- 秘やかな朝/書肆山田
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【木のことば 12】
ひだまりに
かべはこどもを
よびよせた
おんなのこは
おまえに
おおきなきをかいた
「朝、太陽とこどものある情景」より抜粋。
山崎佳代子詩集『秘やかな朝』書肆山田
「三陸大王杉」Sanriku-daiousugi
樹齢約2500年岩手県大船渡市三陸町御喜来字杉下
2011年9月24日撮影 in Oofunato city,Iwate
【木のことば 12】
ひだまりに
かべはこどもを
よびよせた
おんなのこは
おまえに
おおきなきをかいた
「朝、太陽とこどものある情景」より抜粋。
山崎佳代子詩集『秘やかな朝』書肆山田
「三陸大王杉」Sanriku-daiousugi
樹齢約2500年岩手県大船渡市三陸町御喜来字杉下
2011年9月24日撮影 in Oofunato city,Iwate
【木のことば 11】
草の葉には 草の葉のかげ
うごかないそれの ふかみには
てんとうむしが ねむっている
「ひとり林に……」立原道造・詩より抜粋。
『ポケット詩集Ⅱ』童話屋
田束山(たつがねさん)のふきのとう。南三陸で霊山と呼ばれて親しまれる山に次々と。
宮城県南三陸町歌津樋の口
in Tatsuganesan-mauntain,Minamisanriku-cho,Miyagi
【木のことば 10】
ぼくは丘の斜面に似ている。
そこでは樹液が日差しに煮え立ち
花々が燃える。
『クレーの詩』1899年の詩より。高橋文子訳 平凡社
あの日からずっと、今年も赤い花が咲いている。
【木のことば 9】
自然の樹木がわれを忘れたように伸びひろがっている、凝滞ない美しさ。そんな、そのままの顔。自分の顔なんか忘れているような、ふくらんだ表情こそが素晴らしい。
★太郎坊杉 Taro-bou sugi
宮城県南三陸町志津川字袖浜101-3
荒沢神社境内 in Minamisanriku,Miyagi
樹齢:約800年
【木のことば 8】
≪愛は、火さながら 過失と
灰となった木の美の上にのみ その光を築く……≫
フィリップ・ジャコテ詩集『無知なる者』より抜粋。
後藤信幸訳 国文社
【木のことば 7】
木も、岩も、風も、
あらゆるものがたましいをもって
わたしたちを見つめている。
星野道夫著『森に還る日』PHP研究所
「払川の千本桂」Senbon-katsura of Haraigawa-river
宮城県本吉郡南三陸町歌津払川 in Minamisanriku,Miyagi
樹齢:約550年
霊山として信仰されてきた田束山のふもとに立つ桂。震災当時、孤立した歌津地区のご神木。葉はハート形をしてさわさわと揺れる。
2011年9月25日撮影
【木のことば 6】
私は木の根を、自分の根をしっかりと大地に下ろします。私は気分がよくなってしっかりとした気持ちになり、大地のはぐくむ力や、自分を支え力づけている根元と結ばれる気がします。
ヘルムート・ハルク著『木の夢』渡辺学訳 春秋社
【木のことば 5】
かれはひとときも屈しない、つねに誇り高く
他の樹々を越えて、高く身を伸ばして立っていた
『ベルトルト・ブレヒト 樹木を歌う』樹木詩より抜粋。
大久保寛二著 新読書社
写真:天神大杉(てんじん・おおすぎ 岩手県陸前高田市気仙町 今泉天満宮)樹齢:約800年 希望の一本松から車で10分ほど、今泉天満宮のご神木。津波によって、社殿も鳥居も石の階段も一切が流された。小高い丘の上、このスギの木と、口の欠けた狛犬だけが残った。この木も地域の人々にとっての希望の木。塩害で枯死し、今年伐採されることが決まった。2011年9月24日撮影 in Rikuzentakata city,Iwate
【木のことば 4】
子供たちの心は 傷みやすい木の葉のようだ
明るい色の玩具が 大きな金色の斑をつけている……
シュペルヴィエル詩集『帆船のように』「玩具」より抜粋。後藤信幸訳 国文社
【木のことば 3】
境内に、樹齢千数百年という、とほうもなく雄大な樹相をもった樟(くす)が、二もとある。空海自身の文章に、自分のうまれた土地を表現して、
「玉薄帰(よ)る所の島、○樟(くす)日を蔽(かく)すの浦」
と、いっている。その同じ楠ではないにしても、空海の誕生を当然見たはずの樟がわずか二樹でもって森をなし、いまなお日を蔽っているのを見て、私は遠い世のこの人物について何事か書けるかもしれないという自信をすこし得た。樹の生命がもつ無言の伝承力というべきものだろうが、そのときふと、人間だけがこの世の主人公でいるということの愚かな錯覚から、自分がすこし抜け出せたのではないかという感慨ももった。
「善通寺のクスノキ―司馬遼太郎」より抜粋。
『樹霊』人文書院刊
クスノキが立つ場所:総本山善通寺
(香川県)