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砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

花と流れ星
花と流れ星
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道尾 秀介
幻冬舎
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真備庄介シリーズの短編集。前作『背の眼』『骸の爪』を読んでいなかったが、問題なく楽しめた。

霊現象探求所の所長「真備庄介」(名探偵役。亡くなった妻に会いたいため霊を探求している)、と助手「北見凛」(真面目で有能。真備の妻の妹)、真備の友人であるホラー作家「道尾秀介」(とぼけた役。凛が好き)の3人を中心に物語が描かれる。個性的な3人の距離感・雰囲気が魅力的。キャラの魅力とミステリー要素のバランスがよくて、サクサク読めて楽しめる。空き時間に軽く読みたい。といっても電車で読むときは一話目と最終話はぐっとくるものがあるので、涙腺の弱い方は注意が必要。けっこう幅広い作風なのだなと感心する。子供を書かせると上手い。
おかげさまで昨日参加させていただいた「明神山の秋祭り」は無事終了しました。

ちらしを見てこられた方や、明神山へ登る人たちが立ち寄ってくれるなど、肌寒い気候なのに思わぬ(?)人手となり、「ブックリブック」で用意した20冊の絵本も午前中でほとんど売れる大盛況。ありがとうございました。

午後からはのんびり山頂の景色を眺めにいったりと、その場で焼いていた50円という破格の焼き芋のあまりの美味しさに驚いたり、秋の山を満喫させていただきました。そして延々と小枝をポキポキ折り続けるなど、我が子もしっかりと自然とたわむれていました。

12月は大門玉手箱に参加する予定です。

$書店員失格-森ガール
冬の森ガールファッション。フリースと毛糸の帽子(きのこ付き)
明日、「明神山の の~んびり 秋祭り」というイベントに出店します!

嫁が選んだ絵本を20冊程度、販売する予定です。森の中で開催ということで、我が家の森ガールも出動する予定です(笑

お暇なかたはぜひ!

「明神山の秋祭り」


書店員失格
店の名前は「ブックリブック」です
愛でもない青春でもない旅立たない (講談社文庫)
前田 司郎
講談社
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大学生活には、「愛」や「青春」や「旅立ち」というものが、ありそうな気がする。この物語でも日常のなかに、恋人や人間関係のなかに、そういったものが現れそうな予感がする。けれど、それらは答えまで辿りつかない思考の波に飲み込まれ、グズグズと消えていく。何か深い意味が隠されていそうな、そんな夢や非現実の世界もまた、掴み切れないままに崩れ落ちていく。

生きていく上の確固たる意思もなく、楽なほう欲望の赴くままに流されてしまうグダグダした生活を送る主人公。そこに「真実の愛」や「かけがえのない青春」などあるわけもなく、もちろん「今ここからの旅立ち」もない。けれど、その変わりに、この物語は本当の「日常」にたどり着く。どこにも答えなどなく、どこにも真実の姿はなく、それでもそれなりに続いていく日常。

この物語が、どこか頼りなく、どこか寂しげで、どこかせつないのは、この物語のなかに「愛の切れ端」や「青春という幻想」や「旅立ちの予感」がほんの僅かにだが存在するからだろう。それは、僕が過ごしてきたの十代、二十代の姿でもある。
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神去なあなあ日常
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三浦 しをん
徳間書店
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高校卒業と同時に、三重県の山奥の神去村(かむさりむら)で林業をすることになった都会の若者の一年間を描いた青春・成長小説。「なあなあ」とは方言で「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」といった意味の言葉。

高校の先生と親が一方的に決めた就職先に、いやいやながらひとり旅立つ主人公。絵に描いたような何もないド田舎での過酷な林業の仕事に、何度も逃亡を図るものの手際よくとっ捕まる。性格は横暴だが林業のかけては天才的な男の家に居候しながら働くうちに、少しづつ林業の魅力に気付くこととなる。圧倒的な自然の豊かさ、気になる女性の存在、まるで神様が本当にいるような独特の風習や祭りの数々、「なあなあ」なと都会とはまったく違う価値観。

絶対的な自然・神があり、その中で長年ずっと暮らす人間がいて、その自然と人間が共存するための「林業」という仕事がある。なんやかんかと派手な出来事が起きるものの、その根底には連綿と続いてきた「なあなあ」な「日常」がある。田舎や自然をただ絶賛するのでもなく、もちろん時代遅れと馬鹿にするのでもなく、「なあなあ」と見つめ共に歩んでいく姿勢が、なんとも居心地のいい空気を生みだしている。宮崎駿絶賛も頷ける作品。