はかりかねる相手の気持ちに苛立って
なじってしまった
裏切った
裏切られた
取った
取られた
そんなことではなかったのに
そんなつもりもないのに
何気なくの言葉を
取り違えられていく
言い訳はただの取り繕い
そんな風に思われてしまう
狂い始めた歯車は
閉じていく心
はかりかねる相手の気持ちに苛立って
なじってしまった
裏切った
裏切られた
取った
取られた
そんなことではなかったのに
そんなつもりもないのに
何気なくの言葉を
取り違えられていく
言い訳はただの取り繕い
そんな風に思われてしまう
狂い始めた歯車は
閉じていく心
「おい」と言えば、
「はい」と答える
「たまには」と言われれば、
「あぁ」と答える
少し薄めなのがおまえは好きで
私は苦いくらいが丁度いい
おまえのつむじが曲がったときは
幾度も入れ直しては機嫌を取り
子どもたちの節目には
新しいのを買ってきて
子どもたちがいなくなった今の静けさにも
相変わらずの香りが漂い
たまの電話で
はしゃぐ孫の声を聞いた後では必ず
嬉しそうに入れに立つ
読みかけの本を置き
「なぁ」
編み物の手を止めて
「はい」
「そろそろお社の櫻、見頃じゃないか」
「そうですね」
毎年のような会話
2杯目を少し残し
杖と互いを頼りにしながらの足取りで
春の風を受け
ゆっくりと
二人して
愛おしく
狂おしく
そして乙女は潤しく
その瞳に恋をし
その口元には微笑みをあたたえ
けれど心は届かぬ想い
それでもなお想い絶やさず
まさか
まさかと
幾度も自分に問いかけた
切ないばかりに
鼓動は高鳴り
言い得ぬ想いがつのるばかりで
それでも
なお想い絶やさず
水をすごすと根腐れするから
でも、手を抜くとすぐに枯れてしまうと
難しいことを言い残して
今年もなんとか咲かせることができました
明日は休みだからと
またには差しつ差されつ
酌み交わした夜も
今は一人の夜長を持てあまし
読みかけの文庫本もそのままにして
休むの日を合わせて出掛けることも
頼んだ買い物を忘れてケンカすることも
傘を忘れて駅まで迎えに行くことも
観終わった映画のことを話しながら
手を繋いで帰る夜も
慣れない時間の分だけ
物足りなさが色濃くなっていく
いなくなった部屋は
それだけで広くなったけど
夜にはその世界が縮んでしまう
部屋中の電気を点けても
ただ濃縮されているだけで
一人の密度が増していく
あなたは誰かの子どもの顔を持ち
あなたは誰かの親の顔を持ち
あなたは誰かの妻・夫の顔を持ち
あなたは誰かの兄弟姉妹の顔を持ち
あなたは誰かの祖父母の顔を持ち
あなたは誰かの孫の顔を持ち
あなたは誰かのおじ・おばの顔を持ち
あなたは誰かのおい・めいの顔を持ち
あなたは誰かのいとこの顔を持ち
あなたは誰かの家族の顔を持ち
あなたは誰かの隣人の顔を持ち
あなたは誰かの客の顔を持ち
あなたは誰かの店員の顔を持ち
あなたは誰かの上司の顔を持ち
あなたは誰かの部下の顔を持ち
あなたは誰かの同僚の顔を持ち
あなたは誰かの同級生の顔を持ち
あなたは誰かの友人の顔を持ち
あなたは誰かの通りすがりの顔を持ち
あなたは誰かの他人の顔を持つ
そんなあなたは誰ですか?
酔い知れぬ心抱えて
2人して酒酌み交わす夜がある
涙を流せば
話が止まり
愚痴をこぼせば
何も終わらず
ただ2人向き合いながら
酔いに任せたウダ話
どちらが話でなし
どっちが聞くでなし
やっぱり愚痴が出てしまう
無言で乗り込む人たちは
無口のままですれ違い
レールを刻む音に合わせるように
同じように揺れていても
明日を思っている人
今日を悩んでいる人
昨日を悔やん でいる人
それぞれ違う想いを抱えている
何も語らず
何も聞かず
隣の男が誰であれ
向かいの女が誰であれ
知らない世界の物語
駅ごとに
みんな違う幸せに向かって歩いていく
雲一つない空に
身の置きどころもなく
所在なげに月だけが浮かんで
そのせいで星のない夜空
白い息だけがかまいに行くけど
すぐに消えちまう
こんな日くらい
気を利かせて
雪でも降れば
ちょっとは格好もつくってものを
昨日とおんなじように
何にもない
ただ寒いだけの夜かよ
去年の今頃何してたなんて思い出せないし
どうせロクなことはなかったろうよ
来年の今頃何してるかなんて
明日のこともわからないのに
わかるはずないだろう
どうせロクなもんじゃないだろうさ
何度なおしても
ほどけてばかりのマフラーに
ちょっと苛立つけど
捨てる気にはなれない
まだあいつの温もりを手放したくないんだ
ただ寒いだけの夜に
地元のツレに電話しようかと思ったけどやめた
噂じゃ結婚したとか
子どもができたとか
デカいこと言って出てきたのに
ここでオイラ
こんなところでオイラ
何してるんだろう
世間の水はそんなに甘くないと親父
何を夢みたいなこととお袋が
バァちゃんは黙って背中丸めて
ゴメンよ
ほんとにゴメン
でもまだ帰れない
ただ寒いだけの夜に
ほんとむかつくよな
どいつもこいつも
世間のヤツらみんな
特にあのオヤジには
でも・・・
でもわかっているんだ
本当にむかつくのは
このオイラだってこと
なりたかった自分になれた人はどれくらいいるんだろう
何者にもなれず
ましてなりたい自分になれなかったヤツ
あぁはなりたくはなかったのに成り下がってしまったヤツ
オイラはどうなろうとしているんだろう
ただ寒いだけの夜に
一人ぽっちの帰り夜道は
ヘッドフォンからあの唄が流れてくるだけで
寂しくなんかない
たとえ涙がこぼれても
歯を食いしばれば大丈夫だよ
誰にも気にするヤツもいないし
誰にもわかんないし
浮かれ騒ぐヤツらなんかに
見えるはずないし
寒いだけの夜に
ただ寒いだけの夜に
一人の自分を持てあまし
何もかもウソのように可笑しく見えてくる
それでも時間だけは変わっていく
見失ってしまいそうな孤独
傷つけてしまいそうな孤独
逃れられない孤独
どうしようもない孤独
孤独に耐えかねて
雑踏に紛れ込んでも
他人でしかない周りの人間は
1人でしかない自分の姿を映し出す