その時、亜美のバッグの中から着信を知らせるメロディーが聞こえた。


「ちょっと、ゴメンなさい。」


亜美は席を立った。


とても懐かしい声。


心の底でいつも聞きたいと思っていた声。


「オレだけど元気?


久しぶりに会えない?


今、東京なんだ。」


「いいよ。


今、pp(ピアニッシモ)で飲んでるんだけど・・。」


「わかった。


すぐ行くから三十分位待ってて。」


「うん。」




「ゴメンなさいね。」


「さっきの言葉ですけど、そう言って生きられる人が羨ましいです。


俺には何も無いから・・。」


「ねえ、ホントウに何も無いの??


捨てられないなら、いっそのこと大事に抱きしめて生きてみたら?」


「えっ??」


驚いたような彼の表情。


夢の話なんて否定されると思っていたから。


亜美は自分のことを話し始めた。


ずっと長く付き合っていた彼がいたこと。


夢のためにその彼と別れたこと。


「今、仕事も落ち着いてきて、こうやって生活だってしてるけど、大切なモノを手放した気がしてる。


何かのために何かを失うなんてこと、多いことなんだろうけど私はそんなの嫌だった。


きっと欲張りなんだね。


でも、どうしても捨てられなかったの・・たった一つ見つけたその『夢』をね。


今も迷いながら生きてる。


後戻りはしたくないと強く自分に言い聞かせながら。


たった一度の人生、キミがどうしても捨てられないなら、一緒に生きるしかないんじゃないの?」


無責任にも彼の背中を押したかもしれない。


ただの一度も彼らの音楽を聞いたことも無いのに・・。


しばらくして智也はやって来た。


気を遣ってか彼は席を立った。


「今日は、すみませんでした。」


そう言って深く頭を下げた。


「誰?」


智也が聞く。


「少し話してたの。」



「俺、今二十一なんですけど、あっ、二十一って年のことです。


この先どうやって生きて行けばイイのかわからないんです。


現実はとても厳しくて、夢は夢のままで終りそうです。


『そろそろもうイイだろっ?』って自分に言いながら、諦めて現実に生きて行く道を探さないと・・って思ってるんですけど。


俺の人生なんて、こんなモノなんだろうな、自分でもパッとしないってわかってます。


友達とバンド組んでライブハウスで歌っています。


これからも続けて行きたいけど、今のままじゃダメです。


どうしたら良いと思いますか?


俺たちに足りないモノって何でしょう??」


亜美は彼が酔っぱらってつい口にしてしまったようには感じられなかった。


強い意志の口調、それに深く静かな瞳の光。


亜美はすぐに何かを言うことはできなかった。


ふと自分を取り戻した彼が言った。


「すみませんでした。


知らない人に話すことじゃなかったですね。」


「私で良かったら、話くらい聞くよ。


何も関係ない相手だから話せるとことってあるでしょ。」


「そうですね。」


ホッとしたような笑顔を見せた。


ゆっくりと一言一言、言葉を選びながら話し始めた。


友達四人でバンドをやっていること、これから先のことを考えると答えを見つけられずにいること、続けたい気持ちを切り捨てるのにちょうどいい時期かもしれないということ。


卒業後の進路を考える最終段階の今、先送りにしてきたことと嫌でも向かい合わなければならなくなったこと。


正直に自分の心の中を打ち明けた。


かなり重い人生相談に足を踏み入れてしまったと亜美は思った。


「難しい問題だね。


私は、こんな言葉を聞いたことがあるの。


『夢だけじゃ生きて行けない


でも夢がないと生きてる意味がない』


その人の考えだから正しいとかそうじゃないとか言えないけどね。


なんだかそれを聞いて私、心の中をザクッ・・とやられた気がしたよ、その時。


キミはどう思う?」

季節は巡り二度目の夏を通り過ぎ秋の気配が感じられるようになった。


1年以上かかって進めてきた仕事が終わった。


ココから先は信頼できる仲間に任せることになる。


その夜、亜美はいつもの店で一人静かに祝杯をあげていた。


そこは小さなバーで、カウンターの後ろに小さなテーブルが二つほどある。


マスターは、ここにやってくる馴染みの客に好みの酒をタイミングよく出してくれる。


決して大柄ではない彼の背丈、美しく整った顔は芸術作品だと言ってしまいたくなる。


余計なことは口にせず、たまに見せる無言の笑顔はとても温かく優しい。


馴染みの客はそんな彼に会いに来るのだ。


亜美もそんな客の中の一人だ。


仲間と騒ぐのも楽しいが一人になることを望むこともある。


後ろのテーブルには若い男女がいて、楽しそうな笑い声が聞こえる。


一人になりたいと言いながら、そのもう一方で寄りかかる肩が欲しいと強く思うことがある。


何気なく視線を移したその先には、一人の青年がいる。


まるで少女漫画から抜け出てきたような・・。


切れ長の美しい二重瞼が特に印象的で、髪の毛の色は明るめのストレート。


顎のラインに合わせて切りそろえられている。


一瞬、目が合ってお互い軽く頭を下げる。


「同じモノを下さい。」


そう言って彼はカラのグラスを前に出す。


マスターは黙って首を横に振る。


そして氷のたくさん入った冷たい水のグラスを彼の前に出した。


黙ってそのグラスに手を伸ばすと一気に飲み干した。


突然、隣の亜美に話し始める。


驚いて顔を上げるとマスターと目が合う。


(すまないが黙って少し話を聞いてやってください。)


そう言っているように見えた。







すごく久しぶりに雑誌を買いました。


ブログでいろんな人が紹介していたので、本屋に行きましたよ~これは買わなきゃ!!って思ったので・・。



k-kyokoのブログ


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やっぱりステキ~ハート


丁度、韓国ドラマ特集でラッキーでした。



今日で9月も終わりですね。


気候も私好みになってきました。


今年の夏は本当にいろいろあって大変だったので疲れたし過ぎるのがものすごく早かったです。


10月は涼しくなったし、少しゆっくり・・のんびり・・したいです。


「キミに頼みたいことがある


ボクがこの世界に誘ってきた あの子たちを頼みたいんだ」


あなたの真剣な目をじっと見つめた


「もう時間が無いんだ


もう少し あと少し そうどれだけ願っただろう


ボクが去り その後をキミが追いかけて来たら・・


あの子たちはどうするだろう


それを考えると 耐えられない」


そんな辛そうな言葉を聞いたら・・


言えないじゃない 一緒に逝きたいと・・


あの日 初めて会った日 


心が変わらなければ 一緒に逝こうと言ってくれたのに


私には生き続けろと言うのね


「これは 前もって知らされていたことなんだ


キミとあの日出会った時より ずっと前に


そう その日 ボクもあの場所に立っていたんだ


わかるだろ? 言ってることの意味


大勢いなくてもいいんだ


誰か一人いてくれたら


キミに頼みたいんだ あの子たちを・・


いいよね」


そう言うとゆっくり目を閉じた




少し眠るだけだよね・・


何度も私は繰り返し言った


涙が 止まらないよ