70冊目。

ダメなら、さっさとやめなさい! セス・ゴーディン マガジンハウス

我が心の師匠・セス・ゴーディンの最新刊。
彼の著作の中で最短(なんと100ページ少々!)の、著作というよりは「コンセプトブック」。

師曰く、全てのビジネスは3つのシナリオのどれかを歩む。
1「運命の谷」:挑戦を始めてから本当の極意をつかむまでの長く辛い時期。この谷を諦めず這い上がれば、大きな収穫にありつける。
2「行き止まり」:どんなリソースをいくら注ぎ込んでも、良くも悪くもならず疲弊が蓄積されていく状況。
3「絶壁」:近視眼的な享楽を味わえてはいるが、急に「終わり」にぶつかるパターン。
「行き止まり」か「絶壁」に出合ったら、何としてでも引き返さないといけない。
「運命の谷」に出合った時は、なにがなんでも歩みを止めず、谷から這い上がらねばならない。

シンプルで力強いメッセージ。ちゃんと実例にそったシナリオの見分け方にも言及されている。

「決して諦めない」という“標語”を盲目的に信じ闇雲にエネルギーを注ぎ続けることより、勇気を持って引き返し、No.1になれる分野に集中して「運命の谷」を這い上がる。

師曰く、「少し怖いぐらいのことを、思いきってやってみるといい」

うーん、セス・ゴーディン、やはりあなたに何処までも(勝手に)ついて行きます。


ダメなら、さっさとやめなさい! ~No.1になるための成功法則~/セス・ゴーディン/神田昌典:解説

¥1,260
Amazon.co.jp

69冊目。

察知力 中村俊輔 幻冬舎新書

中村俊輔氏のサッカー人生の中での“キャリア事件”を通して、空気を読む力の大切さを説く。
(「察知力」という言葉は後付け感があり、文中での“すわり”があまり良くない)

「壁があるほうが僕は落ち着く」と独白する著者のストイックさ・向上欲の強さはもはやパラノイアの域。
「これでいいだろう」と思ってしまう瞬間が怖い、と吐露する。

「引き出し」という表現があらゆる場面で多用される。恐らく凡百の人なら「経験」という言葉で表現するであろう文脈で。


察知力 (幻冬舎新書 な 4-1)/中村 俊輔

¥777
Amazon.co.jp

68冊目。

雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉 伊集院丈 日本経済新聞出版社

1982年から15年間に渡って続いたIBMと富士通の「ソフトウェア紛争」がこの小説の舞台。
主にその最初の2年間の両社の幾度にも渡る秘密交渉の姿が描かれる。

あらゆる意味で洗練された東海岸エスタブリッシュメントと、まだまだ田舎者に過ぎなかった日本のコンピュータ産業。そのコントラストと富士通の開発現場社員のサムライっぷりが印象的な一冊。


雲を掴め―富士通・IBM秘密交渉/伊集院 丈

¥1,785
Amazon.co.jp

67冊目。

広告放浪記 浅暮三文 ポプラ社

「スキルやとか、モチベーションやとか、そんなんあらへんかったで、あの頃。」
という、秀逸な帯のコピーを見てジャケ買い。

1980年代前半、バブル前の大阪の広告業界を小さな代理店新入社員の視線で描く著者の自伝的な小説。
新聞系代理店で案内広告の飛び込み営業を繰り返す主人公の、おかしくも哀しい「野良犬」のような日々。
大阪駅前第3ビルのトイレで眠る、大阪環状線を入場券だけを手に何周もぐるぐるまわる、大毎地下劇場の2本立ての安映画を見る。
いわゆるダメ営業社員の生態が生々しく、本書の舞台である堂島界隈で働いた経験がある僕には懐かしい描写が随所に。
確かに、あの頃に仕事で接した堂島界隈の広告屋のおじさんたちは、とても他の業界では働けないだろうという風貌とおおらかさ(というか適当さ)と厳しさに満ちていた。

広告の世界も、勿論インターネット以前の「効果測定」なんてものが言葉以上の意味を持たなかった時代。広告を100%文系人種が牛耳っていた牧歌的だけれど甘ったるく危うくロマンティックだった時代。

単純におもしろかった一冊。

広告放浪記/浅暮 三文

¥1,680
Amazon.co.jp

66冊目。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? ひろゆき(西村博之) 扶桑社新書

恐らく日本のインターネット界(というものがあるのなら)でもっとも著名な人物のひとり、2ちゃんねる管理人・ひろゆき氏の著書。といっても、後書で殆ど自分では書いてないことをばらしているけど。

佐々木俊尚氏との対談の中で佐々木氏は彼の優秀さをこのように評する。
「西村さんの言っていることは、身も蓋もなさすぎてついていけない」

著者の言説をおいかけていくと、どうしても村上龍の小説の登場人物をイメージしてしまう。
コインロッカーに産み落とされた双子や、「狩猟社」の党首や、毒ガエルを飼う少年だとか。。。

本書に収められた著者と小飼弾氏の対談にある戦慄を覚える会話、引用。
・小飼「僕は、今後世の中で一番大事な仕事は、暇つぶしをさせることだと考えているんですよ。もし、暇つぶしを将来のメインの産業に出来なかったら、代わりに何がくると思いますか」
・西村「自殺産業ですかね?」
・小飼「そこまで穏やかじゃないかな。戦争ですよ。人類の平和を願うのであれば、どうやって人の欲を捨てさせるかということになる。これは絶対に外さないと僕は思う」

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)/西村 博之

¥777
Amazon.co.jp