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介護業界でよく言われるのが、
利用者主体のケアをしなさい。
ということです。
この言葉は間違いではありませんが、
本当に良いケアとは、
少しズレていると私は思っています。
『利用者主体のケア』とは、
利用者本位とも言い換えられる
介護の基本的な考え方です。
その人が何をしたいか?
その人に何が必要か?
ご利用者の目線から考えて、
介護士はサービスを提供します。
具体的な利用者主体のケアは、
人として尊重することだったり、
自立を支援することだったり、
ひとりひとりに合わせたサービスを
提供することだったりします。
真逆の概念が、
『職員主体のケア』または、
『介護者主体のケア』で、
これは、介護士側の都合に合わせた
ケアを提供することを指します。
図でイメージすると、こんな感じ、
下に行くほどご利用者のことを
考えたケアになります。
では、『良いケア』とは、
一番下まで
行き切ったケアなのでしょうか?
施設介護の話しにはなりますが、
答えは「ノー」です。
理由は1つ。
施設運営が成り立たないからです。
例をあげつつ説明していきます。
車いすを使用するAさん。
手すりを持つと
腰を浮かせることはできますが、
立つことはできません。
体重は75キロ、身長は170センチ。
このAさん、トイレの訴えが多く、
一時間に三回程トイレに行きます。
そして、毎回おしっこが出ます。
Aさんは自力で立てないので、
職員は二人がかりで介助します。
前から抱えあげる担当と、
ズボンの上げ下げをする担当です。
利用者主体のケアの究極の視点は、
いつでも訴えがあればすぐに、
Aさんとトイレに行くことでしょう。
しかし職員も人間です。
職員のことも考えれば、
腰痛などの身体面を考慮する
必要がありますし、
他の業務ができないことでの
ストレスにも注意しなければいけません。
職員に過剰な負荷がかかると、
虐待という形で
発散されるリスクが高まります。
誤解がないように言っておくと、
施設介護において、他の業務とは、
ほぼ全ての場合、他のご利用者の
ケアに関わる業務のことです。
Aさんと毎回トイレに行くことは、
他のご利用者のケアを疎かにすることに
なってしまいます。
そうなると施設運営にも
影響が出てきます。
では人員を増やして、
対応力を増せば良いのでしょうか?
介護施設はボランティアではありません。
色々な形態はあれど、
突き詰めると商売のひとつです。
人件費を増やすほどに経営を圧迫しますし、
反対にご利用者の人数を少なくしても、
経営が成り立たなくなります。
もちろん、介護ロボットや福祉用具など、
色々な技術を使ったり、DX化で
業務効率アップを図ったりすることで、
介護士側にも余裕が出ることは
あるでしょう。
しかし、ご利用者一人の要望に
即座に応えるためには、
理想を言うと、ご利用者一人に対して、
職員が最低一人は必要です。
国が定める最低基準は
ご利用者三人に対して職員一人。
夜間はご利用者二十五人までは、
職員一人で良いとされています。
使える人件費もこれに準拠するため、
理想には到底及びません。
また、新しい仕組みの導入には、
時間もお金もかかります。
これらのことから、
先程挙げた究極の利用者主体を
実現しようとすると、
莫大なコストがかかるため、
国内のほとんどの施設では不可能です。
どんなケアも継続性がなければ、
施設や職員の自己満足になります。
本当の良いケアとはここら辺。
Aさんの例で言うならば、
Aさんやその家族と話し合い、
施設がトイレに行ける回数を示すこと。
そして、リハビリなどで、
トイレに行ける回数を増やす。
という方向性を提示すること。
勿論、介護ロボットや福祉用具の中で、
現実的に導入できる物の、
導入を検討することが前提です。
残念ながら、
ご利用者全体のことを考えると、
一人のご利用者に注げる労力には
限界があります。
その労力をできるだけ多くするための、
業務効率化であり、介護技術向上で、
施設側には日々努力する義務がある。
と私は思っています。
思っていますが、
やはりどこかのポイントで
限界は来るものです。
介護側の役目は
サービスの限界を提示するところまで。
ご利用者側には
施設を替える権利があります。
限界を見極めご利用者に提示し続ける。
本当の良いケアとは、
『ちょっとだけ職員主体も入った、
利用者主体のケア』なのです。
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