脂が潤滑油の役目もするため、機械時計の軸にも使われてきました。

重くて水に沈む、鉄の木ともいわれています。

まるで金属のような特徴を持った木です。

油分を多く含み、腐らない。

警棒にも使われました。

 

 

Guai.は、「ファタックのマテリアメディカ」では、“関節の繊維組織に主に作用する、関節炎体質に有用なレメディ。”という一文から始まります。

筋肉と腱が収縮して、痛みをもってこわばり、関節が腫れます。

縮こまり、ねじれ、しびれ、痛み、歪み、動きにくくします。

Guai.はこういった症状の主たるレメディです。

筋肉・靭帯の収縮といえば、Caust.(コウスティカム)にも似ています。

ですが、Guai.の方が、より収縮感が強いです。

 

Guai. の収縮感は、だんだん痛みへと進みます。

針で縫われているような痛み。

全身の様々な部分で感じるようになってきます。

頭、顔、喉、心窩部、膀胱、焼けるような熱感のリウマチを伴う扁桃炎、。

ナイフで刺されるような痛みもあります。

ナイフで刺される夢を見ます。

梅毒レメディの多くがナイフのテーマを持ち、重たい金属でもあります。

Guai.は樹木ですが、金属のように、重くて硬いというところが面白いと思います。

そして、樹木ですが、梅毒レメディに分類されています。

収縮は、中心に向かって一点に絞られてきます。

すべてのものが一点に向かって、収縮して、動けなくなり、立ち尽くします。

 

「ファタックのマテリアメディカ」の精神症状では・・・。

・忘れっぽい、特に名前。

・すべてのことを批判したい、さげすみたい強い欲求。

・軽率に物事を始める。

・怠惰、頑固、気難しい。

 

あらゆるものが狭すぎるという妄想を持っています。

MIND; DELUSIONS, imaginations; narrow, everything is too

(精神;妄想,想像;狭い,すべてが狭すぎる。)

この症状に該当するレメディはGuai.とPlat.(プラチナ)。

 

イライラして話さない。縮こまっている。固定観念。柔軟さがない。侮辱するような傲慢さ。さげすむように批判し、軽蔑したい。強情。思考が硬い。妥協しない。懐疑的。

 

戦いの夢や暴動の夢を見ます。

MIND; DREAMS; battles  戦い

MIND; DREAMS; fights  戦闘

MIND; DREAMS; murder  殺人

MIND; DREAMS; quarrels, strife  けんか

MIND; DREAMS; riots   暴動

MIND; DREAMS; scientific  科学的な、厳正な

MIND; DREAMS; stabbed  刺される

 

命を持つ動的なものは、一点に向かって、収縮するときには、必ずもう一方に拡張していくという力が働きます。

そして、それらの間で、引き裂くという不調和な状態が病気です。

政府は一点に収縮させたい、他方民衆は拡張したい。

これが暴動という状態を起こし、「警棒」で収拾されます。

「警棒」は、ユソウボクで作られることが多かったようです。

 

ジェレミー先生がダイナミススクールで、このレメディについて講義をしていた時、ある生徒さんの一人が「私の夫です!」といったそうです。

 

彼は65歳。

しばしば喉の痛みを訴えます。痰は出ない。左腕に大きな潰瘍があり出血している。

メラノーマ(悪性黒色腫:皮膚がんの一種)もあります。

精神的にも「収縮」している人。

若いときからのルーティンを変えずに暮らしている人。

習慣を変えない。

新しいものに心開かない。

同じ服を着て、同じものを食べ、ジムで同じエクササイズをして、同じ本を読んで、同じジョークを言う人。

ジョークは人への批判と馬鹿にすること。

常に変わらず1つのことを信じて、違うことは信じない。

仕事は、映画のスタントのコーディネーター。

ナイフ、けんかの準備の仕事。

多くの戦いや暴力のシーンを作ってきた。

ナイフと刀が好きでベッドのわきにナイフのコレクションを飾っている。

話すときは短い文。語彙が貧しい。

短期記憶は貧しく、長期記憶は豊か。(これは梅毒マヤズムのレメディに特有)

動くことが嫌いで、時間のある時はソファに寝ころんでTVを見ている。

関節の痛みは、冷たいものをあてがってケアしている。

寒がりで寒さは嫌い。暑いのも嫌い。寝汗がひどい。

いつもリンゴとバナナを食べている。

身体はがっちりしている。

 

この人に、Guai.6c.を1日に3回毎日続けて1か月飲ませたそうです。

すべての症状は消えて、身体は治癒され、彼女とは離婚して友人となったそうです。

ハッピー・エンド。

 

Guai.は、寒がりですが、患部を冷やすと好転します。

関節リウマチも、関節炎も、痛風、成長痛、首の痛み、手根管症候群も患部を冷やしたがり、また楽になります。

Led.(イソツツジ・ワイルドローズマリー)も患部を冷やすと楽になるという、同じモダリティを持っています。

Led.の精神症状は、「ファタックのマテリアメディカ」では、

“怒り。不機嫌。不満。仲間を憎み、一緒にいることを避ける。”とあります。

精神的にも似た傾向があるようです。

 

りんご好きのレメディです。リンゴを欲しがり、リンゴを食べることで好転します。

りんごもユソウボクと同じく硬い木です。

Guai.には硬いというテーマもあります。

粘液が硬くなったり、発疹が硬いという症状もあります。