雨が降ることで、予定が変わることはよくある。そうした行動の変化によって不幸の連鎖が生み出されていくミステリー小説。偶然。勘違い。ちょっとしたすれ違いが、取り返しのつかない事件へと発展していく。義父と暮らす兄妹、義母と暮らす兄弟という二組を物語の中心として、降りしきる雨の中を背景に、物語は進む。雨が直接的に人間の行動に影響を与え、間接的に人間の目をくらませる。だが、雨が全てを支配しているのではない。その雨によって浮かび上がってきた、人間の心の奥にある澱が彼らを突き動かしていく。
昨年読んだ『カラスの親指』もそうだが、道尾秀介は「家族」というテーマを様々な角度から描いている。『カラスの親指』では血の繋がった父娘が、疑似家族として暮らす物語だったが、今回は血の繋がっていない親子が家族として暮らしていることが彼らの心をかき乱している。血の繋がった兄弟が持つ絆と対立するように、義父・義母との不仲が描かれる。複雑な家族感情、思春期の若者が抱く感情の揺れが、そのままミステリー小説の仕掛けに繋がっていく巧みさなど、やっぱりポスト東野圭吾は彼しかいないなと改めて思う。
個人的には次回の本屋大賞の有力候補。次こそは道尾秀介を受賞させたい!
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道尾 秀介
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