aioso**
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【詩】じゅわり

その指先がこの涙をぬぐうことは
もうないのだ、と
うすうすは わかっていたよ

その手がこの手を握ることは
もうないのだ、と
うすうすは 気づいてはいたよ

その腕がこの体を抱きしめることは
もうないのだ、と
本当は 知っていたよ

じゅわり、と音がする

私は悲しみをひたひたに
吸い込んだスポンジだよ

ほら
その冷たい指先で
押してみろ
音がするだろう
じゅわり、と
悲しみが滲み出る

ほら
その冷たい手で
ほほをはたいてみろ

ほら
その冷たい腕で
私を振り払ってみろ

私は何をされても
ただ
じゅわり、と
滲み出てくるものに
身を任せているだけだよ

ほら
その冷たい指先で
押してみろ

音がするだろう
じゅわり、と

【詩】打ち覆い



のどから呻きが響いて
産まれようとした言葉が言葉であることを放棄したようだった



「   白   」
 



最後に、何を、言ったんだろう






その、終わりの瞬間でさえ
わたしはただ、いつもの通り自分のことだけを考えていた




その、「  白  」が、唐突に阻んだのだ
最後の言葉が産まれようとしたのを




その、薄い存在を、はがしてしまえばいいのに
私の指は、震えていてそれを掴むことができないから
喪に服すことしかできない







【詩】五月雨




オパァルの空にほんのすこし薄墨を加えて泣いてしまうの


くらい深緑がゆらゆら萌ゆる


たちあがる湯気の霧



     ・・・雨


                    ・・・雨



                 ・・・雨


エメラルドの湖面に吸い込まれ



いずれ霧は白馬になってゆく










【詩】結婚指輪

産まれたばかりの光に染まる
銀色のつぼみの輝き
薬指は永遠を誓う

4月の詩

曇り空にサクラ溶けて曖昧な月曜の朝


キーボード・秒針、すべての音がささやかに私を責める君がいない夜



泣き顔を隠す黒髪は凍れる雨に打たれ、



     *****




ほほえみにはほほえみ 花笑む桜並木




キーボードの音それは私が脈打つ生命である証拠



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