一年半ぐらいかけて、眠る前に少しづつ読んだ。突き刺さる箴言。目からウロコの言葉の数々。枕頭の書として完璧だった。
私たちの行為は、すべて断片で終わる。P12
行動というものは、つねに判断の停止と批判の中絶とによって、はじめて可能になる。P139
タイトルにある通り、この本では人間について書いている。自由とは何か、生きがいとは何か、という主題が何度も繰り返される。著者は生きるとは、演じることだとする。自由な生きかたに生きがいを見いだすことに異を唱え、「自由に生きる」こと「自分らしく生きる」ことの欺瞞を暴きだす。
私たちは自己の宿命のうちにあるという自覚においてのみ、はじめて自由感の溌溂さを味わえるのだ。自己が居るべきところに居るという実感、宿命感とはそういうものである。P23
信じるにたる自己とは、なにかに支えられた自己である。私たちは、そのなにものかを信じているからこそ、それに支えられた自己を信じるのだ。P102
生きがいを見いだすために、安易なポジティブ思考や現状追認の達観主義に流れるのではなく、その欺瞞に満ちた既存の人生論を打ち破ることによって、厳しい現実を提示しながらも、それを乗り越える示唆を与えてくれる。内容だけでなく、その文章もまた「劇的」で読み応えがある。
現在が中断することによってしか未来は起こりえず、未来とはたんに現在の中断しか意味しないのである。が、私たちは、現在の中断でしかない未来を欲してはいない。そんなものは未来ではないからだ。私たちの欲する未来は、現在の完全燃焼であり、それによる現在の消滅であり、さらに、その消滅によって、新しき現在に脱出することである。P12








