「中学受験合格法」の著者、斉藤達也先生は次のように述べています。タイトルに東大理Ⅲの学生の名言を紹介しました。この言葉の意味が具体的にどういうことであるかを、以下の文章から読み取っていただければ幸いです。国語の入試問題みたいになってしまいましたが、是非読み取っていただければと思います。

今、あなたのお子さんに本当に必要なことは、「頭を良くすること」でも「勉強時間を増やすこと」でもありません。「短時間でポイントを押さえた勉強をすること」なのです。

確かに、超難関校を受験するレベルの子は「ポイントを押さえた勉強」をしています。しかし量より質でなく「量も質も」です。ここは間違えてはいけません。高いレベルになればなるほど、集中力の持続時間が長くなるのは普通ですし、量をやっていくうち質が伴ってくるという境地に達します。なのでイタズラに効率ばかりを追い求めることは、自分の勉強法の確立をむしろ阻害します。ある程度膨大な時間勉強しないと、なかなか効率とか質の伴う勉強にはならないのです。

「同じように塾に通い、同じように宿題をやっている。でもあの子は成績がいいのに、うちの子は良くない。なぜなんだろう?」

こういうことに頭を悩ませている親はとてもたくさんいます。実はこの件についてかなり明快な解決策を提示している本を見つけましたので後日紹介します。斉藤先生は次のように説明しています。

違いは、家庭学習のやり方だけ。
私はこれまで数多くの中学受験生に会ってきました。偏差値70以上の子から30台の子までさまざまです。その中で気づいたことは、家庭での勉強方法に大きな違いがあるということです。

中学受験の勉強は塾の授業ではなく家庭学習が中心となります。塾の授業で1度習ったくらいで全てを理解して覚えるのは不可能ですから、どうしても理解定着させるのは家庭での学習にかかってきます。塾の授業はあくまで0を1にするためのもの。その1を1のままにしておくか、10にも100にもするのかは、全て家庭での学習次第です。あなたのお子さんは決して頭が悪いわけでも、中学受験に向いてないわけでもありません。家庭での勉強方法や時間の使い方にちょっとしたズレが生じてしまっているにすぎません。

要は「家庭学習のやり方と時間の使い方を考えなさい」ということです。「ダメなら他の方法を考えろ」というのは和田秀樹先生の口癖です。その方法は他人からの借り物ではなく、親やその子自身が自分の頭で考え、自分に適したものを作り上げていくしかありません。そのためにはある程度多くの時間を勉強に投入するしかありません。従って斉藤先生も「家庭学習のやり方を工夫しろ」とは言うものの、具体的にこうした方が良いとは書いていません。

勉強方法というものは最初から効率の良い勉強ができるわけではなく、やっていくうち、しかも色々工夫を凝らしていくうち、相応の時間をかけるうち、次第に効率の良い方法を考えるようにになるものです。なので「唯一の正解」を探し回り、他人の提案する「効率の良い方法」に飛びつくような真似は慎むようにしたいものです。勉強のスタイルはその子の性質や価値観が出てきます。そういうものを無視してノウハウだけを取り入れても、しっくり来ないばかりか、次第にチグハグしてきて余計に時間をロスすることになりかねないのです。