生肉の魅力
小学生の頃、キャンプでBBQをしました。
最初はちゃんと焼いた肉を食べていたのですが、友達との肉の取り合いが過熱するに従って、誰からともなく生焼けの肉を食べ始めました。最後には鉄板に乗せてない生肉を食べまくるという無政府状態に陥り、それを発見した大人に「やめろ!腹こわすぞ!!」と一喝されました。
怒られたのでみんなでおとなしく焼いた肉を食べていると、一人がボソッと「焼かない方がうまかったなぁ」とつぶやきました。そして、誰もがその言葉に納得したのです。それに、さんざん生肉を食べていたので、今さら焼いて食べても無駄な気もしました。
そのため、大人達に見つからないようにして、焼いたフリをして生肉を食べました。みんなで笑いを噛み殺しながら、タレをつけた生肉でご飯を巻いて食べました。(たぶんお腹を壊した人はいなかったと思います)
今でもユッケなどの生肉を食べるとやたらテンションが上がるのは、あの時の楽しさと無縁ではない気がしています。
映画「K-19」
旧ソ連の原子力潜水艦(K-19)で実際に起こった事件を映画化したものです。
K-19の原子炉でトラブルが発生し、潜水艦はおろか、周辺の島にも放射能汚染の被害が広がるかもしれないという危機に直面します。
潜水艦内の原子炉担当班8人が、交代で原子炉に入り修理することになりました。彼らにはレインコートのような防護服が与えられます。
一番恐ろしいシーンは、最初に原子炉に入った2人が戻ってきた時です。防護服を脱ぎ、被っていたマスクを脱いだ途端、目も当てられないほど腫れてただれた顔が現れます。彼らは激しく嘔吐・吐血し、失明していたり、全身から出血したりしています。
戻ってきた仲間の変わり果てた姿を見て、次に原子炉に入る船員達は激しく怯えます。防護服が役に立たないばかりか、原子炉に入れば確実に身体がボロボロになる。さっきまで元気だった同僚が、わずか10分でお化けのような容貌になってしまっている。そして10分後には、間違いなく自分も同じような状態に陥る。ある意味、死ぬより恐ろしかったかもしれません。
それでも8人は交代で原子炉に入り、修理を完了させました。修理に当たった8人は、全員が1週間以内に死亡しました。原子力の恐ろしさを、リアルに表現した作品であると思います。
国 会放送 その1
過去の国会放送は、衆議院や参議院のホームページで視聴できる。
政治家は弁論のプロでもある。政治家の話し方、説明の仕方、論の立て方は、塾の授業においても大いに役立つ。そのため、時間が空いた時は国会放送を見ることにしている。
時には同じところを繰り返し見る。特に石破茂氏、西田昌司氏、河野太郎氏、山本一太氏などは、群を抜いてやりとりがうまい。声の出し方や、しゃべりながらの状況判断などは、中々真似できるものではないと思う。
そもそも国会放送に興味が湧いたきっかけは、有楽町駅で菅総理の街頭演説を聞いたことによる。あの独特な声質には、聴衆を魅了する力があった。現在ではすっかり「おどおどしている」「元気がない」などと言われている菅総理だが、あの街頭演説を聞いた時、菅さんが総理にまで登りつめた理由が分かる気がした。
長らく与党であった自民党が野党として質問し、野党であった民主党が政府として質問に答えることは、とても意味深いように思う。お互いが立場を入れ替えたことで、議論がとても深まっている気がする。
右斜め後ろ
信号待ちをしている間は、ずっとちくわ天そばの事を考えていました。その信号を過ぎると、山田うどんまでは1つも信号がないので、力の限り飛ばそうと思いました。その信号には2~3台のロードレーサーがいました。
信号が青になって1kmほど進んだ時、さっき信号待ちをしていたロードレーサーの1台が、右斜め後ろにピッタリくっついていることに気が付きました。ほんとびっくりするぐらい近くに付かれていたんです。
その日はかなりやる気があって、調子に乗ってもいたので、スピードを上げて一気に引き離そうと思いました。しかし、どんなにスピードを上げても全く同じ位置でついて来るんです。
きっと相手も苦しいはずだと思って、力の限りペダルを踏み続けたのですが、どうしても距離が広がりません。そんな状態で3kmほど並走していると、自分の方に限界が来ました。右わき腹をつったのです。
情けないほど速度が落ちて、もうだめだと思いました。しかし、それでも相手は抜かしてくれずに、右斜め後ろの位置をずっとキープしています。完全に弄ばれている気がして、自分の非力さを痛感しました。わき腹の痛みが少し治まった頃に、最後の力を振り絞って再スパートをかけたのですが、普通に付いてこられていました。
青息吐息で山田うどんの駐車場に入った時も、まだ後ろに付かれている気がして振り返りました。もちろんその人はいませんでしたが、何となく恐ろしい気持ちは去ってくれませんでした。汗がひくまで、山田うどんの駐車場で15分ほど放心していました。
吐きそうになりながらちくわ天そばを食べ終えて、フラフラと家路につきました。でも何か、新たな自転車の楽しさを見つけた気分になりました。
川越祭り
昨日、川越をこよなく愛する友人と川越祭りに行った。
喜多方ラーメンバーガー、甲府鳥もつ煮、タイ風焼きそば、佐世保バーガー、シャーピン(中国風お焼き)、はし巻き、ドネルケバブ等々、B級グルメブームも相まって、実に様々な屋台が並んでいる。
お好み焼きと焼きそばの屋台が一番多かったが、一番繁盛していたお好み焼き屋は、おやじさんの動きが明らかに他とは異なっていた。重心が低く、顔と鉄板の距離がとても近い。卵を割り、肉やそばを炒め、ソースを塗る。それらすべての動きにおいて独特のリズム感と躍動感があり、そこからは仕事に対する誠実さ、一生懸命さを感じることができる。
お客さんからお金をもらい品物を渡す時は、ペコリと頭を下げて、声を出さずに「ありがとうございます」と口を動かすだけである。もちろん笑顔などはなく、鉄板をにらんでいる時と全く同じ表情でお客さんに接している。
企業の接客マニュアルなどで考えれば、おやじさんの接客は完全に0点だろう。しかし、川越祭りに来ていた多くの人たちは、数あるお好み焼き屋の中から、そのおやじさんのお店を選んでいた。念のため友人に、「このお店は有名店なの?」と聞いてみたが、川越祭り通の友人は、「そういうのじゃないと思う」と言っていた。
確かに表情や言葉遣いは大切だと思う。しかし、仕事への真面目さを欠いた形式的な接客は、決して快いものではない。その点、お好み焼きを作るおやじさんの姿勢は、仕事への真面目さに満ちていた。
「でもそのおやじさんが笑顔で接客をすれば、もっと素晴らしいんじゃないの?」
という意見があるかもしれない。しかし、おやじさんの動きを見ていたら、そんなことはどうでもいいことのように思えた。