緒方てい「キメラ」(13) | マンガ坂

緒方てい「キメラ」(13)

緒方 てい
キメラ 13 (13)

「二人の乙女が出会う時、戦争は終わる」

物語序盤、占い師の老人によってなされたこの予言は、恐らくこの作品の終着点がどこにあるのかを端的に表した言葉なのだろう。
そしてその予言が、今巻冒頭におけるリンとマチルダの僅かながらの邂逅によって、半ば実現した事で、物語がいよいよ終盤に向けて動き出した事が読み取れる。


また、人間に絶望したエヴァンスを、勇気を持って止めたアインのその姿に、人間とキマイラの関係の、一つの答えが提示されている。即ち、「種」としてのわだかまりは残るが「個人」として一人の「人間」を信じるという、人間よりも強く「種」としての呪縛を受けるキマイラも、その意思いかんによっては「個」としての意思を保ち続けられる、という答えだ。
この答えは、常に「種」と「個」の意志の狭間で悩み、それらに翻弄されてきたリンやマチルダにとっての福音となるであろう。


しかし、未だに道は険しい。
その正体も目的も不明のまま立ち去ったシス。
一人の女性が命を賭して鍛え上げた「流星の鉄」の剣を、いとも簡単に打ち砕いたサイファー。決して消えぬ怒りを炎に変え、恐ろしいまでの強さを見せ付けるガゼル。
(今巻には登場しないが)不気味に戦いを眺めるルドルフ。
そして、それら強敵を打ち倒した後にも残るであろう、キマイラと人間との諍い。


この戦いの終着は、まだまだ先のようだ。


余談だが、この漫画は所々に昔の特撮や漫画のパロディが織り込まれており、そういったネタ元を探す楽しさも持っている。

今回は比較的新しい作品である「機動武闘伝Gガンダム」のネタが織り込まれていたのだが、皆様はお気づきになられただろうか?(かなりそのまんまなので、すぐに気付くとは思いますが)