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若杉 公徳 「デトロイト・メタル・シティ 」(1)

デトロイト・メタル・シティ 1 (1)
若杉 公徳
私的にも読み切り第一回から注目していた作品が、連載を経て遂に単行本化。
普段はおとなしい「お洒落」系音楽を愛する青年・根岸が、一度スイッチが入ってしまうと恐るべきデスメタルの帝王クラウザー2世に変貌してしまうという本作。普通である事を望んでいるのに、自らの内に秘める異常なまでの変態性に悩まされ、しかもその「本性」の方が普段の自分の数倍も活躍できてしまうというジレンマを描いたコメディといえば、かの「究極!!変態仮面」を思い出す方もあるだろうか。

「一秒間にレイプ発言10回」や「息継ぎ無しで日米ファック連呼対決」など、言葉の意味は危ない事この上ないのに、きちんとギャグとして成立している上に下ネタにも感じないのは、作者の力量故、か。

今期の話題作の中で、ぶっちぎりでアニメ化不可能な作品であろう。

ジャンプの すごい 打ち切り

http://www1.odn.ne.jp/cjt24200/yamada/log/35/index.html#04


編集部の発想なのか作者の発想なのか、どちらかは分りませんが、ここまでクタクタでダメダメなテコ入れ→打ち切りコンボは見た事がねぇぇぇぇぇぇ!!


普通、テコ入れってヤツは既存の読者層をキープしつつ、新たな読者層を開拓する為に+α要素を入れるものだと思ってましたが……(例:格闘トーナメント開催・ライバルに腐女子向けキャラ複数登場など)。


週刊少年ジャンプの未来はどっちだ!?


坂本 裕次郎
タカヤ-閃武学園激闘伝 1 (1)

西村 繁男
さらば、わが青春の『少年ジャンプ』

高屋 奈月「フルーツバスケット」(20)

高屋 奈月
フルーツバスケット 20 (20)

どんなシリアスな展開が続いても、一巻に一話位はほのぼのするエピソードが挿入されてきた本作だが、今巻はほぼ全編シリアス展開が続き、物語自体がクライマックスを迎えた事を感じさせる。

さて、色々と思わせぶりに謎が散りばめられて来た本作だが、今回はその中でも大きな2つの謎が半ば解明された。


1つは、慊人が異常なまでに十二支の「絆」に拘る理由。
そしてもう一つは、透の母今日子と夾とのつながりについて。


母に疎まれようとも、父から無償の愛を得ていると信じていた幼い慊人。だが、その父の愛すらも、その本質は母へ向けられた物だと知った時から、慊人の異常なまでの十二支の「絆」への執着が始まった。
父親から繰り返し聞かされた「お前は特別な子なんだ」という言葉。父の愛が自分へ向けられていた物ではない事を知った後も、慊人はそれを認めようとはせず、父のその言葉こそが「父の愛が自分へ向けられていた」という揺るぎ無い証拠であると信じようとした。
慊人は、「十二支の呪い」だけでなく、自らを父の遺した言葉で呪縛し、結果として彼女は十二支の「絆」に頼らなければ自分を支えられない、弱い存在になってしまった。


母を「自分のせいで」失い途方にくれていた夾に、優しい言葉をかけてくれた本田今日子。由希への対抗意識から、その優しさからさえも逃げてしまった事は、夾の後悔の一つだった。
そして数年後、その優しさを自らの保身の為に永久に失ってしまった。
その出来事は、夾が人生に絶望するのに十分すぎるほど、残酷だった。


そんな夾を救ったのは、「自分のせいで」母親を失ってしまった透だった。
「いけない」と思いつつも、透の傍にいたいと願う夾。透の事が好きな自分を自覚しながらも、罪悪感からいずれ透の前から姿を消す事を決心し、「自分がいない世界での透の幸せ」を願った夾。
しかし、透の幸せが自分と共にある事だと知った夾の選んだ道は、「拒絶」だった。全ては、自分の母を、透の母を「殺してしまった」自分が許せないという罪悪感故に。
「罪悪感」それが、猫憑きの呪いとはまた別に、夾を呪縛しているのだ。


だが、今まで一番大切だった母よりも、夾の事を大切に思う自分を認めた透の覚悟も強い。楽羅の思いをも受け止め、ありったけの勇気で夾に思いを伝えた。

きっと、十二支の呪い同様、夾の心を縛る「呪い」をも解く事を、透は決心するに違いない。


透が、果たして夾の「拒絶」に対してどんな答えを導くのか。
そして、十二支の呪いも父の言葉も不確かである事を認めてしまった慊人は、これからどうなってしまうのか。刺されたクレノの安否は?


今までとは大分違った感情で、次巻が待ち遠しい。

加藤元浩「Q.E.D―証明終了―」(24)

加藤 元浩
Q.E.D-証明終了- 24 (24)

ミステリコミックは数多くあれど、その多くが本格ミステリの出来の悪いパロディか、もしくはミステリとは呼べない名前だけの代物に終わっている事を考えると、本作のように独自のミステリ観を打ち出すレベルに達している作品というのは、非常に稀有な存在なのかもしれません。
これほどの長期連載ともなれば、なおさら。


さて、今回収録されている2エピソードは、一方は日常の中で生まれた謎を、もう一方は殺人事件にまつわる謎をそれぞれ扱っており、全く別のベクトルを持ったエピソード同士のように思えます。
しかしながら実際に読んでみると、どちらもこのQ.E.Dという作品を端的に表したエピソードであるように感じるのですから、不思議な物です。


そういった、シチュエーションを問わずエピソードそれぞれに共通して存在する「何か」こそが、この漫画の魅力なのかもしれません。

魁!クロマティ高校が連載終了へ?

http://d.hatena.ne.jp/oroshi/20060514#p1


早売りの情報のようですが、何分私自身が本誌を確認できていないので詳細は不明。

(5/17追記:確認しました。とても「らしい」最終回っぽくない終わり方で、変な話ですが一安心しましたw)


まあ、以前からマンネリ化が指摘されていましたから、ここら辺が潮時なんでしょうが、やはり少し寂しい感じがしますね。


当初、独特すぎるノリから野中氏のファンや一部の読者以外からは人気が無かった本作ですが、何気に長期連載、アニメ化、そして実写映画化と、経歴だけ見れば立派な「人気作」の一つです。


野中先生、本当におつかれさまでした(とか言ってる間に、ひょっこり新連載で戻って来るんだろうけど)


野中 英次
魁!!クロマティ高校 (11)

「COMIC SEED!」が復活・新創刊

http://www.comicseed.jp/index.html


月末と連休のアレコレでチェックし忘れてましたが、先頃運営出版社の倒産によって休刊していた完全無料WEBコミック誌「COMIC SEED!」が、双葉社により復活・新創刊と相成りました。


流石に、旧・COMIC SEED!の連載陣全てが復活、とはなりませんでしたが(※1)、登録不要・特殊プラグイン不要のコンセプトに変更は無く、とりあえずはその復活を喜べる状態。


元々、「COMIC SEED!」の運営自体は赤字が出ていなかったらしいので、今度こそ末永く刊行される事を祈りつつ、次号を待ちたいと思います。


※1恐らく一番人気であった「市立彩陵高校超能力部」は「コミックREX」誌上に移行



緒方てい「キメラ」(13)

緒方 てい
キメラ 13 (13)

「二人の乙女が出会う時、戦争は終わる」

物語序盤、占い師の老人によってなされたこの予言は、恐らくこの作品の終着点がどこにあるのかを端的に表した言葉なのだろう。
そしてその予言が、今巻冒頭におけるリンとマチルダの僅かながらの邂逅によって、半ば実現した事で、物語がいよいよ終盤に向けて動き出した事が読み取れる。


また、人間に絶望したエヴァンスを、勇気を持って止めたアインのその姿に、人間とキマイラの関係の、一つの答えが提示されている。即ち、「種」としてのわだかまりは残るが「個人」として一人の「人間」を信じるという、人間よりも強く「種」としての呪縛を受けるキマイラも、その意思いかんによっては「個」としての意思を保ち続けられる、という答えだ。
この答えは、常に「種」と「個」の意志の狭間で悩み、それらに翻弄されてきたリンやマチルダにとっての福音となるであろう。


しかし、未だに道は険しい。
その正体も目的も不明のまま立ち去ったシス。
一人の女性が命を賭して鍛え上げた「流星の鉄」の剣を、いとも簡単に打ち砕いたサイファー。決して消えぬ怒りを炎に変え、恐ろしいまでの強さを見せ付けるガゼル。
(今巻には登場しないが)不気味に戦いを眺めるルドルフ。
そして、それら強敵を打ち倒した後にも残るであろう、キマイラと人間との諍い。


この戦いの終着は、まだまだ先のようだ。


余談だが、この漫画は所々に昔の特撮や漫画のパロディが織り込まれており、そういったネタ元を探す楽しさも持っている。

今回は比較的新しい作品である「機動武闘伝Gガンダム」のネタが織り込まれていたのだが、皆様はお気づきになられただろうか?(かなりそのまんまなので、すぐに気付くとは思いますが)

ふなつ一輝「華麗なる食卓」(20)

ふなつ 一輝
華麗(カレー)なる食卓 20 (20)

体の構成成分の半分はカレーで出来ている、という程度にカレーを食する標準的日本人な私にとっては、漫画界唯一の「カレー漫画」である本作は、既に愛読書の域まで達している。


さて、本作はエピソード毎にゲストヒロインが登場する、と言っても過言ではないほどに女性キャラクターの登場率が高く、それが人気の一因となっているようだ。
特に、今回登場のゲストヒロイン嘉手納碧琉(へきる)は、一部界隈の反応を見るに今までで最強クラスの破壊力を持っているらしい。


美人だが超内気。でも琉球空手の達人。
主人公・マキトを闇討ちしようとした際に、偶然に生尻を見られ激しく動揺→「責任とってケッコンしてください」というあまりにも古風で純情な発想。
マキトがダメ男振りをアピールして愛想を尽きさせようと試みても、全て受け入れられてしまう→マキトが「メイド萌え」趣味を偽れば、速攻でメイド衣装に着替え。不良にからまれても、へきる自身がムチャクチャ強いので簡単に撃退。
お約束どおり、最終的に尻以上の物も観られてしまう。
……などなど、スペックと振る舞いを羅列しただけでも、確かにこれは相当な破壊力を秘めている。


本編の流れは、メインヒロインである結維重視の流れで来ているのだが、一部読者の支持はへきるに圧倒的な支持を表明しているようだ。……というか、私も結維よりへきるの方が(以下略)。


作者もメインヒロインの選択を考え直した方が(以下略)。

永野護「ファイブスター物語」XII

永野 護
ファイブスター物語 (12)

例によって長年待たせてくれたが、果たして肝心の内容の方は如何に?


さて、本作品の魅力の一つに、個性豊かな登場人物の数々が挙げられると思う。かく言う私は、前巻で逝ってしまわれた剣聖ダグラス・カイエンが最も好きなキャラクターであり、そういった意味においては楽しみが半減する――はずなのだが、そこは流石にこの作品、他のキャラクターが思い切り物語を盛り上げてくれているために、例えお気に入りのキャラが鬼籍に入ろうとも、その面白さには何の翳りも見られなかった。(まあ、カイエン自身過去の回想などで散々出番があるのだがw)


星団中から求められるほどの才能を持ちながら、かつて共にあったファティマへの強すぎる思慕の想いから、騎士として生きる事が出来ない、ヨーン・バインツェルン。

遠くない未来にやってくる国土消失の危機を前に、国家国民の為、星団の為に「悪」とも言える所業を行わなければならない運命にあるダイ・グ・フィルモア。

幼い頃に犯した罪を償い続け、もはや精神崩壊の一歩手前まで追い詰められていたが、ダイ・グとの決して実らぬ、だが確かな恋を唯一の糧として再起したクリスティン・V。

これら、「若い世代」のキャラクター達があまりにも魅力に溢れすぎていて、今後の物語の展開に不安の影を落とさないのだ。


また、初期から登場しているキャラクター達の活躍も見逃せない。全巻登場記録を更新し続けているアイシャを筆頭として、実績に裏打ちされた「強さ」を見せ付けてくれるランド・アンド・スパコーンや、新しい体に生まれ変わってアグレッシブさが増したログナー。

重要キャラクターであっても、役割が終わってしまえば簡単に死んでしまう本作品において、第1巻から活躍している彼らが今も健在なのは、どこか嬉しい。


そして、今回もやってくれたギャグとシリアスの落差。

「暴風三王女」の件は、中々それぞれにシビアな背景があるにも拘らず、好き勝手やりたい放題の大活躍ぶりに、今後も作品全体のガス抜きに一役買ってくれる事を期待せざるを得ない(笑)

シリアス部門では、預かり屋の主人・ユキノジョウが、亡きヤーボのイヤリングをマグダルに贈るシーンが私的ナンバー1だった。……決して「何でオヤジがヤーボのイヤリングを持ってたの?」なんてツッコンではいけない。


さて、今回収録分が雑誌連載されてから一年以上を経て単行本化されたことを考えると、いまだに本誌連載が再開されない現状においては、この続きを読むのには更に年月が必要になる事だろうが、更なるクオリティアップがされる事を祈りつつ、心静かに待つ事としよう。

影崎由那「かりん」(8)

影崎 由那
かりん(8)

以前から並行してノベライズは行われていたが、先頃WOWOWにてアニメ版の放送も開始され、上り調子な本作だが、原作はようやく8巻に到達した所というのは、何やら不思議な感覚がする(が、最近のマンガにはありがちな傾向か)。


さて、前回までで、もう一人の主人公とでも言うべき雨水少年の心の問題が解決され、今後はどういった展開に持っていくのか気になっていたが、どうやらこの手の「異種族間ラブコメ」の典型的な流れを踏襲する形に落ち着きそうだ。


気になるのは、新キャラである橘の存在。
現状では、かりんの恋のライバル(笑)になる可能性は低く、役回りがイマイチつかめないキャラなのだが、どうやら父親(?)を探しているらしい伏線があるので、ここはベタに「吸血鬼と人間のハーフ」という設定なのではないかと愚考する。
つまり、本作の根底にある「異種族間の恋愛」について頭を悩ますかりんに、新たな道を示す役割を担っているのではないか、と。
……いくらなんでもベタ過ぎだとは思うが。


ちなみに、私はマンガ版だけチェックしているのだが、段々と小説版を読んでいないと理解できないネタが増えてきたようにも感じる。だからといって本作の面白さが損なわれるわけではないのだが、私的にはメディアミックスによる弊害の一つを実感した気分。