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自らの文章のアーカイブと考えている

起訴前弁護活動の重要性 2008年03月26日

書評「ある刑事裁判と冤罪弁護士」で控訴審一回公判で結審したケースについて述べた。

今村核弁護士も著書「冤罪弁護士」の中でこう言っている。

「有罪率99.9パーセントに達する。(略)無実の人が疑われたとき、検察官に起訴させずに「嫌疑不十分」で不起訴処分にさせることができれば、それがベストなのである。」

 「また起訴は避けられなくとも(略)調書にされることを防ぐことは大切である。」

 「有利な証拠を早期に収集・保全しておくことも役に立つ」(p.80)

 実にそのとおりである。
 しかし多くの冤罪被害者は、身に覚えのない犯罪で逮捕され、あれよあれよという間に起訴され、一審有罪判決を受け、それから支援者を探すことがほとんどである。

 これでは決定的に遅いのである。

 ならば起訴前弁護活動がされているか?
 今村弁護士が当番弁護士だったという、極めて幸運なケースを除けば数えるくらいしかない。

 救援連絡センターを知っているか?
勤務医労組と医師不足 2008年03月26日

勤務医による「労働組合のような」組織(全国医師連盟)が作られた。医労連との違いなども知りたいと思っていたが、同じ学校にいた者にそのメンバーになっている者がいて昨日話す機会を得た。

 彼は、「なぜ労働組合のような組織がなかったのか?」という問に「労働問題に無知であったから」と言いその原因を60年代の東大紛争に求めた。

 東大紛争はインターン制度に反対する「労働運動」であったが、それが激化する学生運動の先鞭になった。政府が学生運動に激しく危機感を持ったことや、学生運動が暴力主義的になり自壊していったことで、労働問題を教えられたり、労働問題について論じたりする風潮がなくなり、それが結果として「労働問題に無知」な医療従事者層を形成したと言う。

 ところがそれが医師不足に関係していると言う。

 現在の初期研修制度が公的助成があるため、今までレジデントを受け入れていなかった市中病院も受け入れるようになった。すると市中病院の方が一般症例が多いのでレジデントが集まり、逆に地方の大学医局が不足になる。さらに後期研修制度でも同じことになってしまう。

 初期研修制度はアルバイト・残業禁止のため、レジデントを都合よく使っていた人数分いなくなる。医局指定関連病院に行っていたレジデントがいないのだから、その分が他に医師に回ってきてその労働過重で中堅医師が「逃げ出す」。
 つまりそこで労働問題が無視されるわけである。

 端的に言うと医局のメリットがなくなったのだ。
 かつては学位をとりに院にいったものだが、現在学位は「足のうらの米粒」なのだと言う。つまり「取らないと気持ちが悪いが、とっても食えない」。
 専門医や認定医の方が有用で、そのために市中病院に行きたがるのだ。

 なかなか解法が見いだせない深刻な問題である。
ある刑事裁判と冤罪弁護士 2008年03月25日

2008年3月24日にある刑事事件の控訴審公判があった。

 一審で有罪判決を受けたものの、冤罪の可能性の高い事件であった。
 開廷すると本人確認があり、それだけで結審してしまった。控訴審第一回公判である。しかも控訴趣意書の朗読も省略された。

 その弁護士が怠慢だったのか、やる気がなかったのか、というとけしてそうではない。彼は第一審で最大限の弁護をやったと思う。ではなぜか?

 閉廷の後に弁護士の説明があった。
 彼は日本の裁判制度の話から始めた。つまり控訴審は元審の再吟味を要請することで、新しい証拠や証人がいない場合は公判を開くことに意味が見いだせない、ということである。そして判決日も1月後に指定されたので希望の判決はほとんど得られないだろうという予想も示した。

 彼から言わせれば、99.9パーセントの有罪率の前では起訴させないという努力が一番であるということだった。(尚彼は起訴後に選任された)そして日本の裁判が三審制だという幻想は捨てるべきだとも言った。

 そして、否認している刑事弁護は消耗感ばかりでもう受けたくないとも述懐した。

 この弁護士の言葉は色々と解されるだろうが、聞いていた私にしてみれば説得力があり、現実感のある話であった。達観という言葉が似合っているかもしれない。

 いろいろな刑事弁護に携わっていて、一審有罪を二審で無罪にしたこともある今村核弁護士の本が出た。
 署名はズバリ「冤罪弁護士」(旬報社1月21日刊)

 実に興味深い本である。強くお勧めする。