秘やかな朝/書肆山田
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【木のことば 12

ひだまりに

かべはこどもを

よびよせた

おんなのこは
おまえに

おおきなきをかいた

「朝、太陽とこどものある情景」より抜粋。

山崎佳代子詩集『秘やかな朝』書肆山田



「三陸大王杉」Sanriku-daiousugi
樹齢約
2500年岩手県大船渡市三陸町御喜来字杉下
2011924日撮影 in Oofunato city,Iwate






ポケット詩集〈2〉/著者不明
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【木のことば 11

草の葉には 草の葉のかげ

うごかないそれの ふかみには

てんとうむしが ねむっている

「ひとり林に……」立原道造・詩より抜粋。
『ポケット詩集Ⅱ』童話屋




田束山(たつがねさん)のふきのとう。南三陸で霊山と呼ばれて親しまれる山に次々と。
宮城県南三陸町歌津樋の

in Tatsuganesan-mauntain,Minamisanriku-cho,Miyagi






クレーの詩 (コロナ・ブックス (111))/パウル・クレー
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【木のことば 10

ぼくは丘の斜面に似ている。

そこでは樹液が日差しに煮え立ち

花々が燃える。

『クレーの詩』1899年の詩より。高橋文子訳 平凡社




宮城県南三陸町馬場中山地区 海岸沿いのツバキ並木。

あの日からずっと、今年も赤い花が咲いている。

壁を破る言葉/イースト・プレス
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【木のことば 9】

自然の樹木がわれを忘れたように伸びひろがっている、凝滞ない美しさ。そんな、そのままの顔。自分の顔なんか忘れているような、ふくらんだ表情こそが素晴らしい。

岡本太郎著『壁を破る言葉』岡本敏子監修 イースト・プレス





太郎坊 Taro-bou sugi

宮城県南三陸町志津川字袖浜101-3 
荒沢神社境内
 in Minamisanriku,Miyagi

樹齢:約800





森に還る日―Michio’s Northern Dreams〈4〉 (PHP文庫)/PHP研究所
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【木のことば 7】

木も、岩も、風も、

あらゆるものがたましいをもって

わたしたちを見つめている。

星野道夫著『森に還る日』PHP研究所





「払川の千本桂」Senbon-katsura of Haraigawa-river


宮城県本吉郡南三陸町歌津払川 in Minamisanriku,Miyagi

樹齢:約550

霊山として信仰されてきた田束山のふもとに立つ桂。震災当時、孤立した歌津地区のご神木。葉はハート形をしてさわさわと揺れる。
2011925日撮影






ベルトルト ブメヒト 樹木を歌う/ベルトルト ブレヒト
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【木のことば 5】

かれはひとときも屈しない、つねに誇り高く

他の樹々を越えて、高く身を伸ばして立っていた

『ベルトルト・ブレヒト 樹木を歌う』樹木詩より抜粋。
  大久保寛二著 新読書社



写真:天神大杉(てんじん・おおすぎ 岩手県陸前高田市気仙町 今泉天満宮)樹齢:約800年 希望の一本松から車で10分ほど、今泉天満宮のご神木。津波によって、社殿も鳥居も石の階段も一切が流された。小高い丘の上、このスギの木と、口の欠けた狛犬だけが残った。この木も地域の人々にとっての希望の木。塩害で枯死し、今年伐採されることが決まった。2011924日撮影 in Rikuzentakata city,Iwate




樹霊/司馬 遼太郎
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【木のことば 3】

 境内に、樹齢千数百年という、とほうもなく雄大な樹相をもった樟(くす)が、二もとある。空海自身の文章に、自分のうまれた土地を表現して、
「玉薄帰(よ)る所の島、○樟(くす)日を蔽(かく)すの浦」
 と、いっている。その同じ楠ではないにしても、空海の誕生を当然見たはずの樟がわずか二樹でもって森をなし、いまなお日を蔽っているのを見て、私は遠い世のこの人物について何事か書けるかもしれないという自信をすこし得た。樹の生命がもつ無言の伝承力というべきものだろうが、そのときふと、人間だけがこの世の主人公でいるということの愚かな錯覚から、自分がすこし抜け出せたのではないかという感慨ももった。

「善通寺のクスノキ―司馬遼太郎」より抜粋。 
『樹霊』人文書院刊

クスノキが立つ場所:総本山善通寺 (香川県)