やっとアンプユニットの配線にたどりついたところで、万全を期して例のとおり実体配線図を用意しました。
もとになるアンプユニット配線図は次のものです。
実体配線図に基づいて配線を開始したのですが、実際に使用するコンデンサー、抵抗器のサイズや、耐圧、許容ワット数などの関係で当初予定の部品を変更したり、また、はんだ付けの容易さなどから一部の配置を変更しなくてはならなくなりました。
また配線作業中に、104Dを101Dに変更する可能性があることに気がつき、予定の3.6KΩの抵抗に4.7KΩの抵抗を並列に追加できるようにしました。通常この追加抵抗の一端は開放になっていますが、101D使用時には、小さなバナナプラグで3.6KΩ抵抗の他端に接続するようになっていますので、101Dの時のバイアス抵抗は2.1KΩに変更できます。
最終的には次のような配置になりました。(後のメンテナンスのために、配線が終わった後に、実体配線図を更新しました)
L チャネルの配線を終了して電源ユニットとの接続ケーブルを端子盤に取り付けたところ
拡大した様子
場所的に余裕があるのでもっとすっきりした配線になると思っていたが、足の短くなった古い部品を使ったりしているので、ごちゃごちゃの立体配線になってしまっています。
配線終了後はいつものとおり、部品がしっかりついているか引っ張ったり、各部の導通を確認し電源ユニットをつないで電圧チェック。真空管を挿していないので、どこも予定より高い電圧が出ましたが。
1.電圧チェック
次に、真空管を挿し104Dのフィラメント電圧と12AT7のヒーター電圧をチェックしました。
12AT7(12AX7が見つからずほぼ同等とみて代わりに使用)のAC 6.5V(規定は6.3V)は片ch分使っているだけなのでよいとして、104DのDC 4.2V(規定は4.5V)は心配です。電流コントロールのレオスタットを右いっぱい回して4.2Vは問題ですが許容範囲ということにして次に行きました。今は、0-5-6.3V巻線の5V端子を使っているのですが音出しをして問題があれば6.3V端子に変更することにします。
ついでB+電圧を加えて各部の電圧をチェックしたところ、次のようになりました。
104D プレート電圧 268V(予定250V)
104D フィラメント中点電圧 56V(予定56V)
プレート電圧が高いのは、片ch使用なのでこれでよいとしました。
104D定格は170Vですが、250Vでの使用例もあるのでプレートとフィラメントの間にかかる268V-56V=212Vは許容範囲と考えました。両ch使用すれば下がると思いますし。(この記述には誤りがあります、後述の追記を参照)
12AT7 プレート電圧 84V(予定160V)
12AT7 カソード電圧 2.0V (予定1.6V)
プレート電圧が低すぎるように思えますので、負荷抵抗100KΩを50KΩに変えた方がよいかもしれません。100KΩは双三極管12AX7をパラ接続して使う場合には大きすぎる気もします。
104Dフィラメント電圧チェックの様子
2.音出しチェック
電圧試験は予定値とだいぶ違う結果もありましたが、とにかく音出しをしてみてから考えようと先を急ぎました。
というのは使用する104D真空管は1947年5月と7月に作られたもので、そのあとどのくらい使われたかわからない中古品で不良の可能性も十分あるからです。
101、102、104D系の真空管は電話回線の中継増幅などに使われていた高信頼管で10年くらいは平気で使われていたそうなので、それを頼りにはしてますが。
もし不良なら根本的に考えなおさなければならないですし。
出力として YAMAHA JA1062 8Ω 10W と記してあるコーン径9cmくらいの裸のスピーカーユニットをつなぎ、入力にいつものとおりiPODのイヤフォン出力をつないで電源ONにしてみました。予定通りフィラメント電圧印加後30秒たって高圧が加えられましたが、心配していたとおり音楽は聞こえません。
しかし、音量アッテネータを触ると、ボディエフェクトでノイズが聞こえます。金属製シャーシでなくベークライト板にアース母線を張って組み立てたためだなと思いましたが、とにかく104Dが動いていることは確かです。
音出し試験、電圧/電流監視メータは未配線。104D真空管のフィラメントと板状プレートが確認できる。
104Dが不良ではなさそうなのでやっと安心、落ち着いて信号系の配線をチェックしてみると、入力トランスとして使っていたTPA3の7kΩ CT(センタータップ)がアースラインに落ちていません。アースと端子の配線はしてあるのに入力のホット側とアースの間の抵抗値を測ってみても無限大になります。 配線を外していろいろ確認した結果、TPA3の7kΩ CT(センタータップ)端子番号5はトランス内部で7kΩ巻線に接続されていないようでした。左右2個とも無接続なので個々の部品の不良ではないようですし。
トランスの表面に描いてある配線図では端子5は7KΩ巻線の中点につながっているように見えたのですが、虫眼鏡でよく見たら、端子5はトランスの鉄心に接続されているだけで、7KΩ巻線のセンタータップではありませんでした。
取り外してチェックした入力トランス(Tamuradio製TPA3)
TPA3は7KΩ側にセンタータップはありませんが、端子4と端子6の間に信号を加えれば入力トランス(7KΩ:10KΩ)として使えそうです。昇圧比はあまり稼げませんが。
しかし、また入力ユニットにTPA3を組み込むには大変な手間がかかるので、入力トランスなしで音量アッテネータに信号を入れることにしました。
入力トランスをはずして音量アッテネータに直接入力(配線見直し)
入力トランスなしで試験中
アッテネータに直接入力してみると、今度は「きれいに」音楽が聞こえます。歪もブーンというハム音もボディエフェクトもありません。
本格的にアンプを作る人は、「きれいに」だけで済ませるのではなくいろいろ測定するのでしょうが、20年前からの計画の実現一歩手前まで来た私にとっては、「きれいに」聞こえただけで感無量でした。
試験全景
今回試験した NEC104D テニスボール球(1947年5月製造と7月製造)
この真空管は、30年ほど前のNEC勤務の時に、先輩社員から他の100系真空管10本余りとともに頂いたものです。当時100系真空管のことはなにも知らずインターネット時代になってからいろいろ調べることができるようになりました。
以前は技術系の本が結構高くて買えないので、本屋で立ち読みしては諸元や回路図を暗記してました。全部覚えきれないときは一度店外に出てメモにし、また店に入って残りを暗記してました。今思うと店員さんはわかっていて見過ごしてくれたのではないかと思います。
その点、インターネットは通信料以外は無料ですし、ありがたい時代です。ただその情報の真偽を見分ける力はいりますけど。
今後は、残るR ch の配線と、メーターの感度調整、総合試験をするつもりです。
(追記 2022.4.10)
他の100系真空管(101D、102D、HO-104F、HO-101F)を挿し替えて真空管の良否を確認しようと改めて規格を確認したところ次のように(一部を抜粋、出典 銘球列伝)なっていました。
NEC製でなくてWEのものですが、NECはWEからパテントを取ってコピー製造したので規格的には同一と思います。
型名 Ff/V If/A Ep/V Eg/V Ip/mA μ Rk/Ω RL/Ω Po/W
WE104D 4.5 1 130 -20 25 2.5 800 4000 0.16
規格は170Vではなく130Vでしたので、現状のプレート電圧では高すぎると思います。
NECのHO-104Fは次のようになっているので(抜粋 出典:真空管(通信用真空管)物語より)、プレート電圧の点では問題なくなりそうです。
型名 Ff/V If/A Ep/V Eg/V Ip/mA μ Rk/Ω RL/Ω Po/W
HO-104F 4.0 0.5 250 -13.5 20 7.8 - - -
プレート電圧を下げることは検討しますが、今回の回路定数は、Yアンプメーカーの値を参考にしているので他の部分の回路を変更するかどうかは今後よく考えます。


















































