愚者の願い
貴方は、道化師の身分で苦しむのですか。
考えてはいけません。
望むこともいけません。
祈ることもいけません。
「待ってください。どうか願いを一つだけお許し下さい。」
願ってはいけません。
貴方の存在は認められていないのです。
「愛を、愛する人を思うだけなのです。」
貴方の口から愛という言葉を聞くとは....
二度と口にしてはいけません。
貴方の存在は認められていないのです。
「どうして愛する人を思ってはいけないのです。」
貴方は小船を漕いで彷徨っているのです。
沈む闇の中、どこまでも続く大海原を彷徨っているのです。
「この掻き毟るほどの苦しみは一体...。」
貴方は何処に進むのかさえ、
ましてや星空も月明かりさえ見ることは無いでしょう。
求めても求めても、いつまでも。
「あぁ..私は今知りました。」
貴方にもようやく理解の時が来たのですね。
「はい、理解しました。壊すということを。」
貴方は一体何を壊すというのです。
「貴方です。貴方を壊すのです。たった今。」