ハンガリー音楽セミナー(海外講習会/ 短期留学/ヨーロッパ)受講生募集中! -16ページ目

ハンガリー音楽セミナー(海外講習会/ 短期留学/ヨーロッパ)受講生募集中!

ハンガリー音楽セミナー(海外ピアノ講習会/短期留学/ヨーロッパ)
7月31日〜8月6日


ある夜、何気なくFMをかけていたら、
急に日本のお箏の演奏が聞こえてきました。

このラジオ、「バルトーク」というクラシック音楽専門の放送局です。
選曲も良いので重宝しています。
さすがハンガリーの誇る作曲家バルトーク。
ラジオ局のお名前にも なっているんですね。


番組名はArsNova、その中で日本人作曲家の曲がかかっていました。
異国の地で予期せず日本の曲がかかるのは、驚きとともに嬉しいものです。

ハンガリー放送・バルトーク局サイト http://www.mediaklikk.hu/bartok/

社会主義の時代は、言わずと知れた国の経営の放送局でしたが、
98年以降は分離独立しました。
ちなみに、ラジオ局は他にコシュート、ペトフィなどがあります。

以前のブログでご紹介した革命の戦士「コシュート・ラヨーシュ」
詩人であり、やはり革命の戦士「ペトフィ・シャンドール」
こういう国の英雄を讃えているのですね。


バルトーク「子供のために」1巻31~36番 ヤンドー先生の演奏です。
前回のシャンドール先生の項では、見えにくい写真、
下手なカメラマンにぱっとしないカメラ、申し訳ありません。

下記の写真、これこそが当時の先生のお顔、ダンディで素敵な先生でした。
レッスンが終わり廊下へ出ると、女子生徒さんたちが先生お目当てで
立っていました。それはいつも。
ネクタイやポケットのハンカチも、いつも気遣っていらっしゃいました。
ただ、レッスンを見ていただく身には、先生が素敵とかなんとか・・・そういう
感覚より、毎週のレッスンに必死・・・「先生、素敵?」みたいな感覚でしたね。

私の在学当時ピアノ奏法の本を出版なさいました。
英語では「On Piano Playing」 
後年、日本の出版は「シャンドール ピアノ教本~身体・音・表現」春秋社
   監訳・岡田暁生

岡田暁生氏は多くの優れた著書があります。
シャンドール先生のお言葉がすっと心に入る名訳だと思います。

テクニック的な問題で困っていると、すぐに「ぼくの本を読んだか?」
「あそこにすべて書いてある、なぜ読まない?」と言われるのが苦手で、
あれから何年も経ってみると・・・それも懐かしい思い出です。

少しでも疑問や知らないことに触れると、すぐに小さな手帳をお出しになり、
メモをする、これが習慣のご様子で、手帳はびっしり隙間なく書き込んでありました。
頭が非常に良く、生きることにどこまでも前向き。
理知的で、感情に走らずご自分の立ち位置を考える(ただ、怒りはすぐに沸くご様子)
弟子同士で「先生って落ち込むことあるんだろうか?」と話したものでした。

先生は80歳を超えられてから、バルトークピアノ全曲を再度録音なさり、
そのCDは今も私の愛聴盤です。
リズム感、ダイナミズムがたいへん素晴らしいと思います。
一方で、ベートヴェンやショパンには、先生の個性的な解釈が散見され、
生意気にも議論もしたものでした。 

最後に先生のバルトーク「チーク地方の3つの民謡」を掲載しました。
ハンガリー第二の川、ティサ川周辺に住む漁師たちが
民族フルートで奏でていたメロディが使われています。



シャンドール先生








シャンドール先生のバルトーク「チーク地方の3つの民謡」


ジュリアード時代(はるか昔・・・)3年間お世話になった
バルトークの高弟・シャンドール先生について。

NYはご存知のように人種のるつぼ、入学試験のために到着した翌日のこと。
通りで「6番街はどこ?」とあたりまえのように声をかけられました。
「??ワタシ??」・・・心底驚いたものでした。

ジュリアードの学食で、テーブルをつなぎ合わせ、その辺にいる学生で
一堂に会したことがありました。その数15カ国、共通言語は唯一英語という状況に
若いながらお互いに感嘆した日を今でも鮮明に覚えています。
厳しく競争の激しい音楽院ながら、さまざまな異文化との交流は楽しいもの、
世界各地にちらばったその友情は、今も細く長く続いています。

そんな環境で、シャンドール先生は、
バルトークのお弟子さんだったすごい先生・・という認識はありながら、
でも若く残薄な私は、
「生粋ハンガリー人」というよりは「アメリカ系のハンガリー人」という
印象だったように思います。

実際にハンガリーに住むようになり、ハンガリー人気質に触れるにつけ、
「あー先生は、何よりハンガリー人だったんだなぁ」と過去の日々を思いました。

ハンガリー人の車の運転は荒く激しい。車線変更もいきなりがーっと!
先生も、言ってみればそんな気性の方でした。
その反面、達観した思想の持ち主で、酸いも甘いも超えた「格言」で
諭されたものです。

6ヶ国語がお話お出来になり、前の生徒がスペイン人だと、
私に代わってもスペイン語が止まらず・・「先生、スペイン語わかりません!」
一瞬キョトンとして、独特の発音で「Sorry sorry」とおっしゃったのも懐かしい。

月の一度のマスタークラスは夕方から長時間、パワフルな先生でした。
その後は先生のおごりで学校の近くのレストランに行きました。それがあったから、
なんとか生徒たちもがまんしていたような。日本食もお好きな先生でした。

あまりに練習していない私にめんどうくさくなった時は
1時間いっぱい、ずーっと演奏をしてくださいました。
目の前に繰り広げられるライブ、腕の動きの激しさ、
しぶきが上がるかのようなリズム感は・・・とても素晴らしかったです。
特にバルトーク、プロコフィエフはかっこよかった。
「来週はもっと練習してくるんだよ」と頭をポンポン、孫みたいなものでした。

月に1度、今でもご丁寧に送られてくるジュリアードジャーナル(新聞)に
先生の訃報記事が掲載されました。
93歳という長命、2005年12月9日NYでご逝去なさいました。

次回はもっとまじめな、音楽的な面のシャンドール先生をお書きしますね。

ジュリアードジャーナル2006年2月号の記事。
















ヤンドー先生は世界的なピアニストとしてご活躍の傍ら、
ブダペストの名門、リスト音楽院の教授として長いこと後進のご指導もなさっています。

歴代、日本人生徒さんも数々いらっしゃり、その中でも男子生徒さんが多いご様子です。
ハンガリー人学生さんも男子が多い印象がします。理由は今度お聞きしてみますね。

現在は須田瑞穂くん、そして、藤原新治くんがヤンドー門下として在籍しています。
須田くんは東京芸大卒でリスト音楽院では大学院2年在籍、
藤原くんは日本で東邦音楽大学付属中学・高校を出てすぐにこちらへ渡りました。
共に、将来有望なまだ20代の若い音楽家です。

先日、手料理を交えてヤンドー先生のお人柄、レッスンなど、
インタビューをさせていただきました。
若者たちの会話・・・まことに快活、楽しかったです。

2月にふたりが一緒に開いたリサイタルのチラシ。
1日ずつそれぞれ大曲に挑み、たいへん好評に終わりました。
ちなみに、会場はバルトークがブダペストで最初にお住まいだった家、
小ぶりでも素敵なコンサートホールになっています。

現在、須田くんは卒業のディプロマコンサートに向けて益々がんばっている様子、
藤原くんはのびのび、元気に次々こなしている様子でした。

ヤンドー先生のレッスンは、先生が演奏家でいらっしゃることから、
舞台上での具体的、実践的なご注意がとてもためになるそうです。
指導者が演奏家でもいらっしゃることは、海外の学校はめずらしくないですが、
そんな中でも、先生ほどのご活躍の方にご師事するのは、とても幸せなことですね。

また、穏やかなお人柄、正直な方、お心がピュアな方と、
若い世代に、暗黙のうちにも大きな影響をお与えなことがわかりました。
師弟関係というのは、指導者が素晴らしければ、
それだけ、人生に大きな財産をもたらすものですね。

そこに、男子生徒さんたちは、歴代、先生にカタコトの日本語を教えるので
ときどきびっくりするような言葉が先生のお口から。
・・・苦笑いをしてしまいます。

続きはまた追い追いと。
二人のコンサートのチラシをごらんください。







ハンガリーでは、ちょっと独特な拍手をいただきます。
それは・・・わかりやすく言うと、日本のお隣の大国の、
ときどきニュースで見る拍手とまるで一緒。パン・パン・パン と威勢良く。

今回のコンサートも、アンコール・アンコールという言葉の代わりに
この拍手がだんだん大きくなっていき、それはそれはパワフルに。
ありがたいことなのですが・・・ただ、申し訳ないのですが・・・
私はどうしても、いわゆる日本の拍手に長いことなじみがあります。

アメリカ系ハンガリー人が、英語で「Iron clapping」鋼の拍手?とでも訳しますか、
そう言うのよ・・・と教えてくださいました。
かつて長く社会主義だった国~お名残がこのような形で今も日常に散見します。


アンコールは、ご希望が事前にありましたので、
「子どものために」から1曲弾かせていただきました。

「子どものために」は2冊~4巻から成る曲集です。1巻に39曲ずつ。
ほんの数十秒の曲から、長くても3分くらい、明るく元気な曲も悲しげな曲も。
やはり、ハンガリーの「わらべうた」を元に作曲しています。

大人の感覚ですと、バルトークは不協和音も多いし・・・ちょとねーと
思いがちなのですが、子どもたちには人気です。
ピアノを勉強する子どもたちに必ず取り入れてきましたが、皆この曲集が好き。
子どもは屈託なく固定観念もない。
曲選びに、まず弾いて示しますと、「この曲はイヤだ、こっちは気に入った」と
思いのままに言います。
「好きな曲から弾いていいけれど、どの曲も全部するからねー」がモットーです。

できましたら、より多くのピアノの先生たちがバルトークに親しんでくださったら、
子供たちへ、そのすそ野は益々広がりますね。

表紙は販(Edition)によりますが、このような可愛い表紙も多いです。
ちなみに、日本は日本語版のブダペスト出版の楽譜が出ています。
そして、ちょうどシャンドール先生の音源を見つけました。
2巻の演奏です。
バルトークとシャンドール先生のレッスン風景のお写真も見えますね。