ときに


冷えた肩を包んで欲しいときがある


薄汚れたこんな体でも



ふと


やさしい言葉を耳にしたいときがある


一人で生きていくと覚悟していても







似た寂しさを抱えた二人


求め合う温もりが溶け合い始めても


それでも埋まらないすき間


飽きたわけではなく慣れただけ


二人分が混ざり合って


自分のかどうかどうか判らなくなっただけ


だから違う温もりを探しただけ


ほんのそれだけのこと


残された部屋にはまた一つ寂しさが増えただけ


そう、それだけのこと






二度と繰り返さない


だから人は昔


生来の罪を


空にあげて星座にしてきた



忘れてはいけない


そのために人は昔


嘘のような悲しみを


火を囲んで神話にしてきた



だけど今は・・・


ネオンで目がくらんでいるのか


何も見ようとはしない


雑踏が耳をふさいでいるのか


何も聞こうとはしない




ねぇ 

煙草持ってる?

あぁあんた 

吸わなかったわね

えぇ?

あたしの体のこと心配してくれるの

ありがとう

でもねぇ

煙草吸わないと落ち着かないの



ねぇ 

お酒もう一杯もらっていい?

あんたも遠慮しないでお飲みなさいよ

あたしが酔ってるって?

大丈夫よ

それにね

お酒がないと眠れないの



えぇ?

何言ってるの今日に限って

みんな聞いてるじゃないの

冗談ばっかり

可笑しくって

涙が出て来ちゃった

やめてよ

涙が止まらないじゃないの

どうしてくれんのよ

バカ





突き飛ばされた者の上を行く突き飛ばす手
くやし涙にくれる者を
蔑んで行く突き飛ばした手
彼と同じ手をしている
この手は彼と同じ手をしている
突き飛ばされた者に差しのべる手ではなく



そんなつもりのない言葉
何の意味を持たせなかったはずの言葉
そのはずなのに

人の耳には棘になる
刃になってしまう
彼と同じ言葉を持っている
彼と同じ言葉を何気なく使っている



汚れたレッテルをはり
引きずり出された石土の凍たさ
流れる血潮にも容赦なく
投げつけられる石土の凍たさ
彼と同じ血が流れている
彼と同じ血がこの身にも流れている



恐怖が生む狂気
怖じ気づく殺気
NOといえない正気
重ねる罪
のしかかる罪
償いきれない罪
彼らと同じ罪がある
彼ら以上の罪がこの身にはある




つるべ落としの日暮れ道



四ツ五ツの曲がり角



泣き面くれて小焼け道



くつ音ひとり 半べその



行きつ戻りつ迷い道



途方の先の窓明かり








何もかも写してしまう鏡など割ってしまえ



邪な顔など引き裂いてしまえ






人はいくつかの過ちを



そして同じ過ちを



いつも繰り返す



運命として諦めるか



復讐として刻んでいくか



いつも繰り返している






毎夜の闇が怖いなら


夢の中へ逃げなさい


たとえ一時でも忘れていられる



波の音を数えるような


かすなか子守歌(うた)が誘う(いざなう)ように


眠りの舟が月の出を合図に漕ぎ出していく


その月が行方を指し


帰る道を消していく



夜が静寂を好み


それを破るのは


鶏(とき)の役と決まっている


いつの世も


明日の夜(よ)も








『がんばっている』


そう思う心が今の支え


誰に誉めてもらえなくても


誰にそしりを受けても




『懸命に生きよう』


そのことだけが自分の支え


たとえ同じ轍を繰り返していても


たとえ意味のない人生と笑われても