『神去なあなあ日常』 三浦しをん/徳間書店 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

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神去なあなあ日常
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三浦 しをん
徳間書店
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高校卒業と同時に、三重県の山奥の神去村(かむさりむら)で林業をすることになった都会の若者の一年間を描いた青春・成長小説。「なあなあ」とは方言で「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」といった意味の言葉。

高校の先生と親が一方的に決めた就職先に、いやいやながらひとり旅立つ主人公。絵に描いたような何もないド田舎での過酷な林業の仕事に、何度も逃亡を図るものの手際よくとっ捕まる。性格は横暴だが林業のかけては天才的な男の家に居候しながら働くうちに、少しづつ林業の魅力に気付くこととなる。圧倒的な自然の豊かさ、気になる女性の存在、まるで神様が本当にいるような独特の風習や祭りの数々、「なあなあ」なと都会とはまったく違う価値観。

絶対的な自然・神があり、その中で長年ずっと暮らす人間がいて、その自然と人間が共存するための「林業」という仕事がある。なんやかんかと派手な出来事が起きるものの、その根底には連綿と続いてきた「なあなあ」な「日常」がある。田舎や自然をただ絶賛するのでもなく、もちろん時代遅れと馬鹿にするのでもなく、「なあなあ」と見つめ共に歩んでいく姿勢が、なんとも居心地のいい空気を生みだしている。宮崎駿絶賛も頷ける作品。