ビロードのうさぎ/マージェリィ・W. ビアンコ
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大切な人と終わりがきても

『ビロードのうさぎ』

マージェリィ・W・ビアンコ/文

酒井駒子/絵・妙訳 ブロンズ新社




酒井駒子さんの絵がとても素敵な絵本です。
別の画家が描いた『ビロードうさぎ』を見たときに、絵が違うとこんなにも物語が変わって見えるのかと思ったくらい、“絵の力”を感じる絵本です。



主人公はビロードでできた、おもちゃのうさぎ。
うさぎの願いはただひとつ。
“ほんもののうさぎになりたい”ってこと。


うさぎをもらったぼうやはうさぎを大切に大切にします。

部屋の中でもお庭でもベッドでもいつもいっしょ。

ぼうやがあんまり大切にするものだから、うさぎはだんだん汚くなっていきました。

そして、最後は捨てられて、ゴミ袋の中で、うさぎは涙を流すのです。

「こんなふうに、おわりがくるなんて…」




絵本の中で、ひとりぼっちになってしまった主人公は、

ほとんどの場合、救いがあります。

大切な友だちが戻ってきたり、新しい友だちがたくさんできたり、

この絵本のような不思議な結末が待っていたり。

けれど、現実はそうとばかりはいかなくて、

去った友だちは去ったままで、ひとりぼっちはひとりぼっちのまま。

そんなことも多いのがこの世の中です。



それでも生きていれば、きっと、

天の神さまは新しい愛を導いてくださると信じたいと思います。

一瞬一瞬を大切に生きて、自分を責めないで、

幸せに思える時間を増やしていくならば。

あたたかな思いでいっぱいに、

心と体と魂とを満たしていくならば。










野うさぎのフルー/リダ フォシェ
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人生はサバイバル、と思っていない?

『野うさぎのフル―』

リダ・フォシェ/作 

フェードル・ロジャンコスキー/絵

石井桃子/訳 童話館出版




フル―はひとりぼっちの野うさぎの赤ちゃんです。
でも、大丈夫。
野うさぎの赤ちゃんは、神さまから三つの贈り物をもらっているから。

二つの魔法の耳! どんな小さな音も聞きつけます。
かくれみの! 土と同じ色をした毛皮で身を隠します。
七里のくつ! いちばん早くて、いちばん音を立てない、じょうぶな足です。

フル―はひとりで生きる術を自然の中から見つけていきます。

近づいていい場所と足を踏み入れてはいけない場所、

安心できる音と安心できない音の違い、その日の風で世界の様子を探ること。

それから、栄養たっぷりのこんだてづくりなんかも!

そんなある日、フル―はきれいな女の子の野うさぎと出会います。

そして、ふたりいっしょに…のはずが。




この世界は危険がいくらでも満ちていて
大好きな野うさぎと離れ離れになることだってあるのです。
でも、ひとは生き続けなければなりません。
春、フル―は緑が野原いっぱいに広がり、花が咲くのを見て感動します。
「なんて、すばらしいんだ!」


ひとりぼっちでいるとき、感動とともに生きられる人のことを神さまはちゃんと見ています。

人生は孤独な戦いではありません。

時を待つことができれば、神さまはあなたに贈り物をくれるのです。






うさこちゃんはじょおうさま (4才からのうさこちゃんの絵本セット2) (ブルーナの絵本)/ディック・ブルーナ
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お祝いには、木がいっぽん

『うさこちゃんはじょおうさま』

ディック・ブルーナ/文と絵

松岡享子/訳 福音館書店



うさぎの絵本の始まりは、うさこちゃんです。
小さい頃、うさこちゃんの絵本が大好きでした。
何冊も持っていて、ボロボロになるまで読みました。
昔、私が持っていたうさこちゃんの絵本には、名前を書くところがあって、「りえこ」とマジックで書きこみました。
大人になって、小さな私がいっしょうけんめい書いた名前を見つけたとき、その頃、親がどんなに大切に私を育ててくれたか、私がどんなに自由で、幸せな空間の中で生きていたかを思い知るようでした。


さて、この絵本は、うさこちゃんが“うさぎの国”の女王さまになる夢を見るおはなしです。

かんむりをかぶっていたり、白いお城に住んでいたり、うさぎの国の人々に手紙を出したり…楽しい時間をいっぱい過ごすのです。

それからね、女王さまが誕生日にもらったものがステキなの。

それって、なーんだ?、



幸せはとてもシンプルで、あたたかい。
何度読んでも心がふわっとやさしくなる、うさこちゃんです。










すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-usagi

















あけまして、おめでとうございます。

2011年のスタートは、うさぎのかわいい絵本を集めましたよ。

うさこちゃん、ピーター・ラビット、うさぎとかめのうさぎさん、

あなたにとって、うさぎの主人公はだれですか?

さあ、2011年の始まりを楽しんでください!


うさぎ雲、撮りました。耳がぴんと立っていて、横を向いたうさぎに見えませんか?








すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-ムクノキ埼玉












1枚のページの中に、木が見えますか?


本は、木からつくられています。

木を材料にして、紙にして、できあがったのが本です。

だから目を閉じれば、一冊の本の中に、

木が見てきた青い空や雲が見えるでしょう。

はばたく小鳥たちのさえずりや虫の声も聴こえます。

根元では、うさぎが遊んでいるかもしれません。

それから、大地の匂い、雨や風…。

木の肌ざわりを感じられるのが本だと思います。

そこに、人間の叡智(えいち)が刻まれたのが一冊の本。


あけまして、おめでとうございます。

2011年も、心にひびく絵本と童話とを紹介していきます。

かわいい絵本、美しい絵本、いっしょに読みましょう。


すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-木をかこうブルーノ























一冊の本が、人生を変えることがあります。

たったひとつのことばが、生きる希望をよみがえらせてくれることがあります。

“読むこと”をとおして、新しい年への“光”が見つかることでしょう。


私は本を愛しています。

おさないころ、親に本を買ってもらうと、

まずはページをひらいて、においをくんくんかぐのが大好きでした。

紙にさわったり、ぺりぺりっとめくれていく音を楽しんだり、ときにはなめてみたり!

よく見ると、白いページにも黄色っぽい“白”があったり、真っ白い“白”があったり。

ふれることが、読むことだったり、読むことが、感じることだったりしました。

知的でもあり、原始的でもある、本という存在。

一冊一冊が、まるで“生きもの”のように、生き生きと輝いているのですよね。

何度目かの電子書籍元年と呼ばれた2010年。

「本が機械に変わらないでほしい」という願いがつのった一年でした。

写真はブルーノ・ムナーリの『木をかこう』。

何度めくっても、毎回ちがう発見がある絵本でした。

2011年もきっと、すばらしい本との出会いがあるでしょう。

本をめくる楽しさをあなたといっしょに味わいたいと思います。

お正月も、ステキな本とともにおむかえください。



すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-ウッドルーン解説書


夢をかなえるために、あなたのそばに…

『ウッド・ルーン』

杉原梨江子/企画・制作 

Y2クリエイティブ/製作




2010年、最後におすすめするのは、
ルーン文字についての小さな本と、

25個のブナ材「ウッド・ルーン」セットです。

古代北欧に伝わる魔法のルーン文字を知っていますか?

ハリー・ポッターの魔法学校や『指輪物語』にも登場する、神秘の古代文字です。

25の文字ひとつひとつに神さまがやどっていて、神秘の力をもたらします。

占いとして使ってもいいし、お守りとして持ってもいいんです。

今年最後につくった、杉原梨江子のオリジナル作品です。

どうぞ、あなたのお手元において、

古代北欧の神さまとお話ししてみてください。


★北欧に伝わる神秘の古代文字「ウッド・ルーン」セット

ブナ材ルーン25個、ルーン呪文が描かれた木箱入り、赤い解説書、布製袋付)
くわしくは、杉原梨江子公式ブログ「聖なる樹の言の葉たち」をごらんください。

http://sugihara-rieko.cocolog-nifty.com/blog/cat34176739/index.html
※お問合せ:船井メディアTEL0120-271-374 FAX03-5769-3200










すぎはらりえこといっしょに 「木のえほんと森のどうわ」-ウッド・ルーン若葉メイン


ちいさなもみのき (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)/マーガレット・ワイズ ブラウン
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「さびしい」って、すなおにいえますか?

『ちいさなもみのき』

マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 

バーバラ・クーニー/絵

かみもじょうゆみこ/訳 福音館書店



大きなモミの木が立ちならぶ森から、少しはなれたところに芽をだした、モミの木。
そのモミの木は、小さくて、少しさびしそうでした。

「だれもいない ひろいのはらに、たったひとりで いるよりも、

だれかと いっしょにいたい、もりのみんなと いっしょにいたい」と思いました。


そんなある日、ひとりの男の人が小さなモミの木を土から掘り起こし、肩にかついで、どこかへ持っていきました。
そこは、小さな男の子が眠るベッドのそばでした。
男の子は足が悪くて、いつも窓から森をながめているだけだったのです。
でも今日、お父さんがモミの木を連れて帰ってくれました。
小さなモミの木は小さな男の子と、友だちになれたかな。


だれだって、ひとりぼっちはきらいです。
「さびしい」という思いをきちんと感じられるひとには、天の神さまはちゃんと友だちを連れて来てくれると思います。
「さびしくない」って、つよがったり、
「ひとりでもだいじょうぶ」って、がまんしたりしないでいいんです。
だれかがきっと、やさしいあなたを見ていますから。






モミの手紙/ロバート・フロスト
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何にお金を使いますか?

『モミの手紙』

ロバート・フロスト/文 
 テッド・ランド/絵
 みらいなな/訳 童話屋



お金について考えることになる、一冊です。
何に価値をおくか? でお金の使い道は変わります。
何にお金を払うか? でその人の価値観がわかったりします。
人生で大切にしているものが何か、わかったりします。


バルサムモミの木の山をもっている男のもとに、一人の商人がやってきます。
「欲しいのはクリスマスツリー、と男は言った。

たまげたことに、わたしの山のモミの木は 

商人の目にはクリスマスツリーと映るらしい」

モミの木は香りがよく、美しく、神々しい。

青緑色、深緑色、黄緑色、濃淡の緑色で描かれたモミの木のページは、

日本にいることを忘れて、遠い異国の森の中へと誘われるようです。

青い空には鳥が飛びかい、そこが完全な自由であり、モミの木が生き生きと育っていることがわかります。

そして、モミの木のすぐそばで生きている家族にとっても、誰に査定されることのない自由な人生。

「モミの木を切り倒してお金に替えようなんて、金輪際考えたこともない。そんなことをしたら、生きものたちは山に住めなくなる」と男が考えている間に、

商人は冷静に告げます。「1000本、ぜんぶで30ドル」

そして、男は“モミの手紙”を書くのです。




モミの香りがただよう広い大地、

りんごやかぼちゃなど自分たちで育てた食料、

まき割りをすませた暖炉の薪、犬や猫、馬といっしょに暮らす日々。

都会で生きる人々が忘れてしまった風景が描かれています。

お金と人、お金と自然、お金と礼儀、お金と言葉…。

ページをめくるたびに、あなたの心をドキッとさせる場面に出会う絵本です。












しあわせなモミの木/シャーロット ゾロトウ
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誰に何を言われようと貫けますか?

『しあわせなモミの木』

シャーロット・ゾロトウ/文 

ルース・ロビンス/絵

みらいなな/訳 童話屋




淡々と書かれていく物語の中に、私たちの日常を映し出すような深い知恵に心打たれることがあります。



ある町の美しい通り。

かつては、夜、階段に座って星をながめたり、笑ったり、みんなが仲良く暮らす町でした。

でも今は、お金持ちの人たちが住む通りになり、外で星を見上げるような人はいません。

そんな通りに、長く人の住んでいない空き家がありました。

引っ越してきたのは、クロケットという名前のおじいさんです。
クロケットさんは、家の前に、一本のモミの木を植えます。
葉っぱはしなびて、枝は垂れ下がり、裸も同然の枯れかけたモミの木です。
花屋さんで見かけたとき、美しい花々や緑の中で、モミの木がどんな気持ちでいるだろうと、いてもたってもいられなくなり、買ったのです。
近所のお金持ちたちは、クロケットさんが枯れた木を植えたと思い、「変わり者」と噂し合いました。

それでも、クロケットさんは淡々と、毎日水をまき、モミの木の世話を続けたのです。

数年が経ち、クロケットさんはこの通りに奇跡を起こします…。




本当に、それは“奇跡”だったのでしょうか?

誰が何と言おうと、誰に批判されようと、正しいと信じたことを淡々と、毎日続けていくこと。
それができる人は、奇跡を起こすことができると思います。

他人は簡単に、人の行いを非難します。顔をしかめて、立ち去っていきます。

奇跡とは、どんなに傷ついても、前を向いて続けてゆく者だけに与えられるご褒美。

そしてそれは、自分一人のためだけの奇跡ではなく、誰かも一緒に祝うことができる、本物の奇跡となるはずです。