水をすごすと根腐れするから

 

でも、手を抜くとすぐに枯れてしまうと

 

難しいことを言い残して

 

今年もなんとか咲かせることができました

 

 

明日は休みだからと

 

またには差しつ差されつ

 

酌み交わした夜も

 

今は一人の夜長を持てあまし

 

読みかけの文庫本もそのままにして

 


休むの日を合わせて出掛けることも

 

頼んだ買い物を忘れてケンカすることも

 

傘を忘れて駅まで迎えに行くことも

 

観終わった映画のことを話しながら

 

手を繋いで帰る夜も

 

慣れない時間の分だけ

 

物足りなさが色濃くなっていく

 

 

いなくなった部屋は

 

それだけで広くなったけど

 

夜にはその世界が縮んでしまう

 

部屋中の電気を点けても

 

ただ濃縮されているだけで

 

一人の密度が増していく

 

 

 

あなたは誰かの子どもの顔を持ち

 

あなたは誰かの親の顔を持ち

 

あなたは誰かの妻・夫の顔を持ち

 

あなたは誰かの兄弟姉妹の顔を持ち

 

あなたは誰かの祖父母の顔を持ち

 

あなたは誰かの孫の顔を持ち

 

あなたは誰かのおじ・おばの顔を持ち

 

あなたは誰かのおい・めいの顔を持ち

 

あなたは誰かのいとこの顔を持ち

 

あなたは誰かの家族の顔を持ち

 

あなたは誰かの隣人の顔を持ち

 

あなたは誰かの客の顔を持ち

 

あなたは誰かの店員の顔を持ち

 

あなたは誰かの上司の顔を持ち

 

あなたは誰かの部下の顔を持ち

 

あなたは誰かの同僚の顔を持ち

 

あなたは誰かの同級生の顔を持ち

 

あなたは誰かの友人の顔を持ち

 

あなたは誰かの通りすがりの顔を持ち

 

あなたは誰かの他人の顔を持つ

 

そんなあなたは誰ですか?

 

酔い知れぬ心抱えて

 

2人して酒酌み交わす夜がある

 

涙を流せば

 

話が止まり

 

愚痴をこぼせば

 

何も終わらず

 

ただ2人向き合いながら

 

酔いに任せたウダ話

 

どちらが話でなし

 

どっちが聞くでなし

 

やっぱり愚痴が出てしまう

 

 

何を為す

 

何を為さざる

 

この一生

 

何も為さねば

 

何の命ぞ

 

来し方を思い悩んで

 

悔いたとて

 

行く末だけが変えられるのみ

 

 

 

無言で乗り込む人たちは

 

無口のままですれ違い

 

レールを刻む音に合わせるように

 

同じように揺れていても

 

明日を思っている人

 

今日を悩んでいる人

 

昨日を悔やんでいる人

 

それぞれ違う想いを抱えている

 

何も語らず

 

何も聞かず

 

隣の男が誰であれ

 

向かいの女が誰であれ

 

知らない世界の物語

 

駅ごとに

 

みんな違う幸せに向かって歩いていく

 

 

雲一つない空に

 

身の置きどころもなく

 

所在なげに月だけが浮かんで

 

そのせいで星のない夜空

 

白い息だけがかまいに行くけど

 

すぐに消えちまう

 

 

こんな日くらい

 

気を利かせて

 

雪でも降れば

 

ちょっとは格好もつくってものを

 

昨日とおんなじように

 

何にもない

 

ただ寒いだけの夜かよ

 

 

 

去年の今頃何してたなんて思い出せないし

 

どうせロクなことはなかったろうよ

 

来年の今頃何してるかなんて

 

明日のこともわからないのに

 

わかるはずないだろう

 

どうせロクなもんじゃないだろうさ

 

 

何度なおしても

 

ほどけてばかりのマフラーに

 

ちょっと苛立つけど

 

捨てる気にはなれない

 

まだあいつの温もりを手放したくないんだ

 

ただ寒いだけの夜に

 

 


地元のツレに電話しようかと思ったけどやめた

 

噂じゃ結婚したとか

 

子どもができたとか

 

デカいこと言って出てきたのに

 

ここでオイラ

 

こんなところでオイラ

 

何してるんだろう

 

 

世間の水はそんなに甘くないと親父

 

何を夢みたいなこととお袋が

 

バァちゃんは黙って背中丸めて

 

ゴメンよ

 

ほんとにゴメン

 

でもまだ帰れない

 

ただ寒いだけの夜に

 

 


ほんとむかつくよな

 

どいつもこいつも

 

世間のヤツらみんな

 

特にあのオヤジには

 

でも・・・

 

でもわかっているんだ

 

本当にむかつくのは

 

このオイラだってこと

 

 

なりたかった自分になれた人はどれくらいいるんだろう

 

何者にもなれず

 

ましてなりたい自分になれなかったヤツ

 

あぁはなりたくはなかったのに成り下がってしまったヤツ

 

オイラはどうなろうとしているんだろう

 

ただ寒いだけの夜に

 

 

 

一人ぽっちの帰り夜道は

 

ヘッドフォンからあの唄が流れてくるだけで

 

寂しくなんかない

 

たとえ涙がこぼれても

 

歯を食いしばれば大丈夫だよ

 

誰にも気にするヤツもいないし

 

誰にもわかんないし

 

浮かれ騒ぐヤツらなんかに

 

見えるはずないし

 

寒いだけの夜に

 

ただ寒いだけの夜に

 

 

 

 

一人の自分を持てあまし

 

何もかもウソのように可笑しく見えてくる

 

それでも時間だけは変わっていく

 

 

見失ってしまいそうな孤独

 

傷つけてしまいそうな孤独

 

逃れられない孤独

 

どうしようもない孤独

 

 

孤独に耐えかねて

 

雑踏に紛れ込んでも

 

他人でしかない周りの人間は

 

1人でしかない自分の姿を映し出す

 

 

 

赤いのはわかっている

 

でもそれが

 

淡い赤なのか

 

濃い赤なのか

 

わからない

 

 

罪なのかわかっている

 

でもそれが

 

笑って済ませられるのか

 

償いは一生かかるのか

 

わからない

 


あまりの若さゆえ

 

まだ青い実のことゆえ

 

周りを責め

 

周りはその若さを責め立てる

 

 

 

あなたは試されている

 

あなたは常に試されている

 

あるゆるものがあなたを惑わし

 

いつも何かを選ばせようと企んでいる

 

もちろん正解などありはしない

 


息をつかせる間もなく

 

矢継ぎ早に突き出される選択肢を

 

何も考えずに

 

深く考えずに

 

時には少しは考えて

 

よくよく考えて

 

一晩考えた末に

 

などと気まぐれな猶予に振り回されていることに気づかず

 

選ばされている

 


ただすべてのことは

 

どう考えようが

 

どれだけ考えようが

 

自分が決めたこととして

 

おのが身に降りかかる

 

自分の選んだ結果として

 

容赦なく

 

途切れることなく

 

受け止めなければならない

 

それについての選択の余地だけは与えられていない

 

残念ながら

 

 

 

 

空気読んでと諭されて

 

読み間違えて

 

なじられて

 

言い繕って

 

墓穴掘り

 


空読めよと責められて

 

読んだつもりが

 

深読みしすぎて

 

立場なくして

 

針のむしろに座らされ

 

 

 

ちゃんと読むぞと

 

焦れば焦るその先は

 

迷路・悪路にはまり込み

 

身の置き所も消え失せて

 

一層自分の殻が厚くなる

 

 

 

誰が否を飲み込むか

 

誰が諾を言い出すのか

 

押し付け合いの

 

せめぎ合い

 

目配せだけで

 

すまし顔

 

 

 

誰のためなの

 

この空気

 

何のためだよ

 

この空気

 

誰かにとって都合の良い

 

犠牲になるのは誰でもいい

 

早く収まる空気なら

 

自分ではない空気なら