以下、以前に書いた書評を転載。
2つの物語が収録されているが、どちらも現実世界に馴染めず、独特の内面世界に生きる少女を描いている。少女が母親を理想もしくは反面教師として大人の女性へと成長するのだとすれば、この少女は母親との関係が破綻していることによって、少女としての自分のあるべき姿が見つからず、その欠落を埋めるために異物を次々と取り入れて、不安定な精神状態のまま独自の価値観を築き上げながら年齢を重ねていく。現代的な無機質さと、少女趣味的な耽美さが入り混じった世界は見事で、これは次の三島賞を狙えるレベルがあると思う。でも、読んでいると、ゆがんだ鏡を見ているような、とても落ち着かない気分になるので、心の調子が悪いときは避けたほうがいいかも知れない。
