75冊目。

マグマ 真山仁 朝日文庫

真山仁ブーム。

中国やインドでの原子力発電所新設の動きを背景に巻き起こる国際的なエネルギー問題を背景に、地熱発電を原発の代替エネルギーにしようと取り組む研究者・企業の姿を描く。
真山氏お得意の外資系投資ファンドによる事業再生や、莫大な利権を取り巻き跋扈する政治家・官僚たちの姿がストーリーに絶妙に織り込まれていく。

本作の主人公は女性のターンアラウンドマネージャー。真山氏の著作で女性が主人公なのは本作だけだが(と思う)、残念ながら描写が弱い。一方、彼女の周りの男性たちはいつもの真山作品のように熱く深く描かれている。
著者の集中力が途絶えたのか、後半のストーリー展開(唐突な終焉)が残念な感じ。


マグマ (朝日文庫 ま 27-1)/真山 仁

¥756
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74冊目。

連鎖破綻 ダブルギアリング 香住究 ダイヤモンド社

2002年秋から2003年春までを舞台に、破綻寸前の生命保険会社が延命措置に懸命に取組んでいく過程と、それを取り巻く外資系金融の戦慄を覚えるしたたかさ、巨額不良債権処理に喘ぐ大手銀行、官僚たちの姿が生々しく描かれる。

真山仁が今の名前で作品を発表する前の、香住究名でのデヴュー作(元大手生命保険課長と元大手新聞記者の共同ペンネーム、とクレジットされている)。

遠いところで行われていた感のある、(たった)5,6年前のバブルの後始末に取組む金融機関の生態。当時、大手都銀の不良債権処理についての情報は連日様々なメディアを賑わせていたが、生命保険会社の情報はそれほどまでには多くなかったように記憶している。
歴史に刻まれることはないけれど、信念と誇りとプライドのためだけに壮絶な戦いを挑んだ「サラリーマン」たち。数千億円単位の現実離れした不良債権処理の過程をめぐって、このようなドラマがいくつもあったのかも、と思うと感慨深い。
「小説」としてのプロットも、素晴らしい。正直、泣ける。


73冊目。

虚像の砦 真山仁 講談社文庫

インターネットヘメディアの主役交代の流れの中で、瀕死状態のテレビ局。
それ以前に放送局がその存在意義を問われたいくつかの実在の事件をモチーフに、その実像をえぐる作品。
現実の事件・団体・人物を容易に想像させる名称を計算高く使いながら、現実と空想の境目をあいまいにしていく著者のいつもの手法。単純に次のページをめくることへのプリミティブな欲求にあがなえなくなる。

ジョン・アービング「ガープの世界」の有名な一節を思い出す。
「どうして本を読むの?」
「だって次のページが気になるじゃない」

ジャーナリズムの文脈で、氏のメディアに向ける視線が優しいのが印象的。


虚像の砦 (講談社文庫 ま 54-5)/真山 仁

¥820
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72冊目。

この「社則」、効果あり。 柳澤大輔 祥伝社新書 

「面白法人カヤック」代表の著者が個性的な社則をもつ会社の紹介をしていく前半部分と、カヤックの理念・制度を語る後半で構成。

前半部分は単純に読み物として面白い(ふーん、という感じ)。
後半は、いわゆる“第3世代ウェブ企業”のカヤックの理念を自社のおもしろ社則をメタファーに語られる。

「自由であることの厳しさと楽しさ」を理解した文学的な会社。

東のこの会社と西のはてな、という文脈で語ると双方の関係者の方々は嫌がるのだろうけど、この2社の“清々しさ”はとても大切なもののような気がする。



この「社則」、効果あり。 (祥伝社新書 117)/柳澤 大輔

¥798
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71冊目。

あたらしい戦略の教科書 酒井穣 ディスカヴァー・トゥエンティワン

「はじめての課長の教科書」の著者の最新刊。
現場で必要とされる戦略とはそもそも何なのか? 戦略と戦術の違いを論じることは不毛だ、と言い切る著者の実務に活かせる戦略論。
ボトムアップの戦略立案と実行の重要性を説く。特に、戦略立案の基礎となる情報収集・分析の重要性を語る章はとても参考になる(ドライ情報とウェット情報の入手方法・活用法の決定的な違い)。

全編通して、「何を捨てるか」決めるための考え方、決断の仕方、の本。


あたらしい戦略の教科書/酒井 穣

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