「古川さんはどんな女の人が好きですか?」


『女の子』ではなく『女の人』とあえて聞いてみる。


「いつの間にか好きになってるだろ?


だから、どんな・・って言われても上手く答えられないよ。


それに俺はもう・・。


それより、加賀さんもう少し眠っておきな。


家に帰っても眠れないんだろ?」


古川は話すのをやめた。


カーコンポの音が流れ始める。


車はそう多くはなく、二時間足らずで近くのコンビニまで戻ってきた。


「ありがとうございました。」


「またいつでも遊びに行くといい。


安江さんに紅茶をいれてもらいなよ。」


「はい。」


奈緒は何度も頭を下げてお礼を言った。


古川の大きな優しさに甘えてもいいのだろうか。


心の中には今も優斗がいる。


でも、苦しくてどうにもならない時には古川の静かな笑顔が浮かんでくる。

僕のいない世界でも 


キミが笑うことを思い出してくれたなら


痛みも辛さからも解放されて 眠り続けることができたんだ


キミの流す温かい涙が 抱きしめている子犬の手に落ちた時


もう一度キミの傍で生きる覚悟をした


期限付きだけど・・ 贅沢は言ってられない




キミは僕にいろいろなことを教えてくれた


キミは僕にいろいろなモノを与えてくれた


僕は今のキミに何をしてあげられるのだろう


そう・・期限付きだからね


ずっとそばにいて いつまでも守ってあげることはできない


もう一度キミの傍で生きるってことは


もう一度キミに哀しい想いをさせるってこと


それでも・・


僕はキミのその優しさを 強さに換える術を伝えようと思う


この次は 決してないから・・・


僕のいない世界で キミが笑って生きられるように・・



寒い朝ですが雪は降っていなくて太陽も出ています。


外に干した洗濯物から蒸気が出ています。


あれこれと手を出してしまうから、時間が足りません。


睡眠時間はいつも5時間半くらいです。


あまり眠らなくても少しの時間でしっかり眠れて疲れがとれる人もいるのでしょうが、そのタイプではないようです。


寒くなるとなかなか起きられませんが、今朝はサッと起きました。


無駄な時間をとらないようにしないと増々足りなくなりますからね。

「古川さん、一人っ子ですか?」


「どうして?」


「何となくそんな感じがします。」


「キミは?」


「中一の妹がいます。」


「そうか。


女二人の姉妹って何かイイよね。


俺は・・・、一人っ子だ。」


何か意味のありそうな『間』があった。


「ねえ・・。」


ほんの一瞬だったのに、急に返事が無くなって奈緒の顔を覗き込む。


眠ってしまったようだ。


外から帰って身体も温まって眠くなったのだろか。


クローゼットから一枚の毛布を取り出して奈緒に掛けてやる。


仕方ない、少し眠らせてやろう。


部屋を出て庭でカリンと遊んでやる。


ワイヤーフォックステリアのメス。


ちょうどトリミングから帰って来たところだった。


久しぶりに竜に会えて大喜びの様子。


走っては駆け寄ってまた走って駆け寄ってくる。


そんなことを何度も繰り返す。


どれくらい遊んだだろうか、カリンも飽きたようで、水を一生懸命に飲んだ後は自分のハウスに戻り眠り始める。


(誰に似たのか知らないが、気ままなヤツだ。


そこがたまらなく可愛いところでもあるのだが。)


部屋に戻ると奈緒はまだ眠っていた。


その頬には涙の流れたあとがある。


眠っている間もアイツのことを考えているのか?


少しでも長く寝かしておいてやりたいと思ったからそっとしておいたが、もう限界。


そろそろ家に送って行かないと家の人は心配するだろう。


「ねえキミ、加賀さん、奈緒ちゃん・・。」


いくら呼んでも目を覚まさない。


でも、このままってわけには行かない。


何度も繰り返し名前を呼び続ける。


「私・・・、眠ってました・・ね。


どれくらい眠ってましたか?


今・・、何時ですか?」


「三時間は寝てたよ。


そして今は夕方の六時。


そろそろ帰らないと家の人が心配するよ。」


「そうですね。」


ソファーからゆっくりと起き上がる。


家に来るかと誘ったときの反応とは全く違った様子。


眠っていたことに奈緒自信驚く様子もなく、目が覚めて飛び起きるでもない。


それは・・・。




「俺が車で送るから。」


「大丈夫です。


これ以上迷惑はかけられません。


一人で電車で帰りますから。」


「いいから。


俺の言うとおりにして。


家まで送るから。」


「ありがとうございます。」


急いで部屋を出て二人は車に乗り込む。


車を走らせながら古川は話し始めた。


「加賀さん、答えなくていいから聞いて。


もしかして、彼と別れてずっとグッスリ眠れてないんじゃないの?


今日だって、どうなってもいいと思って家を出て来たんじゃないの?」


古川の言葉が強気でいようとする奈緒に静かに語りかける。


心の中を全部見られている、確実に。


「眠ってていいから。」


「はい・・。」


古川の傍にいると不思議と眠りに誘われる。


こういうのを安らぎと言うのだろうか・・。

おんぷ。『見かけじゃなくて 心を抱いて・・』


嵐のずっと前の歌『MONSTER』です。


何となく耳に入ってきて・・それからyou tube とかでかなり聞きました。


この歌の歌詞ってすごいな~って


おんぷ。『僕の記憶が すべて消えても 


生まれ変わったら またキミを探す』


時を超えた想い 素敵です。




こんな風に たった一行で 引き付けられます。


そして頭の中にモコモコしたモノが発生します。


それがそのうち消えるか 形になるかは、わからないんですけど。


この曲が頭の中で流れ続けています。


新しいとか古いとか・・あんまり関係ないかもしれません。


今頃??・・ですよね、ホントウに・・。


こんなこと、私にはよくあることです。


発売当時は、いろんなところでものすごく流れていたはずなのに、その時は何とも思わなかったんですから。