- 詩集 人はかつて樹だった/みすず書房
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【木のことば 2】
「森の大きな樹の後ろには、過ぎた年月が隠れている。日の光と雨の滴でできた 一日が永遠のように隠れている。」
長田弘著『人はかつて樹だった』みすず書房
「森のなかの出来事」より抜粋。
【木のことば 2】
「森の大きな樹の後ろには、過ぎた年月が隠れている。日の光と雨の滴でできた 一日が永遠のように隠れている。」
長田弘著『人はかつて樹だった』みすず書房
「森のなかの出来事」より抜粋。
【木のことば 1】
「地表近く張ったこまかい根は、その木の夢なのです。こまかい根をびっしり張ると、その木はもう、曲がった主根のことを気にしなくなります。そして、こまかい根によって生きてゆく。わずかな間です。決して長い命ではありません。逆に、その木はこまかい根、つまり夢のせいで死ぬといってもさしつかえないわけです。なぜなら、夢みることは、行儀のよい人びとの自殺の手段にほかならないからのですから」
イサク・ディネーセン著
『夢みる人びと』横山貞子訳/晶文社
『トロールものがたり』
イングリ・ドーレア、エドガー・ドーレア/作・絵
へんみ まさなお/訳 童話館出版
ノルウェーの森にはトロールがいます。それはきっと、ノルウェー生まれの子どもたちなら、誰でも信じていること……。でも、トロールって、思ったよりずっとコワい!と、この絵本を読んで思いました。深い森の中で、こんな人たちと出会ってしまったら、どうしよう!?
●ものがたり
絵本の中にはたくさんのトロールが登場しますが、共通しているのは体が大きくて、みにくいこと、食いしん坊のこと。とくに大食いなのは、頭が12個あるトロールさん。12の頭が12の口で食べ物を寄こせ!と望むのですから大変です。食べていない時は葉っぱを盗んだ人間をおどして動物に変えたり、金銀細工のキラキラ宝物をノームに作らせたり、自由きままに人生楽しんでいるみたい。そんな12頭のトロールがいちばん好きなのは人間のお姫さまのやわらかな手で頭をかいてもらうことでした。そこで、12頭のトロールはお姫さまを見つけることにしました。1つの頭に1人のお姫さま、合計12人のきれいなお姫さまを探し出すことができるのかな? トロールのとげ、トロールの目玉……本物のトロールの秘密を解くカギも出てきます。
●この本を書いた人
ノルウェー生まれのイングリさんとスイス生まれの夫エドガーさんの二人で物語を作って、絵も描いています。二人で北米から北欧、ラップランドと旅をしながら個展を開き、たくさんの絵本を一緒につくった仲良しの二人。緻密な線画で描かれるトロールたちはリアルでおちゃめで可愛い。コワいところもあるけれど、じつは気のいいヤツかも? と思わせるのは、二人の愛情がこの本にあふれているからでしょう。
物語に登場する木treesと花flowers
山のトロール、森のトロール、水のトロールなど、この絵本に出てくるトロールは木と花がいっぱいの場所に棲んでいるのです。
オーシル・カンスタ・ヨンセン/作
ひだにれいこ/訳 福音館書店
ノルウェーで大人気のキャラクター、キュッパ。この絵本と出会う前、キュッパだけを見ていたときはあんまりかわいいと思わなかったんです、じつは。でも、絵本を1ページめくった瞬間から、キュッパに心をわしづかみにされてしまいました!
●ものがたり
キュッパは丸太の男の子。森に住んでいます。モノを集めることが大好きで、いろいろなものを集めてきては分類して箱に入れ、しまっておきます。箱がたくさんたまったので、久しぶりに開いてみると、出てくる出てくる、いろんなモノが! そこで、キュッパは今まで集めたものを展示する博物館を開くことを思い立ちますが?
●この本を書いた人
ノルウェーのベルゲン生まれの女性作家、オーシル・カンスタ・ヨンセンさん。とても美しい人です。2011年、この絵本で「今年のもっとも美しい本賞」(ノルウェー・ビジュアルコミュニケーション協会主催)の銀賞を受賞しました。もっと、キュッパのいろんな表情を見せてほしいですね。
物語に登場する木Treesと花Flowers
キュッパが住む森にある、あらゆる木と花が登場します。しかも、木は歩いたり、話したりします。キュッパの親友ググランはモミの木の男の子!
おまけ:キュッパはアニメでも見られるよ!
http://anime.kubbe.jp/top.html
ノルウェーの昔話
ウィリアム・ウィースナー/絵
あきのしょういちろう/訳 童話館出版
ノルウェーに昔から伝わる物語があたたかな絵でつづられていきます。本当に昔のおはなし? 今読んでも、おかしくない、夫と妻との役割を考えるおはなしです。
●ものがたり
畑で働くだんなさんと家を守る奥さん。ある日、だんなさんは「おまえはずいぶん楽な暮らしをしているなあ」と言いました。それを聞いた奥さん、「じゃあ、仕事をとりかえっこしましょうよ!」と提案します。翌朝、奥さんは畑仕事に出かけ、だんなさんは家の中でそうじ、洗濯、料理をすることになりますが……。
●この本を書いた人
スウェーデンの絵本作家、ウィリアム・ウィースナーさん。
物語に登場する木Treesと花Flowers
二人のおうちからすぐそばに小高い丘があって、そこで野菜や果物を育てています。屋根に草が生えているのは北欧の古い家屋そっくりです。のどかな風景のなかで、一体なにが起きるのでしょうか!?
シールス・グラネール/文
ルイス・モー/絵
やまのうちきよこ/訳 徳間書店
今世紀初頭に出版されたノルウェー絵本の古典。人間が動物たちと仲よしだった時代の森の楽しさが伝わってきます。
●ものがたり
ブッレプッセは5歳の男の子。今日はうれしい誕生日です。お父さんとお母さんがプレゼントしてくれた、新しいステキな洋服を着て、森へ、大好きなブルーベリーつみに出かけることにしました。森ではいろんな動物たちが「こんにちは!」と声をかけてきます。でも、だんだんと、とんでもないできごとに巻きこまれていくのです。さて、それはどんなこと?
●この絵本を書いた人
物語を書いたのはシールス・グラネールさん(1870-1937)童話作家のほかに、学校の先生、オルガニストでもありました。『ブッレブッセ』シリーズは大人気で、生涯をとおして物語を書き続けました。絵を描いたのはルイス・モーさん(1859-1945)。ノルウェーの森をよく描き、動物を擬人化するのを得意とした画家。1900年代前半、挿絵画家の第一人者といわれています。この本はルイスさんの代表作です。
物語に登場する木Treesと花Flowers
顔のある木がくまと手をつないで踊ったり、モミの木がブッレブッセに話しかけたり、森の木々は動物たちとおなじくらいおしゃべりみたいです。マーガレットの花にも顔がありますよ。
アスビョルンセンとモー再話
シーグルン・セービュ・カブスベルゲル/絵
中川あゆみ/訳 セーラー出版
ノルウェーに古くから伝わる昔話の一つです。北欧の物語には不思議な生き物がさまざまに登場します。この絵本には“草の中のおひめさま”そして、“湖の主(ぬし)”が出てきますよ。それはどんな精霊でしょうか?
●ものがたり
“はいまみれ”は12兄弟の末っ子で、いつも兄さんたちにいじめられています。ある日、お父さんである王さまは兄弟たちみんなに、「外の世界に出て、お嫁さんを探してくるように」と命じます。森の中で、兄さんたちに置いてけぼりにされ、“はいまみれ”が途方に暮れて座り込んでいると、がさがさ。草むらから小さな女の子が現れ、こうささやきました。「くさのなかのおひめさまに、あいにいらっしゃいませんか」。“はいまみれ”が素直についていくと、草むらのしげみで女の人がいすに座っていました。そのお姫さまのなんて小さくて、かわいらしかったこと! 彼はすぐにお嫁さんにしたいと思いました。そこで……。
●この絵本を書いた人
約150年前、ノルウェーの民俗学者で動物学者のアスビョルンセンが友人のモーを誘い、ノルウェーの昔話や伝説を集めました。『3びきのやぎのがらがらどん』と同じく、この絵本はその中の一つ。自然の精霊を思わせる女の子の物語が、画家シーグルンの色彩豊かであたたかな絵で画面いっぱいに描かれています。
物語に登場する木Treesと花Flowers
象徴的に描かれるのは水連。スミレ、森をかこむ緑。
●ものがたり
子供のころ読んで、大好きだった、やぎのがらがらどん。小さいやぎと中くらいのやぎと大きいやぎが木の橋を渡るおはなし……。ですが、橋の下にはこわ~いトロールがいて、待ちかまえています。がらがらどんたちはある知恵をつかってトロールに対抗します。さあ、どんなアイデアだったのかな?
●トロールってナニモノ!?
トロールはノルウェーの森にすむ、精霊というか妖怪というか、大きな体とほのぼのした性格が特ちょうです。ノルウェーの人たちはトロールが大好き。絵本を読み進めていくと、ちょっぴりかわいそうになってくるのは、この夏、ノルウェーの森を歩いたせいでしょうか。ほら、この写真、トロールみたいに見えませんか?踊っているトロール、はた織りしているトロール。日常の中にあたりまえに“トロールがいる!”って、信じられるノルウェーの森。
●この絵本を書いた人
誰が書いたかはわかりません。ノルウェーに語り伝えられてきたおはなしです。19世紀後半、自然科学者のアスビョルン(1812-1885)と、その友人の聖職者モー(1813-1882)が昔話を集めて、本にしました。『三びきのやぎのがらがらどん』はその一つです。
再話として文章を書いたのは、マーシャ・ブラウさん(1918-)。ニューヨーク生まれ、アメリカの絵本作家。高校の先生、ニューヨーク公立図書館での勤務などしながら物語を書いていたようですね。図書館で子どもの本の知識を深めたそうです。作品には自作だけでなく、この絵本のように、昔話や伝承からの再話も多い人です。
訳したのは、瀬田貞二さん(せたていじ1916-1979)。トールキンの『指輪物語』、C.S.ルイス『ナルニア国ものがたり』などで有名な翻訳家です。
物語に登場する木Treesと花Flowers
深い深い森の木々たち。