あいしてくれてありがとう (絵本の時間)/宮西 達也
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ひとりぼっちになっても、さびしくないのは

『あいしてくれてありがとう』

宮西達也/文と絵

ポプラ社



もう一冊、「ティラノザウルス」シリーズを紹介します。

わがままで、ものすごくつよくて、おそろしいティラノザウルス。だれも彼にちかづきません。

そんな彼が出会ったのは、ちっちゃな、ちっちゃな恐竜パウパウサウルスです。

ティラノザウルスは「おいしそう!」と思わず、パクッと食べそうになりますが、

「わたしたち、にてるね」と声をかけられてびっくり。

大きな恐竜のティラノザウルスと、このよわっちい恐竜のパウパウサウルスが!?

びっくりして、「どこが似ているんだ?」と聞くと

「わたしは、よわむしで、なきむし。おじちゃんも、よわむしで、なきむしでしょ」だって。

じつはパウパウサウルスは目が見えないのです。だから、相手がこわ~いティラノザウルスだって、気づかないのです。

この会話をきっかけに、ふたりは仲よしになっていきます。

お互いに、ひとりぼっちだったふたりの恐竜は、ふかいふかい友情で結ばれていきます。

ところが、だんだんとパウパウサウルスの目が見えるようになってきて…。



「うまれてきてよかった」
「だって、あなたに会えたから」
この絵本が教えてくれるメッセージは、大切に思い合えるってステキなこと。
お互いに心がふれあった時間は消えないということ。

愛し合った記憶があれば、ひとりぼっちになっても、さびしくなくて、生きていけるということ。

ありがとう、この本をつくってくれたひと、ありがとう。





あなたをずっとずっとあいしてる (絵本の時間)/宮西 達也
¥1,260
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愛する人の幸せを願うこと


『あなたをずっとずっとあいしている』

宮西達也/文と絵

ポプラ社




宮西達也さんの『ティラノザウルス』シリーズ、
紹介した絵本もそうですが、他にも『あいしてくれてありがとう』『きみはほんとうにステキだね』『おまえうまそうだな』等々、心惹かれるタイトルがいろいろあって、シリーズ全9冊(だったかな)。
何度読んでも、涙をポロポロ流してしまう私。泣かない時はありません。
どの絵本にも“愛”がいっぱいつまっているからでしょう。



この『あなたをずっとずっとあいしている』は、ティラノザウルスの子どもと、種類の違うお母さん恐竜のお話。

ティラノザウルスは肉食恐竜。

お母さん恐竜は赤い実を食べる草食恐竜。

卵を拾ったお母さん恐竜は、ティラノザウルスが生まれてびっくり。

一度はティラノザウルスを捨てかけますが、自分の子どもと一緒に育て始めます。

でも、大きくなって、ツメは鋭く、キバはギザギザ、カラダはゴツゴツ。

ティラノザウルスは、「もしかして、ボク、あのこわ~い恐竜なのかな?」と気づくのです。




愛する人の幸せを願うって、こういうことなのかもしれない…と、読み返しながらまた、涙がとまらなくなってしまいました。

あなたをずっとずっとあいしている―ステキなタイトルです。









あいしているから (児童図書館・絵本の部屋)/マージョリー ニューマン
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愛する人をカゴに閉じこめないで

『あいしているから』

マージョリー・ニューマン/文

パトリック・ベンソン/絵

久山太市/訳 評論社



モグラのモ―ルくんは、かわいいひなどりを見つけました。
巣から落っこちてしまったようです。
親鳥がさがしにくるのをいっしょに待っていましたが、やってきません。
そこで、モ―ルくんはひなどりを育てることにしました。すると、
「ひなをそだてるのはとってもむずかしいのよ」とママ。
「たいてい、しんじゃうよ」とパパ。
それでもモ―ルくんはがんばりました。
そして、小さなひなどりがようやく自分で飛べるようになったとき、

板きれで鳥かごをつくって、とじこめてしまうのです…。



ひなどりは、モ―ルくんとずっといっしょにくらせて、うれしいかな。
ひなどりは、モ―ルくんにずっとまもられて、あんしんかな。

ひなどりは…。



大切に大切に思うあまり、そくばくしてしまうことがあるものです。

でもそれは、本当に大切にしているんでしょうか。

危険から身を守ってあげていることになるんでしょうか。

本当に大切に思っているのは、とじこめたあなた自身?

あなたのそばだけに、愛する人にいてほしいという、エゴかもしれませんよ。

心配してばかりいて、自分のそばからはなさないなら、その子は成長できません。

新しい友だちもできません。

大切な誰かと、本当に大切な絆を結ぶためにしたいことが、この絵本には書かれています。




愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅/ケイト ディカミロ
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愛することをあきらめないで

『愛をみつけたうさぎ

 エドワード・テュレインの奇跡の旅』

ケイト・ディカミロ/文

バグラム・イバトーリーン/絵

子安亜弥/訳 ポプラ社




「うさぎは、だれかを愛するなどというまちがいを、二度とおかさないとちかった。」


こんなふうに思うまでになったうさぎを救ったものはなんだったでしょうか。
そんな日が全く来ないとは、だれにも約束できません。
けれど、あきらめないでほしいのです。
だれかを愛するということを。



主人公のこのうさぎは、陶器でできた人形です。

腕と足は自由に動かせるようになっていて、耳は本物のうさぎの毛皮という、りっぱなうさぎ。

名前はエドワード。

アビリーンという女の子が大切に大切にしてくれましたが、

ある日、船旅の途中、海に落ちてしまいました。

それから、うさぎはひとりぼっち。

海から拾い上げられたのはいいけれど、いろんな人のもとをめぐりめぐって、別れて、めぐって。


物語の最初に出てくる、おばあさんの言葉はドキッとするものです。

「愛がないのに、どうやって“いつまでも幸せに”くらせますか?」

うさぎのエドワードは、本当の愛をどうやって見つけることができたのでしょうか。

いろんな持ち主のもとをめぐるうちに、うさぎが気づいた大切なこととは?




だれかを愛することは、いつからだって、再びできるのです。

















すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-ハカラメ

















2011年、旧暦のお正月が明けて、本当に新しい年が始まりました。

この間、23日は新月でした。

満月に向かって、どんどん月がふくらんでいくように、あなたの心も愛でふくらんでいきますように。

愛にあふれる絵本を紹介します。

かわいい動物たちが愛しい気持ちを伝え合う絵本。

大好きな人と過ごす時間の大切さが心にしみてくる絵本。

愛する心を取り戻す童話たち。

あなたのハートを「愛」でいっぱいにしてください。

そして、心からの「愛」を誰かに伝えましょう。

※写真:ハート形のハカラメ


天の火をぬすんだウサギ (児童図書館・絵本の部屋)/ジョアンナ・トゥロートン
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勝利をつかむ知恵とは

『天の火をぬすんだウサギ』

ジョアンナ・トゥロートン/文と絵

山口文生/訳 評論社



火はどこから来たのか、知っていますか?

昔、この地上には火がなくて、どこもかしこも寒かったそうです。

でも、山の上には火があって、守っていたのは、天の人たち。

寒い冬がやってきたとき、森の動物たちは考えました。

天から火をとってこようって。

じゃあ、だれが火をとってくる?

クマやオオカミやヤマネコなどが候補にあがったけど、

結局、いちばんかしこくて、足が早いウサギが行くことに決まりました。

さあ、ウサギはどんなふうに火をとってくるのでしょうか。

ここからがウサギの知恵の見せどころ!



山の上までのぼってきたウサギを見て、天の人たちは口ぐちにいいました。
「あいつはいつもわるさばかりする。みんな、だまされちゃいけないぞ」
かなり警戒している天の人たちから、どうやって火をとってくるんでしょうね。
寒さでこごえている動物たち、みんなのために。
冷たい風がぴゅうぴゅう吹く森をあっためるために。


勝利を得るためには、賢い知恵が必要です。

もっと必要なものは、信頼する仲間です。

ウサギの知恵に、リスやカラスやタヌキや七面鳥やシカ…それぞれが知恵を出し合って、大きな仕事は成し遂げられました。

友だちを信じること。

いったん信じたら、ゆだねること。

だれかのためなら、すごい力を出せることも教えてくれます。



北米ネイティブ・アメリカンの「火の起源伝説」に、「なぜ動物がそうなった」というお話をプラスした、知恵がわいてくる絵本。
大切な友だちみんなが幸せになるひみつが心にきざまれます。







しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)/ガース・ウイリアムズ
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本当に大切なことはひとつだけ

『しろいうさぎとくろいうさぎ』

ガース・ウイリアムズ/文と絵

まつおかきょうこ/訳 福音館書店



子供のころ、大好きでした、この絵本のこと。
田舎に帰って、本棚を見ると、ぼろぼろになったこの絵本がありました。
あれから長い歳月が経っても、しろいうさぎとくろいうさぎは読み継がれています。
初版はいつなんだろう?と、ちょっと気になって見てみたら、

私が生まれた年、生まれた月に初めて発売されたのでした。感動です。



ふわふわの白いうさぎと、ふわふわの黒いうさぎ。
とっても仲よしのふたり。
いつものようにあそんでいると、とつぜん

黒いうさぎがとても悲しそうな顔をしました。

「どうかしたの?」と白いうさぎが聞いても、

「ぼく、ちょっと、かんがえてたんだ」というばかり。

それからも楽しくとびはねているとちゅう、黒いうさぎはとつぜん悲しそうな顔をして、すわりこんでしまうのです。

その悲しそうな顔の、本当に悲しそうなうさぎの絵は、胸がきゅーんとせつなくなります。

黒いうさぎはどうして悲しいのかな。

悲しい顔はうれしい顔になったかな。



クローバー畑、バターカップとマーガレットの花が咲く野原、湖や大きな木のある森の中。
ふわふわの白いうさぎとふわふわの黒いうさぎが、

目をまんまるくして、

とても大切なことに気づくページが私は大好きです。

なんど見ても、心がほ~っとやさしくなる、うさぎの絵本です。


なかよしのふたりって、こういうこと。

ずっといっしょに生きていくって、こういうこと。









はがぬけたときこうさぎは…/ルーシー ベイト
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毎日の小さなよろこびを感じたい

『はがぬけたとき こうさぎは・・・・』

ルーシー・ベイト/文

ディアン・ド・グロート/絵 

河野千代/訳 リブリオ出版



生まれて初めて、歯がぬけたときのことを覚えていますか?

私の田舎では、「ネズミの歯とかえてくれ!」と言って、2階の窓から放り投げると丈夫な歯が生えるといわれていたので、そのとおりにやりました。

あ、でも、庭から2階に向かって投げたんだったかなあ。

もう記憶が定かではありません。そりゃそうです、もう何十年も前のことですから。

次に歯がぬけそうになったとき、グラグラするばっかりで全然ぬけなかったので、歯医者さんに行きました。

歯医者さんはするっとぬいて、ビンの中に放り込んでしまいました。

あっ! 私の歯、持って帰りたかったのに~~~。「ネズミの歯とかえてくれ!」って、言えないじゃないっ!

と、小さな私はちゃんとお医者さんに伝えておかなったことに地団太ふんだのでした。



この絵本は、そんな初めて歯がぬけたこうさぎが主人公です。
うさぎの前歯って、にょきっと出てますよね、あのうちの1本がぬけたのです。
アイスクリームの上にぽこんと落っこちた、歯。
こうさぎは、ぬけた歯についたアイスクリームをなめて、それから水道の水でじゃぶじゃぶ洗って!
で、ぬけた歯はどうするのかって?
うさぎの家では、枕の下に入れておくんだそうです。眠っている間にフェアリーさんが来て、その歯をもっていくのです。そのかわりに、プレゼントをおいていくんですって!
なんだかステキな方法。
でも、こうさぎさんは自分の歯をフェアリーさんにあげたくないのです。さあ、どうするのかな?

大きな木の家でおこる、こうさぎさんとぬけた歯のかわいいお話です。



今まで、自分の分身だったものを大切に大切にする気持ちがあたたかくて、ほほえましくて。
人生って、毎日って、どんなに小さなものでも、いとおしく感じられる喜びにあふれているんだなあって、思えてくる絵本です。





うさぎちゃんとゆきだるま/あいはら ひろゆき
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雪の中でころんでも大丈夫!

『うさぎちゃんとゆきだるま』

あいはらひろゆき/文

あだちなみ/絵 教育画劇



赤ずきんちゃんみたいなうさぎです。
茶色いから、野うさぎかな。

雪の中をてくてく歩きます。きゅっきゅっ 雪がなります。


あらあら、うさぎちゃん、あたまからころんでしまいます。
かおは雪だらけ、つめたいよ~。
でもね、うさぎちゃんは大きな声で笑ってしまいました。
雪って、気持ちいいね。
バターンとたおれてしまっても、なんだか楽しいし。
ひんやりつめたいできごとにも、「あはは」と笑って、起き上がるんです。

さむ~い雪の日に、ゆきだるまをつくって遊ぶみたいに
人生も、ころんで、雪かぶって、こごえそうになっても、

笑って、起き上がって、何かつくって、遊びましょう。



真っ白い雪の中に、真っ赤なコートを着たうさぎちゃん。

かわいくて、いとしくって、

ほのぼの元気がわいてくる一冊です。






すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-いっぽんの木





















あなたの心をささえる大きな木は?
『いっぽんの木』
ウルコ・ラボンデール/作
よこやまかずこ/訳 ほるぷ出版



降りしきる雪の中、うさぎは一本の大きな木を目指します。

茶色い毛をした野うさぎさん。

寒い冬を木の根元に見つけたくぼみで、安心して過ごすために……。

年をとったブナの木はもう、いつからそこに立っているのかわかりません。

冬眠しないうさぎは、木に寄りそい、木のまわりに落ちた木の実やかろうじて残った雑草を食べて、冬を乗り切るのでしょう。

春、うさぎはブナの木を離れます。

冬、雪が降ると、帰ってくるのです。なつかしいブナの木をめざして。




あなたの人生に、いっぽんの大きな木はありますか?